ストロングポイント

毎週日曜 17:30~18:00放送

放送内容

第65回 アーチェリー 上山友裕

2017年05月13日 放送

20代前半、突然の両下肢機能障害を発症し、パラアーチェリーへ転向した上山友裕選手。昨年のリオパラでは見事、リカーブ個人7位入賞を遂げた。職場でも家庭でも明るくポジティブ思考の上山選手が、ひとり孤独に取り組む練習に密着。車いす上から70メートル先の的を正確に射貫く、そのパワーと集中力を生み出すストロングポイントに迫った。

上山選手が出場するアーチェリーのリカーブは、道具もルールもオリンピック・パラリンピックで共通、違いがない。実際に、オリンピック、パラリンピック両方に出場した選手もいる。
70メートル先の的に、制限時間4分間の1エンドごとに6本射ち、12エンド繰り返して72本射った合計点で競う。選手たちは、数十メートル先の的のどこに矢が当たったか望遠鏡で確認しながら狙いを調整していく。

上山選手のストロングポイントは「押す力でぶれない左手」。矢を放つ右手ではなく弓を支える左手に秘密がある。
的に狙いを定めて弓を構えるわずかな時間、一般的な選手は、弓の戻る力で押し手が小刻みに揺れてしまうのだが、上山選手の押し手は全く揺れない。矢を放つ最後の一瞬、上山選手は左手をわずかに前に押し出す。こうすることで照準がブレず、正確に的を射抜くことが出来るのだ。
健常者のトップ選手なみの強さの弓をラクラクと引く上山選手。強い弓に負けない押し手にするため、日々、地道な練習を欠かさない。ゴムで負荷をかけ、押し手の筋力を鍛え上げる。

いつもポジティブな上山選手がたった一度だけ塞ぎ込んでしまったことがあるという。それは、リオパラリンピックまであと1年と迫ったある時。父・博和さんが53歳の若さで帰らぬ人になってしまう。あまりに突然な別れに、上山選手は練習する気力を失い「もうアーチェリーを辞めよう」とまで思いつめた。しかし、その彼を立ち直らせたのは、家でも矢を射ることができるようにと父が自宅のガレージに作ってくれた練習場だった。その思い出の場所で、パラリンピック出場を楽しみにしていた父のため、もう一度挑戦することを決意する。そうして奮起し、ギリギリで日本代表の座を勝ち取って乗り込んだリオパラリンピックでは、父の思いと共に戦い、日本人トップの7位入賞を果たした。
次に目指すのは、東京での金メダル。父と追い求めてきた夢は、自分が父となった今、家族の夢に。

世界でメダルを獲るため現在目標としているのが、全日本社会人アーチェリー選手権。オリンピック出場レベルの健常者のトップ選手が数多く出場する大会だ。高い技術を持った選手たちに混じって力を試し、技を磨くのだ。また、射つフォームとリズムとを改善し、ストロングポイントをさらに進化させていこうとしている。
自身を支えてくれた父のため、家族のため、日本のエース・上山友裕の挑戦はこれからも続く。

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