



2014年1月29日 放送
イタリア北西部。
地中海を望む長靴型の半島の付け根辺りにある港街「ジェノヴァ」。
中世11世紀以降、ジェノヴァは海洋都市国家「ジェノヴァ共和国」として
経済的にも軍事的にも発展し、その勢力は一時、ヨーロッパ全土に及びました。
ジェノヴァは偉大な冒険家“クリストファー・コロンブス”の故郷としても知られています。
港に立つ「海の博物館」にはコロンブス直筆の手紙が展示されています。
その手紙には「私の肉体はこの地をさまよっているが 心はいつもジェノヴァにある」を書かれています。
街の中心部を走る「ガリバルディ通り」に建ち並ぶのは、
中世当時、巨万の富を得ていたジェノヴァの貴族たちが
贅の限りを尽くした邸宅群。
1576年、ジェノヴァ共和国はこれらの邸宅を
海外からの賓客を持て成す迎賓館とすることを法律で定めます。
これらの邸宅群は、建築的価値と迎賓館とした文化的価値から、
2006年に世界遺産に登録されています。
「王宮」と呼ばれる邸宅にある「鏡の間」には、
当時も大変貴重で高価なものとされた古代ローマの彫刻が飾られています。
ジェノヴァ市内のレストラン「イル・ジェノヴェーゼ」では、
ジェノヴァ発祥の調味料で「ペストジェノヴェーゼ」と呼ばれる
バジルペーストを手作りしています。
大きな乳鉢で、バジルの葉や、松のみ、にんにく、チーズなどをすり潰して作ります。
バジルペーストを使ったニョッキは、店一番の人気メニューです。
リグリア海の美しい海岸線、5つの村からなる「チンクエテッレ」。
村々は山間で交通の便が悪い為、
他の地域に比べ開発が遅れ古き良き街並みが残っています。
その素朴な風景が近代では貴重とされ、1997年に世界遺産に登録されました。
「チンクエテッレで最も美しい村」と呼ばれている「ヴェルナッツァ」は、
中世にはチンクエテッレで作られたワインを集荷する
港街の役割を担っていました。
今も山の急斜面にはブドウ畑が広がっています。
山を切り開いた村のブドウ畑には、土砂崩れを防ぐ石垣が作られています。
村では1000年も昔からこの方法で斜面を畑にしているそうです。
収穫したブドウの実を2ヵ月間ほど陰干しにして作る「シャケトラ」は、
チンクエテッレを代表するワインです。
チンクエテッレの南へおよそ15キロ。
リグリア海に小さく半島状に突き出た街「ポルトヴェーネレ」も
世界遺産に登録されています。
「ポルトヴェーネレ」の周辺はムール貝の産地としても知られています。
リグリア海は地中海の中でも気候が温暖で栄養豊かな海とされています。
イタリア国内で流通するムール貝の10%がこの地域から出荷されているそうです。
街のメーンストリートとなっている
「カッペリーニ通り」に地元のムール貝で人気のレストランがあります。
新鮮なムール貝を贅沢に使ったパスタが看板メニューです。
地中海の穏やかな海と、北イタリアの豊かな山が溶け合う美しい海岸線。
かつてこのリグリア海で育った一人の冒険家は
新世界を発見しました。
そして今、新世界からは何十万もの人々が訪れています。