第112回 建築
2021年3月4日 放送
"建築のたしなみ"をおさらい
【建築家に注目して東京を巡ろう】
一級建築士でありながら紀行作家としても活動する稲葉なおとさんが日本の有名建築家の建物をナビゲート!
●新宿 東京都庁舎 建築家:丹下健三
・設計したのは建築界で“世界のタンゲ”とも呼ばれる丹下健三氏。
丹下健三氏の代表作は「国立代々木競技場」や「フジテレビ本社ビル」、バカリズムさんが毎年単独ライブを行う「草月会館」など。
・東京都庁舎は世界4か国を感じることができる名建築。
世界にアピールできるように東京都庁舎の外観には日本古来の縦の桟を強調した「縦繁障子」のデザインが施され、格子戸などのデザインが盛り込まれているほか、最先端の建築でもあるため「コンピューターチップ」のような回路を外観に表現。
・外観を見ると特徴的なのは上層階の2本の塔。
デザインの意図は、真ん中に空間を設け、圧迫感を軽減するためと、丹下さんが住まいを持つニューヨークのマンハッタンから見える光景をイメージ。
東京都庁舎の外観には「アメリカ」「フランス」そして「日本」が感じられる。
・もう一つ、注目すべきポイントは東京都庁舎の向かいにある広場。
バチカン市国の中心地「サン・ピエトロ広場」をイメージ。
●銀座 中銀カプセルタワービル 建築家:黒川紀章
・黒川紀章氏は東京都庁を設計した丹下健三氏の弟子の一人。
大学院の研究室に所属していた時期に設計事務所を設立。
卒業後はさらに2つの会社を設立。1970年の大阪万博で著名な建築家の中では最年少でありながらパビリオンを3つ制作。
・中銀カプセルタワービルには普通の建物ではありえない ある特徴が。
それは、カプセルを一つ一つ取り外せること。
部屋の一つ一つがカプセルになっており、取り外すことができる。
1972年に建てられた当時はメタボリズムという建築運動が盛んでその中心であった黒川紀章氏は建物が古くなったら取り壊すのではなく、取り替える(新陳代謝する)ことで建物を存続させていくことができる建物。
しかし、過去実際に取り替えたことはないそう。
・部屋は約6畳ぐらいのスペースで、トイレ・お風呂を除く生活スペースは4畳ほど。
室内には49年前そのままのテレビ、固定電話、オープンリールデッキが残されており、テレビはチューナーを固定電話は契約をすれば使用可能。
人気が高く、抽選にはなるがマンスリー契約で家賃は月12万円で入居可能。
●港区高輪 グランドプリンスホテル新高輪 建築家:村野藤吾
・東京都庁を設計した丹下健三氏のライバルと言われ「東の丹下、西の村野」とまで言われたのがグランドプリンスホテル新高輪を設計した村野藤吾氏。
村野氏の建築の特徴は品がありながら華やかで豪華な点。
建築全体が工芸品のように細部まで丁寧に細かく作られている。
・一般的なホテルはガラス張りでバルコニー付きというのは珍しいが、グランドプリンスホテル新高輪はリゾートホテルをイメージして建てられているため全室にバルコニーがついている。客室からは見ることができないバルコニーの底面まで細かくデザインが施されている。
・村野氏の優雅で上品な建築の特徴は、普段見逃しそうなエレベーターにも。
エレベーターの扉にはアコヤ貝が装飾として使用されている他、エレベーター内の天井にもアコヤ貝が敷き詰められている。
・グランドプリンスホテル新高輪の目玉は大宴会場「飛天」
大物芸能人の結婚式やディナーショーで使われる場所でもある。
・建物に入ると目の前に現れるのはエントランスホール「うずしお」
螺旋状のスロープを下り徐々に飛天への期待感を高めて行く。
飛天はテニスコート約8面分の広さを誇り、その天井に村野建築の象徴・アコヤ貝が所せましと敷き詰められており、その数 約30万枚。
天井の照明をつけるくぼみにいくにつれアコヤ貝を密集させるなど細かなこだわりが見て取れる。
【地方の美しい建築に泊まろう】
これまでに500軒以上の名建築ホテルを泊まり歩いた稲葉さんがオススメする美しい建築を堪能できるホテル
●皆生温泉 東光園(鳥取)
有形文化財に指定されているホテル。お風呂がオススメで美肌の湯としても有名。
一泊2食付で2万円〜。
●サンライズ九十九里(千葉)
ホテルの目の前にある有料道路で景観が邪魔されないよう建物全体が12mほどの高さに設計されている他、稲葉さんの一番のオススメは、明け方から外に出て建物を見ること。
朝日が昇ると、建物自体が羽を広げて飛び立つ鳥のように見えるそう。
バカリズム 今夜の総括
「カプセルの建物、いつかロボット調にしてもらいたい。住民は大反対するでしょうけど。」