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©BS日テレ©BS日テレ中世の面影残す水の都ベルギー ブルージュとゲント

2013年5月8日 放送

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ベルギーの北西部に位置する街「ブルージュ」。海岸線から15キロ離れた内陸にありながら、かつては中世ヨーロッパを代表する貿易港として栄えました。街の名はオランダ語で「橋」を意味します。その名の通り市内には50以上もの橋がかかります。縦横に走る運河が、かつての貿易港時代の栄華を今に伝えます。15世紀に入り貿易の中心が海辺の街に移ると、ブルージュの繁栄は終わりを告げます。それ以降時を止めたように当時の街並みがそのまま残りました。そのため旧市街は「屋根のない美術館」と呼ばれ世界遺産に登録されています。

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街の中心がマルクト広場。広場には街のシンボルとも言える建物があります。鐘で時を告げる鐘楼です。13世紀から15世紀にかけて建てられたもので、高さは83メートル。47個の鐘からなる楽器カリヨンが15分に一度、街に時を告げています。ブルージュのカリヨンは通常は自動演奏されています。ただし週に3度だけカリヨン奏者のフランクさんが演奏します。カリヨン奏者による演奏は1532年に始まり、フランクさんで27代目です。カリヨンは鍵盤をこぶしで叩くようにして力強く演奏します。

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中世以来、市内で受け継がれている工芸品があります。レース編みです。ブルージュを含むベルギー西部地方では、16世紀頃からレース編みが盛んに行われていました。レース編みの専門店「ロココ」。1833年創業の老舗です。紀元前のエジプトで誕生したレース編みは、中世ヨーロッパで修道女の手仕事として広まりました。当時のレース編みは、貴族の衣装を飾るためによく使われました。細かな細工が施されたものは非常に貴重とされ、「糸の宝石」と呼ばれていたそうです。

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ブルージュから南東へおよそ40キロ。中世に毛織物の交易で栄えたゲントの街は、今もその古いながらも威厳のある街並みに当時の繁栄を偲ばせています。中世から現代まで、街の発展は2つの川によってもたらされました。街を潤す一つ目の流れが「スヘルデ川」です。川の総延長は350キロ。フランス北部を源流として、ベルギー、オランダを経て北海に注いでいます。もうひとつの流れが、街の中心部を貫く「レイエ川」。そのほとりにかつて港だった地域があります。「グラスレイ」です。「穀倉の埠頭」を意味するこの一帯には、繁栄当時の建物が立ち並んでいます。埠頭は現在、観光クルーズ船の船着場として使われています。観光クルーズでは、レイエ川に沿って、フランダース地方の自然と中世の街並みが楽しめます。

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ゲントの街には運河を利用して水上生活をする人たちが少なくありません。ブセイネさん一家は5人家族。自然の中に暮らしたいと思い8年前からボートで暮らしているそうです。船にはもちろんエンジンがついているので、どこへでも移動できます。北海に程近いこの地方は海洋性気候で、一年を通して気温は低めです。少しでも暖かい場所に行けるのも、ボートハウスのメリットです。

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時の流れを止めたかのように静かに佇む水の都「ブルージュ」。19世紀末のベルギーの詩人ローデンバックは、霧に閉ざされたブルージュの冬の風景を「死都」=「死んだ都」と表現しました。今その街は古の風景が残る街として人々に愛され、新たな息吹に包まれています。

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