放送内容
放送内容
2020年2月9日
リオパラリンピックで銀メダルを獲得。
東京で金メダルが期待されるのが、パラリンピックならではの競技・ボッチャ。
障がいのハンデなく、誰もが楽しめるパラスポーツ。
一年に一度、日本最強を決める日本ボッチャ選手権。
決勝に駒を進めたのは国内最強と言われる、二人。
世界ランキング2位、大会2連覇中の王者・杉村英孝。
そのストロングポイントは正確無比なコントロールショット。
日本の司令塔が見せた驚愕のプレーとは?
対するは、リベンジに燃える廣瀬隆喜。
日本のエースが一発逆転のパワーショットで相手を翻弄する。
国内最強の二人が織りなす超ハイレベルな激戦。東京パラリンピック内定をかけた戦いがはじまる。
去年12月、戦いの舞台は愛知県豊田市。
21回目を迎えた日本ボッチャ選手権大会。
参加人数は全クラス合わせて72名。ボッチャをプレーするすべての選手が目標とする国内最高峰の大会。
優勝すれば東京パラリンピックに内定する大会とあって場内は盛況。
5年続けて同じカードとなったBC2クラスの決勝。
前回王者の杉村選手とリベンジに燃える廣瀬選手。
杉村選手のストロングポイントは正確無比なコントロールショット。
対する廣瀬選手は一発逆転のパワーストロークが武器。
対照的な二人だが、リオの団体ではチームメートとして日本を初の銀メダルへと導いた。
その二人が長年しのぎを削ってきた日本選手権。
過去8年はどちらかが優勝。ここ2年は接戦を制した杉村選手が連覇している。
杉村選手「彼は強いので当然のことながらミスしたら負けると思います。なのでしっかり準備していい試合をできるように頑張りたいと思います3連覇しかないですよ。」
廣瀬選手「やっぱり3連覇は阻止したいと思っているのでフル全開、自分でやってきたことを全て注ぎ込もうかなとは思っています。」
まずはボッチャのルールをおさらい。
ボッチャは的となる白い球・ジャックボールにいかに近づけられるかを競う競技。床の上のカーリングともいわれている。
競技が行なわれるコートは縦12・5m、横6mの長方形。
まず先攻の選手がジャックボールを投げ入れる。
先攻の赤、後攻の青が持ち球を一つずつ投げたら、ジャックボールから遠い方が、常にボールを投げる。
個人戦では1エンドにつき、持ち球は一人6つ。
12球すべて投げ終えた時点で得点を計算する。
得点の権利があるのはジャックボールに一番近いボール。
この得点権をもつボールを「ニアボール」と言う。
これを第4エンドまで繰り返し合計点が多い方が勝利。
障がいの種類や程度によって4つのクラスに分けられるボッチャ。杉村選手と廣瀬選手が出場するのは、BC2クラス。
またボッチャには大きく分けて3種類の投げ方が。
ボールを寄せるアプローチ。
ボールを弾くヒット。
そして、ボールを押すプッシュ。
トップ選手はこの3種類を自在に組み合わせながら戦っていく。
ボッチャ日本選手権、決勝。
まずは、先攻の杉村選手が的球となるジャックボールを投げる。
張り詰めた空気の中、杉村選手の第1投。
セオリーはジャックボールに寄せながら相手投球の進路をふさぐこと。果たして?
見事なアプローチでジャックボールに寄せる。
廣瀬選手、いきなりプレッシャーをかけられた。
注目の1投目。
ジャックボールへの進路を塞ぐ赤球をどうするのか?
