放送内容

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第221回 水泳東京パラリンピックメダル候補SP

2020年7月26日

去年の世界選手権で2つの銀メダルを獲得した、全盲のスイマー、富田宇宙選手。
そして、去年の世界選手権の銅メダリスト。弱視クラス、23歳の辻内彩野選手。
さらに、2016年リオで銅メダルを獲得した肢体不自由クラスの山田拓朗選手、29歳。
自粛中の興味深いパラアスリートの取り組みが明らかに。
東京パラリンピックで活躍が期待されるメダル候補たちの今に迫った。

現在、400メートル自由形、100メートルバタフライで世界ランク1位の富田宇宙選手。
富田選手のストロングポイントは「最後まで落ちない泳速度」。
レース中盤にタイムをキープ、さらに終盤ペースアップする泳ぎを追及している。
そんな最後まで落ちない泳速度を支えているのがこちらのトレーニング。鍛えたい部分にカフを巻きつけ空気圧で締め付ける加圧トレーニング。筋肉を無酸素状態にすることで効果的に負荷をかけることができる。
このトレーニング、目的は筋肉を鍛えるだけではない。

富田「当然あまりにもきついんですけども、ただその分なんていうか試合の後半に体が動かなくなってくる感覚にすごく近いんですよ。この機械でトレーニングして動かない感覚っていうのが,それが試合でもいきてくるなって僕は感じたんで積極的に取り入れている。」

自粛期間中も富田選手は自宅でこのトレーニングを取り入れていた。
他にも…

富田「自粛期間中に体を結構いい方向に変えたいなと思って、肩とか股関節とか元々、体が結構硬いんですけど、そこをなんとか柔軟にしようっていう取り組みとかウエートとかも部屋で揃えてやってたんですけど、こうずっと好きなだけできるんで、何かやりすぎちゃって3時間とかは平気でやってましたね。」

さらに、自粛期間中に過ごしたという熊本の実家の庭に設置した簡易プールでもトレーニングを行ったそう。
そんな富田選手が戦う視覚障がいクラスは3つのクラスに別れている。
富田選手は最も重い全盲クラスだが、最も軽いS13クラスにもメダルが期待される選手が。
それが、辻内彩野選手。
辻内選手は去年の世界選手権、100メートル平泳ぎで日本女子唯一の銅メダルを獲得した。
そんな辻内選手のストロングポイントは「スタートダッシュを生む加速力」。
スタートで浅く飛び込み、すぐに浮き上がると一気に加速。
このスタートから抜け出す磨き上げた泳ぎで現在、辻内選手は自由形、バタフライなど9種目で日本記録を保持している。
そんな辻内選手が自粛期間中に行っていたトレーニングとは。

辻内「ストレッチマットを敷いて、その上で腹筋や背筋をやったり、あとはゴムを家中にある手すりに引っ掛けてひいたりとか小学生ぶりに縄跳びをしたり二重跳びは簡単に飛べて色々試行錯誤しながら、家にあるものを使ってトレーニングしていました。」

身近な物を使いトレーニングをしてきた辻内選手。自粛期間中に改めて気が付いたことがあるそう。

辻内「今までは、いつプールに行っても泳げたり、いつでもトレーニングできるとかそういうのがあれは当たり前じゃなくて、本当は感謝すべきだったんだなとかあとは自分は恵まれてる環境にいるんだなっていうのは改めて感じました」

続いては、肢体不自由クラスの山田拓朗選手。
パラリンピックに4大会連続で出場、2016年のリオでは、銅メダルを獲得。
そんな山田選手のストロングポイントは「進化し続ける泳速度」。
100分の1秒が勝敗を分ける世界、水中でのスピードは誰にも負けない。
東京で悲願の金メダルを掴むため、さらなる進化へ。
山田選手の泳速度に欠かせないのが筋力トレーニング。

山田「体幹は体の幹なので、そこがふにゃふにゃだと力を発揮した時に力が逃げちゃうんですけどそうならないようにここで全て連動するようにつなげる」

速く泳ぐために重要なのが体を真っすぐにし、水の抵抗を少なくするストリームラインと呼ばれる姿勢。
しかし、推進力があがるほど、水の抵抗も増すため、よい姿勢を維持することが難しくなる。そこでストリームラインを維持できるよう体幹を強化。すべては泳速度をさらに進化させるため。
そんな山田選手、自粛期間中はどう過ごしていたのか?

山田「家の中でできるトレーニングをほんとにちょこっとやったりとか、あとは、マスクをして少し家の周りを走ったりとか、ぐらいですかね。ストレス溜めないっていうのが一番自分の中では、大きかったんで、まあ嫌にならない程度に軽く体を動かしたって感じですかね。」

1年後に延期された東京パラリンピック、3人の熱き思いとは。

富田「自己ベストで金メダルっていうのを本当に目指してるんでとにかく記録にこだわってこの一年過ごしていきたいなあとは思ってます。」

辻内「延期っていうものを私の中では、いいように捉えているので、東京パラ本番では、メダル争いの絡めるようないいレースができるよに頑張りたいと思います。」

山田「スポーツっていうのは、やっぱり、いろんな人の心を動かす力があるという風に自分自身も、感じているのでみんなが参加できてみんなで盛り上がれるまだいいなと思いますし、その中の力のひとつになれるように最大のパフォーマンスを発揮したいと思っております。」

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