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©BS日テレ©BS日テレ古代文明が眠る街 メキシコシティ

2012年4月11日 放送

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アメリカ大陸のほぼ中央に位置するメキシコ合衆国。その首都であるメキシコシティは、標高2240メートルの高地に位置し、国民のおよそ12分の1にあたる880万人が暮らす近代都市です。今の都市の姿からは想像もつかないことですが、かってメキシコシティは湖上に浮かぶ大きな都市だったのです。

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街の中心部に、メキシコの歴史を象徴する「三文化広場」という場所があります。その名の通り、異なる時代の三つの文化が共存する場所で、14世紀初頭のアステカ帝国の遺跡、スペインの植民地時代の教会、そして、独立後の現代の建物まで、メキシコシティのおよそ700年の歴史が広がっています。

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16世紀頃よりメキシコを統治したスペインは、アステカ帝国の神殿や宮殿を破壊し、その石材でスペイン風の市街地を築きました。そのスペイン統治時代の面影が色残る場所があります。「ソカロ」と呼ばれる中央広場です。広場の中央には、今も大統領執務室として使われている国立宮殿や、ラテンアメリカで最大級と言われる教会、メトロポリタン・カテドラルが立っています。

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メキシコシティから北へおよそ50キロ。4000メートル超の山々に囲まれたメキシコ盆地に、中南米で最大の都市遺跡があります。1987年に世界文化遺産に登録された、テオティワカン遺跡です。
テオティワカンは、紀元前2世紀頃から600年あまりの間、この土地に都市を築いたとされている古代文明です。最盛期には人口約15万人、政治や経済の高度なシステムを持ち、時のローマに匹敵するほど繁栄し、7世紀頃に突如、謎の消滅をしたと言われてます。
謎の文明・テオティワカン?、数多くのピラミッドが建造されていたとされています。現在も残っているのは、高さ65メートル、幅225メートルの「太陽のピラミッド」、そして、高さ42メートル底辺150m×130mの「月のピラミッド」だけです。

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14世紀初頭、アステカ人が水上の都を築いた古代の湖は、その後、侵略して来たスペイン人によって大部分が埋め立てられたため、現在では、その姿を見ることはできません。しかし、メキシコシティから南へ30キロほど行くと、古代の湖の面影に出会えます。運河の街・ソチミルコです。
ソチミルコは、悠久の時を映す水面とアステカ時代の伝統が残る街で、1987年には世界文化遺産に登録されました。
ここでは休日になると、派手な装飾が施されたトラヒネラと呼ばれるチャーター船が運河を行き交います。メキシコシティをはじめ、近郊の町からやってきた人々がトラヒネラに乗って思い思いの時を楽しむのです。
客を乗せたトラヒネラ以外にも、観光客に土産物を売る船や、食事を提供するレストラン船、メキシコの伝統音楽を奏でるマリアッチ船など、様々な船が繰り出し、運河はお祭りさながらのにぎわいを見せます。

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週末はにぎやかなソチミルコも、平日は「メキシコで一番静かな場所」と言われるほどの静寂に包まれます。
運河沿いのそこかしこには、アステカ時代に湖を埋め立てて作られた畑があります。地元の農家は、アステカ時代から続く独特の農法を守って野菜を栽培しています。伝統の農法とは、運河の底の土を堆肥に利用することです。水底に堆積した枯葉などが発酵し、栄養分豊かな土となり、それが天然の肥料となるのです。そのため、この地の農業において、化学肥料はいらないと言います。
世界遺産に認定された水辺の風景は、静かな毎日も、にぎやかな週末も、運河を流れる水のように、ゆったりとした魅力をたたえています。

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