放送内容

放送内容

第196回 東京パラリンピック出場内定選手特集

2019年12月29日

東京パラリンピック開幕まで、あと239日。
われらが日本のパラアスリートたちは世界で勝つために日々、己を磨いている。
ストロングポイントの放送開始は前回大会、リオパラリンピックの年。今回の放送で196回目。番組では多くのパラアスリートの軌跡を追ってきた。
そして、東京パラリンピックまで1年を切ったいま、続々と出場内定選手が決まっている。パラリンピック4大会に出場し、大会連覇も成し遂げた車いすテニス 国枝慎吾選手や、初出場のニューヒロイン、陸上400m視覚障害クラスの佐々木真菜選手など、番組で紹介してきたメダル候補たちが、ずらりと並ぶ。
そこで今年最後の放送は、東京パラリンピック出場内定選手の中から、番組ナビゲーターの上田晋也がこれまでに取材した注目のパラアスリートを特集。

まずは、この番組で最初にお会いしたコチラのパラアスリートから。
パラスポーツ界を代表する国枝慎吾選手。
車いすテニスの最高峰「グランドスラム」で22勝。世界が認めるテニスプレーヤー。パラリンピック初出場はアテネ大会。ダブルスで金メダルを獲得すると、北京大会ではシングルスで金メダル。ロンドン大会で連覇を達成した。そして去年、東京パラリンピック代表選考のかかった、アジアパラで優勝。出場内定、個人種目で男子第1号になった。
チェアワークをいかした新しい武器を今年、国枝選手は手にした。
それが「ネットプレー」。
習得に向け、去年から新しいコーチを迎え入れた。

国枝「全体的にネットに出る回数は増えている。岩見コーチは元々ダブルスがうまかった選手。ネットプレーがすごく得意な選手。どういった場面で前に出るのか、どういった場面で前に出ないのか、明確に教えてもらっている。すごく効果が出ている」

その効果があらわれたのは今年4月のジャパンオープン。
相手はリオパラリンピック、シングルスの金メダリスト、リード選手。国枝選手はチャンスとみるや、前に出て「ネットプレー」。
新たな武器を効果的に使い、リード選手を圧倒した国枝選手。
見事、この大会を優勝。東京パラリンピックへ弾みをつけた。

続いては、車いす同士のぶつかり合いが唯一認められているパラ競技、車いすラグビー。両手両足に障がいがないと選手登録できないこの競技。コート上の選手は1チーム 4人。前方へのパスが認められ、ゴールラインを越えれば得点となる。
前回のリオパラリンピックで初めて銅メダルを獲得。
去年行われた世界選手権では悲願の世界一を成し遂げた。
東京パラリンピックへの出場は開催国枠ですでに内定。
上田晋也が体験して驚いたのは日本代表初の女性プレーヤー、倉橋選手のディフェンス。
かなり重い障がいがある彼女だが、試合では彼女より障がいの軽い男性選手をキッチリとディフェンス。
そして、攻撃の中心といえば、キャプテン池選手とエース池崎選手。2人のホットライン、イケイケコンビが日本の武器。
今年10月、世界のトップ8が集結した世界一を決める大会。イギリスとの3位決定戦でも、この2人が躍動。
世界ランク4位のイギリスに勝利し、銅メダルを獲得。東京では、さらに上を狙う。

続いては、パラ水泳で3種目の世界記録を持つ全盲のスイマー、木村敬一選手。
パラリンピックに3大会連続で出場し、合計6個のメダルを獲得。今年9月の世界選手権では金メダル。東京パラリンピック出場が内定した。
東京ではパラリンピック自身初となる、金メダルを目指す木村選手。そのために去年4月から練習拠点をアメリカに移した。指導するのは、これまで2人の金メダリストを育てた名コーチ。
木村選手の課題は後半のスタミナ。
パワータワーと呼ばれる器具を使いスタミナを強化。腰にロープをつけて泳ぎ、水を入れたバケツを引き上げる。体に負荷をかけ、心肺機能と筋力を高める。練習中は水が足され続け、最終的には20キロもの重りで泳ぐ。
その効果は、てきめん。アメリカに渡り1年で自己ベストを6度更新した。
東京で目指すは金メダル。
初のメダル獲得を狙うニューヒロインにも期待がかかる。

パラカヌー・瀬立モニカ選手。
初出場した前回のリオパラリンピックでは8位入賞。
今年8月の世界選手権で5位入賞、2大会連続でのパラリンピック出場が内定した。
パラカヌーは200mの直線水路でタイムを競うスプリントレース。ゴールまでのおよそ1分間を全力でこぎ続ける実にハードな競技。
長いパドルを力強く扱うためには筋トレは欠かせない。重さ10キロの車いすごと懸垂。この3年間で自己ベストを10秒以上も更新。世界トップとの差はおよそ3秒まで縮まった。

瀬立「大きい差ではあると思いますが、詰められない差ではない。(今年)5月から8月の3か月で5秒縮めることができた。乗り越えられない差ではない」

続いて、視界ゼロで行う、ブラインドサッカー。
ブラインドサッカーでは公平に試合をするため、選手はアイマスクを着用。そしてボールには特別な仕掛けが。選手はこのボールの音を頼りにプレーする。
これまでパラリンピックの出場経験がなかった日本代表だが、東京パラリンピックへは開催国枠で出場が内定している。
東京でメダル獲得を狙う日本。それを成し遂げるにはキャプテン川村選手の活躍が不可欠。わたくしも応援に行った今年3月、世界8か国が参加したワールドグランプリでは世界ランク4位のスペインを下し、予選リーグをトップで通過。国際大会初のベスト4入りを果たした。
その原動力になったのがキャプテン、川村選手の個人技。
それが、ボールを止めることで転がる音を消す。その名も「消えるドリブル」。

川村「2016年から練習で取り組み始めてゴールにつながった。一回ボールを止めたとき、ゴールまで距離があったので進んだ、2回目止めたのが個人的な成長。今まで1回目に止めてシュートして入らなかった。2日目に止められたことで冷静に相手を見極められた。狙い通りにシュートを打ち切れた。」

最後は2020年に向け、決意の言葉。

国枝「リオという舞台はケガに泣いた。ケガがない状態でいま頂点にいる選手たちに戦いを挑んで、決してお前らに劣っているわけじゃない。それを証明したい」

池崎「後悔のしない過ごし方をしたい。あれやっておけばよかったと。言い訳を作りたくない。しっかり金メダルをとる準備。それは計り知れないものと思う。そこまでしないとたどり着けない。そういう気持ちで過ごしたい」

木村「いまだかつてないパラリンピックに注目してもらえるチャンス。このチャンスを逃すと次はない。一人でも多くの人に足を運んでもらいたい。来年のパラリンピックでは今までとってない金メダルをとれるようにしっかりがんばりたい」

瀬立「覚悟を決めて、2020年9月5日にすべてを出し切れるように、これから冬場にすごくつらい練習が待っている。がんばりたい」

川村「もっともっと成長してメダル獲得を目指して、世界一のプレーヤーを目指して、全力をつくして極めていきたい」

シェア
LINE