水紀行ラインナップ
©BS日テレ©BS日テレ 絶景の世界遺産Ⅰ ヨーロッパ

2012年4月4日 初回放送

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今回はヨーロッパの国々をめぐり、水と寄り添い築かれた絶景の世界遺産を旅します。
フランスの首都パリの郊外、ヴェルサイユの街から物語を始めます。17世紀から18世紀にかけてのブルボン王朝時代、この街はヨーロッパでひときわ輝きを放っていました。その輝きの中心となっていたのが、ヨーロッパで最も豪華な宮殿と言われるかつての王宮、ヴェルサイユ宮殿です。
宮殿の主は太陽王と謳われたルイ14世。もともとは貴族が狩りを楽しむために建てられた小さな館を相続したのがルイ14世で、1661年に彼は世界でも稀にみる豪華な宮殿の建築を命じました。国の内外から当時一流の建築家や画家、彫刻家が集められ、半世紀ほどの歳月をかけ、一応の完成を見たのが1710年でした。
ヴェルサイユ宮殿は富と権力の象徴であり、国王がすべての権力を握る絶対王政のシンボルだったのです。ヴェルサイユの宮殿とその庭園は1979年に世界遺産に登録されています。

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宮殿内に足を踏み入れると、ルイ14世の当時の権勢が感じられます。合計578枚もの鏡が飾られた「鏡の間」。彼はここに玉座を置くほど気に入っていたと言います。
絢爛豪華な「王の寝室」のベッド周辺は赤を基調とし、ところどころに金がちりばめられています。ルイ14世はバラを好んだことで知られ、中でも深紅のバラが一番のお気に入りでした。
ヴェルサイユの庭園は「水の庭園」と呼ばれ、豊かな水に彩られています。中でも「ラトーヌの泉」はヴェルサイユの水辺を代表する噴水です。宮殿建設の際、ルイ14世が最も力をいれたのが庭園造りでした。彼は三つの意図とともに宮殿の噴水を作らせたと言います。「水なき地に水を引き国王の力を示す」、「その力により貴族を従わせる」、「国民に庭園を見せ民衆の心をつかむ」。ヴェルサイユの庭園はルイ14世の力を見せつけるための場所だったのです。

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イタリア半島の付け根にある水の都・ヴェネツィアは、アドリア海の干潟に築かれた100を超える人口の島々からなり、その美しい光景は1987年に世界遺産に登録されました。
街の中心を流れる大運河、グラン・カナルを中心に大小150以上の運河が街中を走り、人々の移動や物流を支えています。
地元の人々にとっては船が最も身近な乗り物。ここを訪れる人は誰もが名物のゴンドラに乗り込んで水上散策を楽しみます。
もともと独立した共和国だったヴェネツィアは、中世には地中海貿易によって大きな富を得ていました。ゴンドラから見える中世の建物群から当時の繁栄ぶりが伺えます。街の中心部にあるサンマルコ広場に面して立つのが、共和国時代の8世紀建造の総督邸、ドゥカーレ宮殿です。「黄金の階段」と呼ばれる宮殿への入り口は、金箔と漆喰で華やかに装飾されています。宮殿の内装には当時貿易相手だったイスラム諸国の影響も見られます。

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ルーマニア中央部・トランシルヴァニアへ。この地方にあるプレジュメール村には、防壁に囲まれた「要塞」の名を持つ教会があります。教会の壁に穿たれた窓には射撃台が見て取れます。
15世紀、オスマン帝国の軍勢により幾度も戦火にさらされたトランシルヴァニア盆地。戦火から市民を守るため、時の統治者たちは教会を要塞にしたのです。この要塞教会は、1999年に世界遺産に登録されました。
そして、職人組合「ギルド」が中心になって作られた街・シギショアラには、14世紀の建物が今なお多く残っています。おとぎ話のようなその街並みは、1999年に世界遺産に登録されました。
シギショアラ旧市街の入り口には、街のシンボルである時計塔が立っており、当時の仕掛けが今も動き続けています。街の発展とともに防衛や政治にも関わっていた職人組合ギルドが建設した塔は、シギショアラに9箇所残り、500年を超えて佇むそれらの文化遺産は、当時の職人たちの高い技術力を物語っています。

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スペイン南部に位置するグラナダは、「アンダルシアの宝石」と呼ばれる美しい街。その歴史は、多様な民族による支配の歴史でもあります。紀元前3世紀には古代ローマ、その後5世紀には西ゴート王国、8世紀から15世紀まではイスラム王朝に統治されていました。グラナダの街並みには、さまざまな民族によって形作られた文化が混在して残っています。
この街を代表する建物がイスラム王朝の伝統を今に伝えるアルハンブラ宮殿です。そのあまりの美しさに、当時の人々に「王が魔法を使って宮殿を作った」と言わしめたというこの宮殿は、1984年に世界遺産に登録されています。

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かつてグラナダを統治していた砂漠の民・イスラムの人々にとって、水は最高の宝でした。水を尊ぶイスラムの民が作ったアルハンブラ宮殿は、水をたたえた美しい姿で知られ、いたるところで心安らぐ水音が奏でられています。
池に面して建てられた「貴婦人の塔」はその代表。「水の宮殿」と呼ばれるヘネラリフェ離宮の中庭には、全長50メートルもの細長い池があり、その両側には噴水が並びます。
イスラム王朝が去って500年余り。主が去った今もなお、アルハンブラ宮殿は時を越えて心地よい水音を響かせ続けています。

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