水紀行ラインナップ
©BS日テレ©BS日テレ地中海のダイヤモンド イタリア シチリア島

2013年7月3日 初回放送

イタリア半島の先端に浮かぶシチリア島。
面積はおよそ26000平方キロ、日本の四国の1.4倍ほどで、地中海最大を誇ります。
島の北西部に位置する州都、パレルモから旅を始めます。
地中海を望む美しい港を持つパレルモは、中世シチリア王国の都としてギリシャなど地中海諸国との交易で栄えました。

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街の大通りには、クアットロ・カンティという名の四つ角があります。
幾つもの文明が交差した街は、「地中海文明の十字路」とも呼ばれています。
旧市街を彩るプレトリアの噴水は、元々は16世紀ナポリの貴族が作り始めましたが、資金難から制作がとん挫。
その後パレルモ市が買い取り、現在の場所に置かれました。
ルネサンスの彫刻が施された噴水は、「恥の噴水」という別名を持ちます。
噴水を彩る48体の彫刻は、ほとんどが裸で信仰深い島の人々がそれを「恥」と考えたからです。

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かつてのシチリア国王たちが暮らした、ノルマン宮殿。
初代シチリア国王ルッジェーロ2世の部屋は、天井と柱が黄金のモザイク画に覆われています。
宮殿は元々、イスラム王朝が建築したもので後にシチリアの歴代国王により改築が加えられました。
そのため、アラブとヨーロッパの建築様式が混在しています。

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アラブ統治時代の建物が多く残る街に、華やかなヨーロッパ風の建物があります。マッシモ劇場です。
厳格で崇高な美を求めた、新古典主義による建築スタイル。
シチリア産の建築資材だけで作られています。
劇場のこけら落としに上演されたのは、イタリアの作曲家ジュゼッペ・ヴェルディの最後の作品「ファルスタッフ」でした。

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パレルモ市内から西へおよそ75キロ。
シチリア島の最西端に、小さな港街トラパニがあります。
紀元前8世紀に建設された街は、アフリカ大陸まで100キロの近さにあり貿易の要衝として発展しました。

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目の前に広がるティレニア海は、何世紀にも渡って街に最大の産業をもたらしています。
海岸線に広がる塩田です。
土地が低く海水が引き込みやすいという地形、地中海性の乾いた気候、そしてアフリカ大陸から吹くシロッコと呼ばれる強い風など、塩作りに最高の条件が揃っています。この土地は紀元前から塩の名産地でした。
美しい海から、自然そのままの製法で生み出されたトラパニの塩。
マグネシウムやヨウ素、鉄などのミネラル分が非常に多く、まろやかな辛みと豊かな旨みが特徴です。

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トラパニには塩田とともに、もうひとつの自然の恵みがあります。
ブドウ畑です。トラパニはヨーロッパ有数のワインの産地としても知られています。
島で栽培されるグリッロ種は白ワインに適しています。
元々はイタリア本土の品種でしたが、害虫が発生した19世紀末に島に移植されました。
水捌けが良く枯れた土地が逆に、ブドウを強く濃厚な味に育てます。
極上のワインは、この厳しい環境に鍛えられているのです。

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太陽が沈み始める頃から、ひときわ賑やかさを増す場所があります。
リストランテ「アンティキ・サポーリ」。シーフード料理で地元っ子に人気です。
看板メニューは魚介類を使ったパスタ。
なかでも、「世界一小さなパスタ」と言われる、クスクスが一番人気です。
クスクスは、地中海沿岸諸国で栽培されるデュラム小麦の粗挽きを水で溶いて粒状にしたものです。
トラパニのクスクスには、魚介類のスープが欠かせません。
ハーブやタマネギとともに、岩場で取れる小魚を煮込み、タップリのトマトピューレで味をつけます。

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シチリア島から南西へおよそ100キロ。
アフリカ大陸まで70キロの位置に、パンテッレリア島があります。
パンテッレリア島の別名は「地中海の黒真珠」。
島は今も僅かに活動する火山島で、島内のいたるところで温泉が湧き出ています。

ハートの形をしている「ヴィーナスの鏡」と呼ばれる湖には、恋人に会いに来た美の女神が湖面に姿を映したという伝説があります。
古代の火山の噴火で作られた湖には今も温泉が湧き出ていて、湖底の泥は美容成分でもある、硫黄やカリウムを大量に含んでいます。
湖には泥パックに訪れる女性の姿が多くみられます。

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パンテッレリア島からさらに南へ。
イタリア領最南端の島、ランペドゥーサ島があります。

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沿岸の「コニーリ島」周辺は、透明度の高いエメラルドグリーンの海と、サンゴや貝殻が積もった純白の海底の美しいグラデーションが観光客に人気です。
コニーリ島周辺の海は、「イタリアで最も美しい海」の称号で呼ばれ続けています。

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ランペドゥーサ島の美しい海は、島の人々に美味しい恩恵も、もたらしています。
元漁師のシェフ、ジャコモさん一家の夕食を訪ねました。
ランペドゥーサの新鮮なイワシとフェンネルのパスタが、こちらの名物です。
美しいランペドゥーサの海で獲れた魚は、イタリア全土へ出荷されます。

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美しいランペドゥーサ島近くの海の底には、神々しく佇むマリア像があります。
35年前、ダイバーの命を救ったというマリア像。
いまも海底から、過ぎ行く船や人々を見守り続けています。

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イタリア半島から海を隔てて独自の文化と歴史を刻んできた「シチリア島」。
島には未来を生み出す、海と大地と太陽と、そしてそこに生きる人々の確かな営みがありました。

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