水紀行ラインナップ
©BS日テレ©BS日テレ物語が生まれる水と緑の大地 イギリス コッツウォルズと湖水地方

2013年2月20日 初回放送

イギリスの首都ロンドンから、西へおよそ150キロ。
イギリス中西部に広がる丘陵地帯コッツウォルズ。
「羊のいる丘」という地名の通り、古くは羊毛の交易で栄えていました。

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独特の蜂蜜色の石灰岩、コッツウォルズストーンでできた家々と美しい清流の景色が印象的に広がります。

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コッツウォルズの北部に、年に一度珍しいマーケットが開かれる小さな街、 スノースヒルがあります。
16世紀に建てられた貴族の邸宅、スノースヒルマナーがその会場。

広さ80ヘクタール。東京ドームの17倍ほどもある広大な土地で、46種類ものリンゴの栽培が行なわれています。
毎年、収穫期の10月に敷地内のリンゴを使ったジュースやお菓子などを人々に提供しています。それが年に一度のオーガニックマーケットです。

リンゴはイギリス人にとって身近な果物。
19世紀には2300品種ものリンゴがイギリス国内で生産され、世界中に輸出されていました。現在は流通するリンゴの大部分を輸入に頼り、国内では55品種ほどしか栽培されていません。そんなリンゴの貴重さを訴えるマーケットです。

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コッツウォルズを代表するマナーハウスの一つに、スタンウェイハウスがあります。
ここは建設当時、イギリスで最も美しい水の庭園と言われました。
庭の中央には大きな噴水があります。
貯水池からひいた水を、水の重さを利用した仕掛けで高さ25メートルまで吹き上げています。重力だけを使った噴水としては、世界最大です。

邸宅の中には、豊富な天然水を使った施設があります。自家製ビール工房です。
18世紀当時のイギリスは産業革命による弊害で、河川の汚染が大問題となっていました。
当時の貴族たちは、汚い水の代わりに、湧き水で作ったビールで喉を潤していたのです。
「スタンウェイハウス」では、麦汁を薪の直火で温める18世紀の発酵方法を今も守っています。

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コッツウォルズにはナローボートと呼ばれる細長い船で運河を巡るツアーが多くあります。
アンディ・ブラウンさんと淳子(あつこ)さんのご夫婦は、ナローボートで暮らして14年。
自分達の住むボートに客を乗せ、クルーズする暮らしをしています。
水道や電気やガスも使える水上の暮らしでは、季節の移り変わりにも敏感になり、ご夫妻は水上ならではの喜びを感じています。

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コッツウォルズから、北へおよそ350キロ。古くからイギリス有数の保養地として 知られる湖水地方があります。
1000メートル級の山々に囲まれた渓谷に点在する、500以上もの池や湖。 その多くは1万5千年前の氷河期にできました。
広さ2300平方キロ、イギリス最大の国立公園でもあります。

豊かな水と緑が連なる牧歌的な風景は、古くから多くの文人に愛され、文学史上に残る数々の名作の故郷となりました。

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その一つが「ピーターラビットのおはなし」です。
湖水地方の南部、「ニアソーリー」に作者のビアトリクス・ポターが住んだ家が残されています。
元々は17世紀に建てられた農家で、ポターが使った当時の家具が残されています。
ポターが描いた絵本には、この家の中が舞台としてしばしば登場しました。

生涯を通して湖水地方の自然を愛したポターは、その財産の多くを使って広大な土地や農場を購入しました。そしてそれらを、国際的な保護団体ナショナルトラストに寄付したのです。
ポターの土地を含む湖水地方の3分の1の自然がナショナルトラストによって今も保護されています。

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ポターが晩年を過ごしたヒルトップの隣には、ソーリーハウス・ティールームがあります。
ここで一番の人気は、地元産のオーガニック素材を使った手作りスコーン。
たっぷりのクリームとジャムでいただきます。

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そしてもう一人、湖水地方の自然を誰よりも愛した18世紀の詩人がいます。
北部の街グラスミアに暮らした、イギリスを代表するロマン派の詩人、ワーズワースです。
1813年から亡くなるまでの37年間を、ライダルマウントと呼ばれる家で過しました。

ワーズワースの創作活動は、屋外で行うことがほとんどでした。
自然を愛するあまり、自ら庭の造園を行ったほどです。
1840年代、このあたりに鉄道の建設計画が持ち上がります。
しかしワーズワースが自然環境の保護を訴えたことで、計画は中止されました。
この時の運動がやがて、ナショナルトラストの自然保護運動に繋がったとも言われています。

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グラスミアから東へおよそ15キロ。ワーズワースの代表作「水仙」に謳われた湖、 アルズウォーター湖があります。
黄金色の水仙に縁取られたという湖面は、今も「イギリスで最も美しい」と讃えられています。

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アルズウォーター湖を運行する蒸気船は、100年以上の歴史を持つ世界最古の遊覧船と言われています。
雄大な水辺の自然は、詩や物語とともに新しい文化をも生んでいました。

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