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©BS日テレ©BS日テレ芸術家ルーベンスを育んだ国際都市ベルギー アントワープ

2013年5月22日 放送

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ベルギー北部。フランスを水源として北海に注ぐスヘルデ川のほとりにアントワープはあります。首都ブリュッセルに次ぐベルギー第二の都市。15世紀頃から商業や金融の中心地として発展し、21世紀の今もヨーロッパを代表する港街に数えられています。街には中世の面影残す古都のシンボルともいえる建物があります。「ノートルダム大聖堂」です。1352年からおよそ170年かけて建造されました。塔の高さは123メートル。ベルギー最大のゴシック教会と言われています。かつては港に入ってくる船の目印としての役割も持っていました。「ノートルダム」はフランス語で「われらが貴婦人」という意味を持ちます。これは聖母マリアを指す言葉で、パリのノートルダム大聖堂をはじめ世界中に点在するノートルダム大聖堂はすべて聖母マリアを祀っています。

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ノートルダム大聖堂は、17世紀バロック絵画の巨匠ルーベンスの作品を大量に収蔵することでも知られています。「バロック様式」は、レオナルドダヴィンチなどによってイタリアで花開いたルネサンスの後に起きた芸術の流れです。豊かな色彩と強烈な明暗による極端で劇的な表現が特徴とされます。アントワープ出身の両親のもと、1577年にドイツで生まれたルーベンス。イタリアでルネサンス芸術を学び、1609年以降はアントワープに工房を開き、バロック芸術をリードしました。

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中世以来、スヘルデ川の水運で栄えたアントワープ。現在でもアントワープ港は、オランダのアムステルダム港に次いでヨーロッパ第ニの荷揚げ量を誇ります。今も昔もアントワープの最大の産業とされる交易品があります。「ダイヤモンド」です。中世当時、原産国のインドからヨーロッパに持ち込まれたダイヤモンドの原石は大部分がアントワープ港で荷揚げされていました。当時の街の隆盛は「黄金のアントワープ時代」とまで呼ばれています。現在も世界で流通するダイヤモンドのほぼ半分が、この街で加工されています。

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アントワープの南、25キロほどに位置する「メッヘレン」。ダイル川の恵みを受けて繁栄した街は16世紀初頭、ネーデルラント王国の首都となり黄金時代を迎えました。メッヘレン市内には、歴史的に重要な建造物が300以上あると言われます。そのひとつが「聖ロンバウツ大聖堂」です。13世紀の着工から完成までにはおよそ300年を費やしています。

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市内には、この地方伝統の工芸技術が今も息づいています。1889年に創設された「王立デ・ウィットタペストリー工房」。メッヘレンを含むベルギー北部地域は、12世紀から16世紀にかけて毛織物産業で栄えました。その毛織物の中でも特に貴重とされたのが、タペストリーです。全て手作業で完成までに数年を要するものもあり、当時の王侯貴族の間で富の象徴とされていました。

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西ヨーロッパの小さな国の更に小さな街「アントワープ」。しかしその小さな土地から、時代を代表する芸術家、永遠に輝く宝石、革新的な技術など多くの輝きが生み出されました。たった一つの川の存在がこの街を、世界有数の港湾都市、文化芸術の都、美食の都にしたのです。

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