古い歴史を持つヨーロッパ。そこには宝石を散りばめたかのように水が培った世界遺産が点在しています。今回は、世界水紀行スペシャル。東の端トルコから西の端ポルトガルまで、水と共にあるヨーロッパの世界遺産の数々を巡ります。まずはヨーロッパの玄関口トルコからです。
トルコ共和国の西部に位置し文化、経済の中心地である港町「イスタンブール」。街の南西部を占める「旧市街」。東洋と西洋が混在する美しいその景観は、1985年、世界遺産に登録されました。

東ヨーロッパの自然豊かな国「クロアチア」。首都ザグレブから南へ140キロ。その美しい自然が世界遺産に登録された場所があります。「プリトヴィッツェ湖群国立公園」。広大な峡谷に16の湖と90を越える滝が、緑の木々とともにバルカン半島の自然の雄大さを見せてくれます。

中央ヨーロッパ。チェコ共和国の首都「プラハ」。中世の面影を今も色濃く残す街並みは、「千年の都」「北のローマ」とも呼ばれます。当時の栄華を物語る美しい旧市街は、1992年に世界遺産に登録されました。

ヨーロッパの中核を成す「ドイツ」。
スイスアルプスを水源として、6カ国を経て北海に注ぐライン川。全長1320キロの半分以上は、ドイツを流れています。その中流で、沿岸に中世の城が密集するエリアがあります。「ロマンチックライン」とも呼ばれる流域で、2002年に世界遺産に登録されています。

干拓によって生まれた国「オランダ」。
ロッテルダムから南東へおよそ25キロに「キンデルダイク」の街があります。 別名「風車の街」。18世紀に作られたという風車が19基、運河沿いに並んでいます。オランダを象徴するこの風景は、1997年、世界遺産に登録されました。

ヨーロッパ大陸の中央。スイスとフランスとの国境に、三日月の形をした湖が横たわっています。スイスを代表する湖、レマン湖です。その北側に広がる丘陵地帯、ラヴォー地区では1000年の昔からブドウが栽培されています。 この歴史あるブドウ畑の美しい景観は、伝統的なワイン作りとともに2007年に世界遺産に登録されました。

イタリア、トスカーナ州の州都フィレンツェで600年前、新しい芸術の流れ ルネサンスが花開きました。歴史あるこの街は、1987年、世界遺産に登録され ました。フィレンツェの象徴と言われる建物が、「サンタ・マリア・デル・フィ オーレ大聖堂」。「花の聖母マリア」という意味を持つこの大聖堂は、石積みの 大聖堂としては世界最大を誇ります。

1000年の栄華を誇るフランスの首都パリ。
この街の繁栄や人々の暮らしを支えてきたのが、全長780キロもの大河「セーヌ川」です。その流れと岸辺の美しい風景は、「パリのセーヌ河岸」の名で1991年、世界遺産に登録されました。セーヌ川にはパリ発祥の地と言われる「シテ島」があります。シテ島にそびえる「ノートルダム大聖堂」は、パリを代表する建物として世界的に知られています。

首都パリから西におよそ360キロ。イギリス海峡の湾に浮かぶ小さな島に建てられた修道院「モン・サン・ミッシェル」。カトリックの重要な巡礼地であるこの修道院は、1979年、周囲の湾と共に世界遺産に登録されました。一人の司教が「この岩山に聖堂を建てよ」という大天使ミカエルのお告げに従い、小さな礼拝堂を建てたのが始まりです。

スペイン南部の街「グラナダ」。水と緑にあふれたこの街は「アンダルシアの宝石」とも呼ばれています。
グラナダの歴史は、多様な民族による支配の歴史でもあります。
５世紀には西ゴート王国の支配を受け、8世紀から15世紀までは イスラム王朝に統治されます。そのイスラム王朝の伝統を今に伝える建物が1984年に世界遺産に登録されたアルハンブラ宮殿です。宮殿の中は華やかな王侯貴族の世界が広がります。「アラヤネスの中庭」は、イスラムの美の極致とも呼ばれています。各国からやってきた大使が王に謁見する前に、この場所で歓談したといいます。

ポルトガルの首都リスボン。街は15世紀、大航海時代に繁栄の時を迎えます。
当時のリスボンの人口は35万人ほど。世界一の大都市でした。
1983年、世界遺産に登録された「ベレンの塔」があります。
ベレンの塔は、1520年に川を往来する船の監視や防衛の為に要塞として建築しました。海に突き出た監視塔の丸い天井の造形など、機能本位の要塞とは相反する美しさを持っています。

悠久のときを超えて水が培ってきた世界遺産の数々。それは、人類の財産として私たちを魅了し続けています。