放送内容

放送内容

#144:チャレンジ PARiS 視覚障害者柔道 瀬戸勇次郎

2023年7月16日

「パラ柔道界の姿三四郎」、瀬戸勇次郎選手の飽くなき挑戦に迫るチャレンジPARiS〜ROAD to 2024〜

福岡県糸島市で生まれた瀬戸選手。
先天性の目の病気により、視力は0.05あまり。
光をまぶしく感じるため、日中はサングラスを着用しています。

柔道を始めたのは4歳の時。
2歳年上のお兄さんに誘われたのがきっかけでした。
地元の進学校、修猷館高校でも柔道部に所属し、団体戦の全国大会、金鷲旗高校柔道大会にも出場。
健常者の強豪選手に大健闘を見せます。

試合には敗れたものの、その活躍が視覚障害者柔道の関係者の目に留まりました。

視覚障害者柔道のルールで特徴的なのは組み合った状態から試合を始めるところ。そのほかのルールは健常者の柔道と変わりありません。

17歳の時、全国視覚障害者学生柔道大会に初出場。
組んだ状態から始める柔道に戸惑いはあったものの、見事優勝を飾りました。

確かな手応えをつかんだ瀬戸選手。
しかし大きな壁が立ちはだかります。

視覚障害者柔道に転向後、わずか3ヶ月で出場した全日本大会。
対戦相手は、パラ柔道界のレジェンド、藤本聰選手。
パラリンピック3大会連続金メダルを含む5つのメダルを獲得。
瀬戸選手が生まれる前からパラ柔道界で活躍するまさにレジェンド。
デビューしたての高校3年生と大ベテラン、その壁は高く、あえなく一本負け。

翌年進学した福岡教育大学でも柔道部に所属すると鍛えたのは腕力。
低い姿勢で柔道を行うには、腕の力で相手の体勢を崩すことが重要と考えたのです。

帯トレと呼ばれる腕力トレーニングは10秒間に腕の力だけで帯を使い上り下り。これを10セット行うハードなトレーニングです。

藤本選手に敗れてから、腕力の強化と共に低い体勢の柔道を徹底して身につけてきました。

そして1年後の全日本大会。
決勝まで駒を進めた瀬戸選手を待っていたのはレジェンド藤本選手です。

鍛えた腕力を活かし、低い体勢で攻め続けると…
藤本選手の技をかわし、そのまま体をあびせて技あり!
すぐさま抑え込みに入ると、逃れられないと察した藤本選手が「参った」をかけ、瀬戸選手が勝利!

1年前の対決では全く歯が立たなかったレジェンドを降し、見事初優勝を飾りました!

その後も快進撃を続け、日本代表の座を掴み取ると21歳の時に東京パラリンピック初出場。
見事銅メダルを獲得しました。

瀬戸選手のストロングポイントは「強力な釣り手を生かした背負い投げ」。
釣り手とは、柔道で組み合うときの襟を握る手です。
相手の体制を崩す釣り手の強さを生んだのは、視覚障害者柔道のレジェンド藤本選手に勝つために行なってきた帯トレにありました。

相手に自由を与えず、より有利な体制で技に入れるようになり、幼い頃から磨き上げた背負い投げをストロングポイントへと昇華させたのです。

パリに向けて新たな課題は「体重アップ」。
東京パラリンピックまでは、66キロクラスで戦っていた瀬戸選手ですが、クラス分けのルール変更により73キロ級へと階級を上げていました。

世界で戦うには、今の体ではまだ小さいと感じていて、そのために毎日たくさん食べることを日課としてお米6号、お茶碗にすると1日で12杯分のご飯を食べているそうです!

1年後に迫ったパリパラリンピックでの目標は?
瀬戸「もちろん金メダルが目標です。もう東京でメダルを取ったからにはそれ以上しか目指すところはないと思っています。」と話しました。

シェア
LINE