放送内容
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2020年9月6日
リオで銀メダルを獲得し、東京パラリンピックで金メダルが期待される競技・ボッチャ。
障がいに関係なく誰もが楽しめるパラスポーツ。番組では日本最強といわれる2人の戦いを追い続けてきた。
正確なコントロールショットと緻密な戦略で試合を支配する世界ランキング2位・杉村英孝。
対するは、圧倒的なパワーショットで相手を翻弄する日本のエース・廣瀬隆喜。
熾烈を極めるライバル対決の裏にボッチャの奥深さを知る秘密が隠されていた。
さらに、東京パラリンピック内定を決めた廣瀬選手をリモート取材。
コロナの自粛期間中に生まれたというマル秘練習法が明らかに。
ストロングポイントがはじめて2人の対決を取材したのは、3年前。国内最強を決める頂上決戦、日本ボッチャ選手権で2人は名勝負を繰り返してきた。
杉村選手「彼がいるから、存在があるから自分も頑張ろう、強くなろうという気持ちにもなりますし。」
廣瀬選手「切磋琢磨しながら、競い合いながら、これからをやっていきたいと思います。」
まずは、ボッチャのルールをおさらい。
ボッチャは的となる白い球、ジャックボールにいかに近づけられるかを競う競技。床の上のカーリングともいわれている。競技が行なわれるコートは縦12・5m、横6mの長方形。まず先攻の選手がジャックボールを投げ入れる。先攻の赤、後攻の青が持ち球を一つずつ投げたら、ジャックボールから遠い方が、常にボールを投げる。
個人戦では1エンドにつき、持ち玉は一人6つずつ。12球すべて投げ終えた時点で得点を計算する。
障がいの種類や程度によって4つのクラスに分けられるボッチャ。杉村選手と廣瀬選手が出場するのは、BC2クラス。
ボッチャには大きく分けて3種類の投げ方が。
ボールに寄せるアプローチと、ボールを弾くヒット。そしてボールを押すプッシュ。
廣瀬選手が最も得意とするのが持ち前のパワーストロークを生かしたヒット。
一方、杉村選手は緻密さが必要なアプローチを得意としている。
過去8年間、互いに優勝を分け合ってきた2人。
2017年・18年は正確なコントロールと緻密な戦略で杉村選手が廣瀬選手を圧倒してきた。
去年12月。
優勝すれば東京パラリンピックの代表内定を勝ち取る21回大会も決勝は2人の対決に。しかし、杉村選手が有利と思われた大一番でリベンジを果たしたのは廣瀬選手。
勝負を決めた1球はどこだったのか?
第3エンド。
手前の青球を絶妙な力加減で押して1対1に持ち込んだプッシュ。
村上監督「あのプレーはやっぱりすごいプレーで。同点でもいいやっていうくらいの思い切りのよさというか。自分が今プッシュが調子がいいからプッシュでいこうと。あそこでプッシュを選択することがあのゲームを制した」
1点ビハインドの中、ヒットやアプローチで一気に2点を取って逆転したいところ、敢えて一番調子のいいプッシュを選択し、同点を狙いにいった。
東京パラリンピックの代表内定を勝ち取り、練習に励んでいた廣瀬選手を襲ったのが、新型コロナウイルスの感染拡大で東京パラリンピックの1年延期。自粛が続く今、廣瀬選手はどこで練習しているのか?
廣瀬選手「ちょっと自宅の一部を荷物を整理して。リオのときに使っていたタラフレックス(床材)がちょうどあったので。6mくらい敷いているんですけど。」
実は、ボッチャの日本代表チーム・火の玉ジャパンは、リモート練習に力を入れている。見据えているのはリオで敗れ金メダルを奪われた、打倒タイ代表。
村上監督「日本の足りないものは、ってなったときに、その判断力の早さというか。タイが考えていないことを先読みして考えるっていう戦術の高さが日本に求められている。」
日本チームが金メダルをとるために始めたリモート練習がこちら。
村上監督 「3、5、2、1」
数字を読み上げるこの練習は一体?
廣瀬選手「リモートでやっていくうちに、デュアルタスクやった方がいいんじゃないかというので。」
デュアルタスクとは、2つ以上の課題を同時に行うトレーニング。
村上監督「順番が3、5、2、1、6、4」
この数字はボールを投げる順番。ランダムに読み上げられた数字を記憶し、1から6へと順に投げる。さらに…
村上監督「赤がヒットで青がアプローチ。」
つまり右から3番目、1球目の青球にはアプローチ、その横2球目の赤球にはヒット。投げる順番と球種を一瞬で見分ける、判断力が求められる。
廣瀬選手「試合時間でいうと個人戦は4分なので。投げる判断が早くなればなるほど持ち時間が、すごい有効に使えるそれはすごいいいのかなと思っています。」