得意のパワーストロークでヒット。たった1球でジャックボールの前を空けた。
続いて、寄せたい2投目。
寄せはしたが、ジャックボールの前を空けてしまった。
これに杉村選手はジャックボール近くのボールを壁のように利用してピタリと寄せてきた。相手にジャックボールを直接狙わせない完璧なショット。
廣瀬選手の3投目。
またもパワーストロークでヒット。ジャックボールを大きく後ろに弾くことに成功した。
続いて、寄せたい4投目。
柔らかいアプローチ。ギリギリをついてジャックボールにピタリ。
一方、ジャックボールの前をガードされた杉村選手の3投目。
障がいの影響でショットが弱い杉村選手。
ボールを浮かし直接当てる事で見事に弾いた。
4投目。
珍しいミス。ジャックボールの前を空けてしまった。寄せきれなかったが一番近いニアボールは杉村選手の赤球。
投球は残り2球の廣瀬選手。
スーパーショット。
狙ったのはジャックボールと赤球の隙間。2つのボールがクッション代わりとなりピタリ。廣瀬選手の頭脳的なプレーで今度は残り2球となった杉村選手が追い詰められる展開に。
見事なヒットショットでジャックボールから青球を引き離した。しかし、まだニアボールは廣瀬選手。
杉村選手、最後の1球。
ジャックボールの前は青球が塞いでいる。
このショット、赤球を置く事で廣瀬選手のコースを塞ぎ、失点を1点にとどめる深い戦略。さすが前回王者。
廣瀬選手のラスト1球。
コースがないため、ボールを浮かしてジャックボールを奥に動かそうとしましたが、惜しくもミス。
杉村選手の見事な戦略で廣瀬選手、悔しい1点。
第2エンド。
杉村選手の緻密なコントロールショットでジャックボールの前を完全に塞がれた廣瀬選手。
ジャックボールの前にある赤球2つが進路を塞いでいる。
このピンチに廣瀬選手は自慢のパワーストローク。
敵の赤球とジャックボールをコートの外へ。
ジャックボールがコースアウトしたら中央に戻すのがルール。
お互い寄せ合ったあと、杉村選手、大事な4投目。
ジャックボールの前に寄せるのか?
ヒットしたジャックボールは廣瀬選手が直接狙えない位置に。絶妙な力加減で放たれたスーパーショット。一方、コースを塞がれた廣瀬選手は最後の1球も寄せきれない。
残り1球の杉村選手にチャンスが巡ってきた。
杉村選手のコントロールショットが土壇場で炸裂。
2点を獲得し、杉村選手が逆転した。
その後、第3エンドも大接戦。
青赤、全く同じ距離でこのエンド1対1。スコアは3対2で杉村選手がリード。
迎えた最終、第4エンド。
1点ビハインドの廣瀬選手が勝負に出る。
まさかのロングボールでジャックボールをコートの奥へ。
第1エンドから第3エンドまでは互いに、近くにジャックボールを置いてきた2人。
最終エンド、同点ではなく逆転を狙って勝負に出た廣瀬選手。
大事な1投目。
ジャックボールをかすめて奥に。
対する杉村選手はナイスショット。
しかし、ジャックボールにはかなり寄っていますが、廣瀬選手から見るとジャックボールの前が空いてしまっている。
このチャンスに廣瀬選手はスーパーショット。
この長い距離を見事にコントロールして、ジャックボールをプッシュ。杉村選手からはジャックボールがほとんど見えない位置に。
一気に形勢逆転。
杉村選手、一見、ミスショットに思える投球。
しかし、実はある思惑があった。
次の1球で杉村選手の戦略が明らかに。
見事なコントロールショット。ジャックボールを廣瀬選手が直接狙えない位置へ。ボッチャはジャックボールから遠い方が投げるのがルール。1点リードしている杉村選手は、大量得点を防ぐため、まず廣瀬選手のコースをガード。その後、ジャックボールに寄せた。つまり、2球を使ってジャックボールを狙いにくくする戦略だった。
絶体絶命の廣瀬選手。
杉村選手の緻密な戦略でジャックボールの前は完全に塞がれている。
この局面、打開できるか?
まさに奇跡の逆転ショット。
敵の赤球を弾き飛ばしながら乗り越えた青球がジャックボールの近くにポトリ。
今度は杉村選手、青球2つがガードとなりジャックボールは直接狙えない。
杉村選手、残り1球。
やはり前の青球がガードとなって、ジャックボールに近づけない。
結果は、このエンド2点を獲得した青・廣瀬選手がトータル4対3で逆転勝利。
ライバル・杉村選手にリベンジを果たした。
杉村選手「今日まで3連覇をとるためにずっと取り組んできましたので悔しい気持ちはありますけど、ゲーム内容については満足しています。」
廣瀬選手「1年間この大会に向けて色んなことをやってきたので、やってきたことが出せたので優勝になったのかなとは思います。」
優勝の廣瀬選手は東京パラリンピック出場が内定。
杉村選手の出場も有力視されている。
金メダル獲得へ、この二人から目が離せない。