水紀行ラインナップ
©BS日テレ©BS日テレライン川に抱かれた大聖堂の街 ドイツ ケルン

2013年11月6日 初回放送

ドイツ西部、ライン川の両岸に広がる古都「ケルン」。
東京23区の3分の2ほどの市内に、およそ100万人が暮らしています。
街の歴史は、紀元前1世紀にまでさかのぼります。
古代ローマの殖民都市を意味する「コロニア」がケルンの語源です。

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街を代表する、中世の建物があります。
1996年に世界遺産に登録された、ケルン大聖堂です。
無数の塔が天国を目指して垂直に伸びる特徴的なシルエット。
ゴシック建築としては、世界最大を誇ります。

12世紀の後期、大聖堂に聖人の遺骨が納められました。
新約聖書に記された「東方三博士(はかせ)」です。
イエスキリストの誕生に祈りを捧げた占星術の学者で、三賢者とも呼ばれています。
以来、ヨーロッパ各国から巡礼者が訪れ、ケルンの街は更に発展したといいます。

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地元っ子に人気のレストラン、ペーターズ・ブラウハウスでは地元産のビールと伝統料理が楽しめます。

1994年創業の新しい店ですが、16世紀に建てられた醸造所を改装して使っています。

ケルンでは、レストランのビールは細長いグラスに注がれて、クランツという専用のお盆で幾つも同時に運ばれます。
混雑した店内も安心して運べ、途中で追加のオーダーを受けてもすぐ出せるからだそうです。

ケルンの名物料理は、ヒンメル・アンド・エード。空と大地という意味です。
甘く煮込んだリンゴのペーストと、マッシュポテトを皿一杯に盛り付けた上に焼きたての血のソーセージを載せればできあがりです。

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ケルンには、世界に知られる名店があります。4711(フォーセブンイレブン)。
18世紀創業の香水店です。
ベルガモットやラベンダー、ローズマリーなどを配合した香水ですが、そのレシピは1792年に創業者が結婚祝にある修行僧からもらったもの。
香りもよく、健康にも良いとされたその水はたちまち評判になりフランス人が自国に持ち帰った際「ケルンの水=オー・デ・コロン」として有名になったのです。

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ケルンから北へおよそ130キロ。
古くは漁港の街として栄えたカルカーで、伝統の漁法を守る漁師、ルーディー・ヘルさんがいます。

川底に仕掛けが繋がる「ショーカー船」でウナギを取っていますが食べるためではありません。調査の為に捕まえています。
1960年代、水質汚染が問題になったライン川は、その中に生きる魚もまた汚染され、いなくなってしまったのです。

その後の浄化運動により、ライン川の水質が改善されたのもつかの間、今度は乱獲で魚が激減したのです。
昔と同じ、豊かなライン川で漁ができる日が来るまで伝統の漁を伝えるのが、ルーディーさんの夢です。

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ライン川の中流65キロほどの、川と大地が描く美しい姿は2002年に世界遺産に登録されています。
この渓谷一帯は、中世に建てられた古城が多く残されています。

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さらにこのあたりは、白ワインの品種リースリングの名産地です。
渓谷は急斜面で日当たりも水捌けも良いため、ブドウの栽培には最適なのです。
川の照り返しで渓谷内が温められ、質の良いブドウも育ちますが斜面が急すぎるために、農作業が大変です。
いま若い醸造者たちの中で、長年放置されていた畑を買い取り、少しずつ耕し続けてラインのワイン文化を守ろうという動きが始まっています。

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世界遺産のライン川中流域では、初夏から秋にかけて、「ラインの火祭り」という花火大会が開かれます。
観客の船から、花火を打ち上げる船までの距離は僅か100メートル。
花火の熱を感じるほどの至近距離で大輪の花を楽しめます。

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ケルン生まれの作家、ハインリヒ・ベルは「この国がもし心臓を持つとすれば、その位置はラインの流れる所にある」と語りました。
父なるラインは、今も力強く人々を見守り続けています。

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