ストロングポイント

毎週日曜 17:30~18:00放送

放送内容

第94回 陸上 走幅跳 前川楓

2017年12月02日 放送

パラ陸上の未来を担う、若手のホープ、走り幅跳び 前川楓(19歳)。昨年のリオパラリンピックでは、初出場で4位入賞。表彰台にあがりたいと、闘争心に火が付き、今年の世界選手権では、なんと銀メダル。彼女の、誰にも負けない武器は、「全速力でも上体がぶれない走り」。世界の頂点へ。
飛躍する19歳の、秘密に迫る。
前川選手は、三重県津市の生まれ。中学時代はバスケットボール部に所属。中学3年のときに交通事故に遭い、右足を膝上の太腿から切断。すぐには現実を受け入れられなかった前川選手を訪ねたのは、自らも右足を切断しながら、トップアスリートとして活躍していた大西瞳選手でした。
大西「もともと切断したばっかりの方とか、これから切断する方に会いに行く活動はやっていました。自分が切断したときにあまり情報がなくて不安だったので、実際に会って『こういうことはできますか?』と聞いたりすると、安心するんのではないかと思ってやっていたんですけど、楓ちゃんの場合はそれプラス、完全に陸上をやってほしいという気持ちで行きました」
前川「その時は、まったく陸上やる気なかったのに、陸上のユニフォームをプレゼントされて、『これあげるから試合に出てよ』って言われて、それで『ああ、はい』みたいな感じで、義足が履けて走れるようになってから、一回試合に出ました」
結果は最下位だったが、初めて陸上の試合で走って、楽しかったと言う。短距離の100メートルから陸上を始めた、前川選手は、その後、走り幅跳びをはじめた。そして、もっと遠くへ跳びたいと、夢中で練習した前川選手は、競技を始めてわずか2年で大西選手と肩を並べ、100メートルと走り幅跳びでリオパラリンピックへ。当時の自己ベスト、3メートル68を跳び、アジア記録を更新。初出場で見事、4位入賞を果たした。
前川「翌日になって、やっぱり悔しいなっていう思いが出てきて。さらに(同室の)辻紗絵選手のメダルをみて、自分もメダル欲しかったなってすごく思いました」
世界で戦うには、今より遠くに跳ばなければ。競技環境を変える決意をした前川選手。元オリンピック日本代表、井村久美子さんが、地元の三重で後進を育てていると知り、直談判で指導を仰いだのが今年初めのことだった。そんな彼女が、井村コーチと熱心に取り組んだのが、助走の改善。それから一年も経たないうちに、ストロングポイントにまで高めた助走。
井村コーチ「身体の中心部の体幹。コアっていわれる部分。そこが強くなって、それがそのまま走る動作にもうまくつなげられるようになったことが、一番変わった点ですね」
ポイントは体幹。井村コーチは、身体の中心部分の筋肉を徹底的に鍛えるよう指導してきたと言う。
全力で走ってもぶれない強靭な体幹があれば、かならず結果につながる。すると短期間で助走は改善され、前川選手の才能が開花。7月に行われた世界選手権で、銀メダルを獲得。世界の頂点を確実に、手繰り寄せてきた。残すは、金。さらなる栄光へ、跳躍の改善にも取り組み始めた。井村コーチが課題に据えたのは、踏み切りの姿勢。今年6月の日本選手権では、踏み切ったときに上体が後ろに残ってしまい、反発力をロスしていた。助走のスピードをうまく跳躍に生かせていなかったのだ。反発力を無駄なく跳躍に生かすため、現在は身体を立たせた状態で踏み切り、軸が足の真上に来るよう修正している。こうすることで、跳んだ瞬間に反発力が後ろに逃げることなく、その力をバネに、より高く長く跳べるようになる。本格的にフォームを見直すのは、そこから。課題をひとつひとつ克服し、可能性を広げていく。井村コーチとの、金メダルへの道のりは続く。

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