放送内容

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#158:パラ射撃 水田光夏

2023年10月29日

ピンクの髪が印象的なパラ射撃水田光夏選手。

水田選手をそばで支えるのが母・テルミさん。
普段の生活をサポートするだけでなく競技中も一番近くで見守ります。
親子2人で挑むパリ大会。

1997年、東京都町田市に生れた水田選手。
幼い頃から クラシックバレエに打ち込む、踊りが大好きな女の子でした。

しかし、中学2年の時、手足に違和感を覚えて病院へ。
手足の神経が麻痺し、筋力が低下していく進行性の難病「シャルコー・マリー・トゥース病」を発症していたのです。

現在は、病気により手足の感覚がありません。
大好きだったバレエも続けることが困難に…

17歳の時、パラアスリートが集まる講演会へ母が連れ出します。
そこで水田選手の目にとまったのが比較的動きの少ないパラ射撃。

一方、競技を行うことで、病気の進行を早めてしまうかもしれないというリスクもありました。

18歳の時、本格的にパラ射撃を始めた水田選手。
競技をはじめるにあたり、銃を扱うための所持許可を取得します。

2017年、競技を始めてわずか1年で出場した全日本選手権で2位という結果に!
その後、全日本選手権 4連覇で日本では敵なしの女王へ!

水田選手が射撃に使うのは、エアライフルと呼ばれる空気の力で弾を押し出す、空気銃です。
競技は、60分間で60発の弾を撃ちます。
1発を平均で1分以内に撃たなければならないため60分を通して撃つリズムを崩さず集中できるかがポイントになります。

狙うのは10m先にある、500円硬貨ほどの小さな的!
そして勝敗のカギを握るのが、真ん中の直径0.5mmの的!
青い部分は5円玉の穴とほぼ同じ。
10m先にある小さな的に真っ直ぐ命中すれば満点の10.9点。
ただし、中心から0.25ミリずつズレる毎に点数が0.1ポイントずつ減点されていきます。

水田選手のストロングポイントはブレの少なさ。
「呼吸を止めながら撃つこと」で銃身のブレを抑えていました。
一方、病気の影響で心肺機能が弱く、呼吸を止めることは「体への負担が大きい」という弊害も…
そのため、酸素吸入をしながら競技を行っていました。

そうした中、迎えた東京パラリンピック。
これまで大会で認められていた〈競技中の酸素吸入〉が「酸素を使うことは有利になる」という見解から、禁止になったのです。

水田選手は競技中、呼吸困難に陥り、結果は32位で予選敗退。

課題克服へ、母テルミさんは大きな決断を下します。
テルミさんは、試合中はもちろん射撃用テーブルのセッティングも行います。

これまでストロングポイントであった「呼吸を止めてブレをなくす撃ち方」から「呼吸をしながらでもブレをなくす撃ち方」へと変えました。

ポイントとなるのは「呼吸のリズム」
呼吸のリズムを一定にすることにより60分間、安定した状態を保てるようになりました。

元々、呼吸が浅い水田選手。
リズムが安定することで、揺れが少なくなり銃身のブレも取り戻すことが出来ました。

練習方法にも変化が。
東京大会までは数をこなすことを意識していましたが、現在は時間を区切り、安定した呼吸での練習を中心に行っています。

呼吸法の改善は、結果につながり始めています。
去年6月にフランスで行われた国際大会で、見事、6位に!
続く8月の韓国大会では、国際大会、自己最高となる5位!

パリへの出場権争いに挑む水田光夏選手と母のテルミさん。
親子2人の挑戦の日々は続きます。

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