ストロングポイント

毎週日曜 17:30~18:00放送

放送内容

第93回 車いすフェンシング 安直樹

2017年11月25日 放送

車いすフェンシング・安直樹。2015年、16年と日本選手権連覇を達成し、東京でのメダル獲得が期待される安の武器は、『パワーを生かした剣の振り込み』。
一瞬の駆け引きで勝敗が決まる車いすフェンシング。攻撃後、前のめりとなって、がら空きとなった相手の肩口へ防御不能の一撃。この「振り込み」こそが、彼のストロングポイント。王者のプライドをかけて挑んだ日本選手権3連覇への戦い。最大のライバルとの死闘。戦いの中で見えた安直樹の進化とは?
安選手は、少し変わった経歴の持ち主。14歳の時、病気のために受けた手術が失敗。日常生活は歩いて過ごせるが、左股関節が曲がらないという後遺症を負う。しかし、「ある競技」との出会いによって、安選手は「パラスポーツ界のレジェンド」とまで呼ばれる存在に。その「ある競技」とは、「車いすバスケットボール」。持ち前のパワーと巧みな車椅子操作で、すぐさま注目の選手となり、2004年、26歳でアテネパラリンピックの日本代表になった。そして、一昨年、車いすフェンシングに転向。わずか9ヶ月で日本選手権優勝、さらに、2連覇という快挙も成し遂げた。
車いすフェンシングは、使用する剣の種類によって、フルーレ、エペ、サーブルの3つに分かれる。各種目により、ポイントの取り方と有効部分が変わるのが大きな特徴。フルーレとエペは剣の先端にこのように装置がついており、有効部分を一定以上の力で突くとポイントを獲得できる。今回、安選手がエントリーするのは、フルーレ。試合は決められた時間内に指定のポイント数を先に取った方が勝ちとなる。そして、健常者のフェンシングともっとも違うのが、地面に固定された車椅子。互いに手を伸ばせば届く距離で、激しい攻防が繰り広げられる。
予選を全勝で突破し、決勝トーナメントに駒を進めた安選手だが、前日のインタビューで、ストロングポイント『パワーを生かした振り込み』について気になる発言を…。
安「進化と言ったら言い過ぎだと思うが、ちょっとずつ成長している」
進化したストロングポイント、それは『途中で軌道を変える変幻自在の一撃!』。安選手最大の武器『肩口への振り込み』だが、この『振り込み』は、以前とは使われている技術が違う。
安「以前はパワーでバコーンと行っていた。今はしなりで行く感覚」
半年前は、力だけに頼っていたため、体が前に乗り出し、振り込み後は無防備な状態になる。今回は、腕のしなりで力を伝えることで、攻撃後も体を残し、次の攻撃につなげられるように改善。その効果が現れたのが準々決勝。開始直後から、相手も距離をとり膠着状態に。そこで、振り込みをすると見せて、相手をひかせ、無防備な腹部へ一撃。体が最後まで残っていることで、攻撃のバリエーションが広がった。この一撃で流れを完全に掴んだ安選手は、勝利して準決勝へ。そして、6月時点の日本ランキングで、試合のなかった安選手を上回り1位だった加納慎太郎選手を準決勝で破り、決勝も練習仲間の藤田選手に勝ち、3連覇を達成!3年後の東京で輝くために、たゆまぬ努力で磨き上げるストロングポイント。王者の戦いに終わりは無い。

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