フランス南部、地中海に面して東西約250キロに伸びる風光明媚な海岸線がコート･ダジュールです。
年間300日以上の晴天と、冬でも温暖な気候でカンヌやニース、モンテカルロといった世界的なビーチリゾートが点在します。
コート・ダジュールの東の端、イタリアとの国境に位置するのがマントンの街です。ここはコート・ダジュールで最も日照時間が長いことで有名です。
フランスの真珠と呼ばれる美しい街には、約3万人が暮らしています。
街のランドマークともいえる建物があります。
サン・ミッシェル教会です。マントンの街がフランス領となる前の17世紀に、モナコ公国の大公により建てられました。
コート･ダジュールで最も美しいバロック教会と言われています。
曲線の多用と豊かな装飾性に、バロック建築の特徴が見て取れます。
またマントンはフランスを代表する「レモンの街」として知られています。
毎年2月にレモン祭りが開かれ、多くの観光客が訪れます。
祭りの期間中、市内は連日のパレードや、数10万個のレモンやオレンジで作った巨大オブジェで彩られます。
地中海性気候で1年を通して温暖なマントンでは、季節を問わず上質のレモンが収穫されます。

海沿いの切り立った山の頂に鷲の巣村と呼ばれる中世の村々が点在しています。
標高427メートルの岩山の頂上にあり、天空から下界を見下ろす鷲の巣村のひとつ、エズには現在もおよそ3000人が暮らしています。
エズには、中世の城を改装したホテルがあります。
フランス語で「黄金の山羊」を意味する「シャトー・ド・ラ・シェーブルドール」です。
宿泊施設であると同時に、街で1，2を争う人気観光スポットです。
歴史遺産としての魅力のほかにミシュランの2つ星レストランも備えるホテルは、モナコ王妃やアメリカのクリントン元大統領など多くの著名人が宿泊名簿に名を連ねています。
崖の上に建つホテルからは、紺碧の地中海が見渡せます。

コート・ダジュールの温暖な気候は、海岸線を色鮮やかな花々で埋め、古くからある特産品それは香水です。1926年創業のフラゴナールは世界的な香水ブランドとして知られています。
工場に隣接した直営店には、南仏の極上の香りを求めて多くの買い物客が訪れます。
超一流の香水ブランドであると同時に化粧品や石鹸なども販売しています。

エズから西へ約30キロ、もうひとつの鷲の巣村、サン・ポール・ド・ヴァンスです。村が作られたのは9世紀。
近代以降、多くの芸術家に愛された村として知られます。
その後、ペストの流行や異教徒の襲撃に備えるため、村人が城壁を築いたといいます。
現在見られる城壁は、16世紀前後に完成したものです。
村の一画に、ここでの暮らしを愛した一人の芸術家が眠っています。
ロシア出身で、後にフランス国籍を取得した20世紀を代表する美の巨人マルク・シャガールです。
シャガールは1966年からおよそ20年に渡って、この村で暮らし、数多くの風景画を描きました。
村のあちらこちらにはシャガールが描いた風景画のパネルがその縁の場所に置かれています。