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©BS日テレ©BS日テレ音楽に彩られた歴史遺産の街 メキシコ グアダラハラ

2012年4月25日 放送

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中央高原の西部、首都メキシコシティに次ぐメキシコ第二の都市・グアダラハラ。ハリスコ州の州都で、人口165万が暮らしています。
16世紀に、スペインの植民地として建設されたグアダラハラは、その美しい街並みから「西部の真珠」と呼ばれ親しまれています。
ソカロ(広場)の正面に立つ大聖堂・カテドラルは、スペイン統治時代に先住民を改宗させるためにスペイン人により建てられたものです。その建設には、植民地予算の3分の1という莫大な費用が投じられました。1561年の着工から完成まで、およそ60年。工事期間が長かったため、古代神殿を模したトスカナ様式や、窓からの日差しを極力抑えたアラブ様式など、その時々の建築様式が混在しています。
内部の天井や壁には、中央高原特有の乳白色の石材が使われています。正面の祭壇は、随所に黄金の装飾が施され、上部にはステンドグラスが取り付けられており、荘厳な雰囲気に満ちています。

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17世紀に建てられ、現在も使われているハリスコ州庁舎。1810年に、メキシコ独立の父と呼ばれるイダルゴ神父が先住民の解放を宣言した歴史の舞台です。
1階から2階へ向かう中央階段の天井には、そのイダルゴ神父の巨大な絵が描かれています。タイトルは「立ち上る イダルゴ」。グアダラハラの出身で、メキシコ三大壁画家のひとりに数えられるクレメンテ・オロスコが描きました。
メキシコ革命下の1920年代オロスコらを中心に発生した、新しい芸術の流れ「メキシコ壁画運動」。独立戦争の意義や、メキシコ人のアイデンティティーを広く後世にまで伝えようと始まりました。文字が読めない人たちにもわかり、また、誰もが見ることができるよう、壁画という手法がとられたのです。

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「オスピシオ・カバーニャス」—スペインのカバーニャス伯爵によって、新古典主義の様式で建てられたこの建物は、病院施設を持つ孤児院でした。1980年の閉鎖までに、6000人以上の孤児がここで育てられたといいます。1997年には、世界遺産に登録されています。建物の内部には、オロスコによって描かれた50をこえる壁画や天井画が残っています。

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グアダラハラから南東へおよそ8キロ。トラケパケの街は、とあるメキシコの伝統文化の発祥地と言われています。それは、7人~12人位で編成され、ギタロン・バイオリン・トランペットなどを演奏する「マリアッチ」と呼ばれる楽団です。
「マリアッチ」は、フランス語の「マリアージュ=結婚」から名付けられたとも。メキシコでマリアッチは祝い事の音楽として、祭りや宴会、記念日などの時に親しまれています。
トラケパケのレストランでは、食事を食べながらマリアッチの奏でる音楽を楽しむことが出来ます。楽団はどんなリクエストにも応えられるよう、500曲以上のレパートリーを用意しているのだとか。
メキシコ人は独立戦争の最中にも「戦いを忘れて歌を歌おう」というほどラテンアメリカ有数の、歌好きで知られています。

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グアダラハラからは、週末になるとテキーラ村行きの特別列車が運行しています。
テキーラ村とは、その名の通り、メキシコを代表する蒸留酒テキーラ発祥の地。テキーラ村までは、列車でおよそ2時間。7両編成の車内は観光客で一杯です。
メキシコには、テキーラの製造に細かい規定があり、テキーラ火山の麓にあるテキーラ村と、その周辺地域で蒸留された酒しか「テキーラ」を名乗れないのだそうです。
テキーラの原料は「アガベ」と呼ばれるリュウゼツランの一種です。リュウゼツランは、世界に150種類以上ありますが、そのうち130種近くがメキシコに植生しています。そのアガベで出来たお酒が、メキシコで最も愛されているテキーラなのです。テキーラの蒸留所とアガベの畑は、2006年、世界遺産に登録されました。

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グアダラハラから南へ50キロ。メキシコで最大の湖があります。標高1524メートルの高地に広がるチャパラ湖です。広さは、日本の琵琶湖の三倍に迫る1740平方キロメートル。
週末ともなると、グアダラハラ市内や近郊の住民がチャパラ湖畔での休日を楽しもうとやってきます。水辺の少ないグアダラハラの人たちにとって、チャパラ湖は最も身近に水と触れあえる場所なのです。
この湖の最大の魅力は、湖に沈む夕日の美しさ。人々は遊覧船に乗って夕景クルーズを楽しみます。
太陽の国・メキシコ―その夕日が湖を染める様は格別です。空も水も、すべてを黄金色に染める夕日。それを見る人々もまた、絶景の一部になるのです。

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