大自然と人の営みが織り成す無限の宝が満ち溢れる、水の惑星「地球」。
今回は水とともにある絶景の世界遺産を巡ります。

まずは中央ヨーロッパに位置するスイスの首都「ベルン」に向かいます。
ベルンは永世中立国のスイスにあるため一度も戦禍に遭わず、石造りの街並みが中世の姿のまま残っています。
美しく佇むベルンの旧市街は、1983年に世界遺産に登録されました。
ベルンには旧市街だけで100ヶ所以上の噴水があります。そのほとんどが16世紀に作られたものです。アーレ川や地下水を水源とし、それぞれに装飾が施されています。
アルプスの雪解け水が磨いたベルンの古い街並み。その美しい姿は「真珠」とも呼ばれています。

地中海に浮かぶ世界遺産、フランス「コルシカ島」。およそ8700㎢の面積のこの島は、今から2億5千万年前の海底火山の噴火によって誕生しました。
ポルト湾とジロラッタ湾、スカンドラ半島を含む一帯は1983年に世界遺産に登録されています。中でもスカンドラ半島と周辺の海は、国内唯一の自然保護区に指定されています。
世界遺産の玄関口の街、ポルト。海岸線には切り立った赤い花崗岩の断崖が続きます。日差しの強い地中海は、水分の蒸発により塩分濃度が高くなります。その濃い塩水が風で吹き上がり岩を侵食することで、タフォニと呼ばれる無数のくぼみが出来たのです。
地中海の自然の結晶といえるタフォニで最も有名なのがハートの形をした穴、「ハートロック」。ハートの上の岩は、見つめ合う男女の姿をしているとも言われています。

トルコ共和国の西部に位置する港街「イスタンブール」。首都「アンカラ」を上回る国内最大の都市で、トルコの文化、経済の中心地として栄えています。
アジア大陸のアナトリア半島と東ヨーロッパ大陸のバルカン半島にまたがり、街の中央をボスポラス海峡が走っています。東西の文化と歴史が凝縮されたイスタンブールの街の南西部を占める「旧市街」。東洋と西洋が混在する美しいその景観は、1985年、世界遺産に登録されています。
旧市街にあるギリシャ正教の教会として建てられました「アヤソフィア」はイスタンブールを象徴する建物で、その姿は街の歴史を今に伝えています。

そのアヤソフィアと向かい合うように建っているのが市内で最も美しいと言われるモスク、「スルタンアフメット・ジャーミィ」です。
このモスクが建てられたのは1616年。回廊のある中庭と幾重にも重なったドームは、オスマン建築の最高傑作と言われ、ドーム全体を覆う青い装飾から「ブルーモスク」と呼ばれています。
イスラム教では「青」は聖なる色とされており、壁のステンドグラスにも青が多く使われています。2階の回廊の壁は、赤と青の鮮烈な配色と幾何学模様が特徴のイズニックタイルを21000枚も使って飾られており、今なお建設当時の輝きを保っています。

トルコ共和国の中央部。古代の火山活動で隆起した高原地帯が広がる、「カッパドキア」。一帯には、奇妙な形をした岩、「奇岩」の風景が点在しています。「きのこ岩」と呼ばれるこの不思議な造形は、太古の火山活動と水がつくり出しました。広大な屋外美術館とも言えるその景観は、1985年に世界遺産に登録されています。
カッパドキア観光の目玉「気球ツアー」。上空から奇岩群を満喫します。自然が作った大地の彫刻と上空を舞う無数の気球が魅力的な風景を生んでいます。

トルコ南西部の丘陵地帯にある「パムッカレ」。パムッカレは古くから、綿の一大産地として栄えた事から、トルコ語で「綿(わた)の城」という意味をもちます。
村の中心部には、万年雪を頂いたかのような純白の崖があり、豊かな水を湛えたアクアブルーの丘が広がっています。この「石灰棚」と呼ばれる自然の造形は、浅い水溜りが棚田の様に何層にも積み重なったものです。
丘の頂上には、この土地の歴史を今に伝える遺跡があります。紀元前2世紀にペルガモン王国が建設した古代都市、「ヒエラポリス」です。遺跡の中には当時の水路も残っています。ヒエラポリスの遺跡群はパムッカレの石灰棚と共に1988年に世界遺産に登録されています。

青く輝く惑星「地球」。およそ70パーセントを覆う水は、大地を潤し、命を育むだけでなく人々を癒す絶景も生み出しています。