水紀行ラインナップ
©BS日テレ©BS日テレ©BS日テレ©BS日テレ運河と庭園が織りなす水の都 中国 蘇州

2012年9月26日 放送

中国東部。大都市「上海」に隣接する水郷の町「蘇州」。
今からおよそ2500年前、春秋時代に呉国の王「闔閭(こうりょ)」が築いたとされる中国で最も古い都市の1つです。街の広さは東京のおよそ4倍。そのほぼ半分が湖や運河という水の都です。

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蘇州が築かれた紀元前6世紀。街の周囲には敵の侵入を防ぐ為に8つの水門が置かれました。その1つ「盤門(ばんもん)」が今も残っています。
「盤門」は、歩いて市内に入る陸の門と船で潜る水門の2つで構成されています。水門の上には、扉を上下させる「轆轤(ろくろ)」という仕掛けがあります。いざという時にはこれで一気に扉を落とし、敵の侵入を防ぎました。

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市内の高台に蘇州を築いた呉国の王「闔閭(こうりょ)」の墓があり、「虎丘(こきゅう)」と呼ばれています。
王の遺体とともに3000本の名刀が葬られたと知った秦の始皇帝が墓を掘り返し、その後、その穴に雨水が溜まり、墓は水に没したと伝えられています。
「虎丘」には街で最も古い塔、「雲岩寺塔(うんがんじとう)」が立っています。地盤沈下で3.5度ほど傾いている事から、イタリアの「ピサの斜塔」にならって「東洋の斜塔」と呼ばれています。

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日暮れとともに山塘街は幻想的な雰囲気に包まれます。夕暮れと供に賑わうのが中国の喫茶店である「茶館」。
中国では夜にお茶を飲む習慣があります。中国十大銘茶の1つ「碧螺春(へきらしゅん)」。蘇州郊外で栽培されている緑茶の一種で、甘い香りが特徴とされます。
「山塘書院(さんとうしょいん)」では、地元の伝統芸能「評弾(ひょうだん)」の演奏も楽しめます。「評弾」とは古くから茶館で演じられるのが習わしとされており、男女2人が中国三味線と中国琵琶を演奏しながら、数百年前の故事を呉の時代の言葉で歌います。

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明の時代、蘇州では資産家たちがこぞって贅沢な庭園を作りました。当時作られた庭園の1つが「拙政園(せっせいえん)」です。
東京ドームとほぼ同じ広さで市内最大を誇ります。庭園は敷地の70パーセント以上が池です。蘇州の庭園文化は、中国国内でも最高の評価を受けています。
「拙政園」では「借景(しゃっけい)」という手法で北塔報恩寺(ほくとうほうおんじ)の景色が庭園にうまくはめこまれています。「拙政園」を含む蘇州の庭園は、1997年に世界遺産に登録されました。

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明の時代の「摂政園」に対して、その後の清の時代の傑作とされる庭園が「留園(りゅうえん)」です。
敷地面積2万平方メートルは「拙政園」に次ぐ2番目の規模です。回廊の窓は1つ1つが違う模様で飾られています。内部に模様を組んだ窓枠は漏窓(ろうそう)と呼ばれ、その向こうの景色を強調する手法です。
敷地内に庭園の装飾としておかれたのが太湖石です。太湖石は、蘇州近郊だけで取れる石で、石灰石が水によって侵食され穴があいた奇岩です。「留園」には、中国国内で最も有名な太湖石(たいこせき)、「冠雲峰(かんうんほう)」があります。高さ6.5メートル、山の峰のようにそそり立って見えることから名付けられました。

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蘇州市の中心部に位置する繁華街「観前街(かんぜんがい)」。この一角に400年以上の歴史を持つ老舗レストラン「得月楼(とくげつろう)」があります。
蘇州料理の専門店として市内で1番の人気を誇る名店で、常に満席状態です。
蘇州料理のひとつ、「桂魚(けつぎょ)の甘酢ソースがけ」。桂魚は食感が軟らかく小骨がないため、中国では高級食材として扱われます。中国で「淡水魚の王様」と言われる桂魚。街に彩りをそえる水の流れは美食も育んできました。

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京杭大運河のほとりに禅宗の寺院があります。「寒山寺」です。
寒山寺の建立は519年。寒山と拾得(じっとく)という2人の名物僧侶が様々な逸話を生み出したことで有名になりました。この時には、7世紀の唐の時代に作られて、その後紛失し、20世紀初頭に再現された鐘があります。この鐘の音を聴くと10年若返ると言われています。8世紀の詩人「張継(ちょうけい)」は、旅の途中でこの鐘の音を聴いた時の感慨を詩に詠っています。

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蘇州から南東へおよそ40キロ。「周荘(しゅうそう)」は江南を代表する水辺の街です。古い家並みが残るこの街は昔ながらの水郷の風情を今に伝えています。
水郷の街「周荘」の物語を演じる水のショー、「四季周荘」。ステージの周りには水が張られ、渡し舟は行き交うなど周荘の街と風景が再現されています。この舞台は四季周荘の名の通り、春夏秋冬の街の暮らしや姿を描いており、新しいエンターテインメントが街の古い暮らしぶりを今に伝えています。

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周荘のほど近く。上海と杭州の中間に位置する「烏鎮(うちん)」は酒造りの街として有名です。豊かで上質な湧き水があり、それを利用した酒造りが発展してきました。
地元名物のお酒「三白酒(さんばいじゅ)」は、14世紀、明の時代から作られています。「三白酒」は、明の皇帝が即位した際の貢物として歴史に登場しています。材料は米と水だけ。三白酒の濃厚な香りと味、口あたりの軟らかさは、土地の豊かさの証です。

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かつてこの地を訪れた冒険家、マルコポーロは「東方見聞録」のなかでこの町を「東洋のヴェニス」と表現しました。「天上に極楽あり、地上に蘇州あり」。中国の人々は美しい庭園が残る水の都を「地上の楽園」と讃えています。

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