2023年04月29日 初回放送
春の足音が聞こえてきたトスカーナの大地。なだらかな丘の上に築かれた村が今回の舞台、プラータだ。プラータとは古い言葉で「草原」という意味。村人たちは、周囲に広がる雄大な自然の恵みに感謝し、昔ながらの暮らしを大切に守ってきた。
今回の主人公は、100年前に祖父が始めたミニマーケットを受け継ぎ、長年働いてきた女性店主。店は9年前に閉め、今は夫と2人でのんびりと暮らす日々を送っている。
今の彼女の楽しみは、孫娘の宿題を見ることだ。若い頃から、子どもに勉強を教えることが好きで教師に憧れていた彼女は、大学で文学を学び教員資格も持っている。
ミニマーケットを継ぐことになった時も、教師の道をあきらめきれず、最後まで迷っていたほどだ。店に来る客からは「店で働くなら、大学で勉強する必要もなかったのに」と言われることもよくあったが、自分の選択に微塵も後悔していない。「店を継ぐことが分かっていたら、もっと勉強していたかもしれません。そうすればもっと与えられる人間になれていたと思うから」。それに彼女には、店を継いだことで出会った楽しみもある。
もう1人は、村外れの森でロバを飼って暮らしている主婦。自宅の1階で宿を営んでいるが、冬が終わるまでは客がめったに来ないから、この時期はロバの世話にかかりっきりだ。
ロバを飼い始めたのは10年前。切り出した薪をどうやって運ぼうかと考えていた時に「薪を運ぶのなら、ロバだ!」と、思い付きで飼い始めたのだ。それまで牛や豚などの家畜も飼ったことがなかったから、戸惑うことばかりだったが、今では村にロバ協会を作るほど、その魅力の虜になった。ロバの素晴らしさを多くの人に知ってもらいたい。それが彼女の目標だ。(※年代表記などは初回放送時点のものです。)
使用楽曲
Insieme / Mina
Fragole e pugnali / Goran Kuzminac
Stranizza D'Amuri / Franco Battiato
「L'APPUNTAMENTO」/ラ・プンタメント
ORNELLA VANONI/オルネラ・ヴァノーニ