ストロングポイント

毎週日曜 17:30~18:00放送

放送内容

第69回 車椅子バスケットボール 千脇 貢

2017年06月10日 放送

リオパラリンピック日本代表選手であり、ドイツリーグでも活躍する千脇貢選手。徹底的にチームのチャンスメイクを演出する「ピック&ロール」を進化させ、誰にも真似できない技を武器にしている。2020年を見据え、更なる課題に取り組み努力する千脇選手に密着した。

車椅子バスケは国内で70チーム、700人ものプレーヤーが参加している人気のパラスポーツ。コートの大きさやゴールの高さ、ルールなど、基本的に健常者のバスケと同じだが、異なるのは、障がいの度合いによって選手には持ち点が定められ、フィールド5人の合計が14点までとされていること。様々な障がいをもった選手が公平に参加するための仕組みだ。
事故により脊髄を損傷、下半身が動かない千脇選手の持ち点は2.5。創設48年目、過去13回もの日本一に輝く名門、千葉ホークスでプレーしている。チームの中でもひときわ大きな千脇選手は、タフなプレーが求められるパワーフォワード。高い位置でボールを奪取、大きな手でボールをわし掴み、味方へのパスキャッチも片手。実は千脇選手、日本のシーズンオフの期間はドイツリーグで活躍する「海外組選手」でもある。

千脇選手のストロングポイントは、「パワーで封じ込めるピック」。ピックとは「ピック&ロール」という連携プレーのひとつ。ゴール前で相手ディフェンダーを止め、そこで広がったフリースペースに味方を走り込ませてシュートを決めさせる。筋トレで養った強いパワーと持ち前の長い腕ろを持つ千脇選手は、左右の車輪で二人の相手ディフェンダーを止め、シュートチャンスを演出するのだ。

昨年、万感の想いで参戦したリオパラリンピック。千脇選手が車椅子バスケに出会った14年前、地獄の練習に食らいつき、5年後にやっと試合初出場。今やチームで不動の地位を築き、そして日本代表の座も手にした。彼をずっと見てきた、当時の千葉ホークスのキャプテンで、現在は日本代表アシスタントコーチを務める京谷和幸さんは、千脇選手をして「最高傑作の1人」と称賛する。

日本代表入りも果たした千脇選手が、世界と戦うために拠点を移したドイツ。そこで高いレベルの選手に揉まれる中、自身の課題が「シュートの精度」であることを痛感する。
ジャンプができない車椅子バスケでは、シュートフォームは人それぞれ。体幹が使える選手は腰をバネにしてシュートできるが、下半身に力が入らない千脇選手にとって、使えるのは手首のスナップと腕の力だけなのだ。そこで、わずかに残る感覚を頼りに背骨付近の筋肉を鍛え、体がグラつかずにバランスの取れるシュートフォームを猛特訓し、ものにしつつある。不屈のパワーフォワード、千脇貢選手、2020年を目指して更なる進化は続く。

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