ストロングポイント

毎週日曜 17:30~18:00放送

放送内容

第62回 車いす陸上 渡辺 勝

2017年04月22日 放送

今年2月に行われた東京マラソン車いす部門で優勝し、一躍2020東京パラリンピックのメダル候補に躍り出た渡辺選手。リオパラリンピック出場を逃し、味わった挫折…。その悔しさをバネに目指すは2020年の東京。25歳、ニュースターのストロングポイントに迫った。

福岡県・福岡市で生まれた渡辺選手。小学校から高校まで野球に明け暮れるスポーツ少年だったが、19歳の時、事故で車いす生活に。スポーツが出来ないもどかしさを感じていたところを車いすマラソンに導いてくれたのが、現在のチームメートであり日本記録を持つトップ選手でもある、洞ノ上こうた選手だった。練習に参加して初めての坂道。きつい傾斜を上りきり、Uターンしてその道を下った時に体感した驚異的なスピード…。そこから車いす陸上競技にのめりこんでいったという。

車いすマラソンは、「レーサー」と呼ばれる陸上用車いすに乗って42.195キロを走る。トップ選手のスピードは時速30キロを超え、下り坂では自動車並みの50キロにも達する。1レース中に漕ぐ回数は実に1万回以上だという。

渡辺選手の夢は「世界一」。だが、昨年のリオパラリンピックでは、トラック競技での出場を狙うも思うようなタイムが出せず切符をつかなかった。その大きな挫折をバネに挑戦したのが、今年2月の東京マラソン。リオの金メダリスト、スイスのマルセル・フグ選手をはじめ強豪が顔を揃えた。マラソン国際大会での優勝経験がない渡辺選手だったが、なんと見事に優勝!その実力を証明した。
実は渡辺選手、このレースで勝つため、明確なビジョンを持っていた。10キロ過ぎから終盤にかけては「体力温存」-先頭集団と一緒に走りながらも先頭には出ず、選手の後ろに隠れ風の抵抗を避けて走る。そして、ラスト200メートルで勝負!最終コーナーに入るタイミングで先頭に飛び出し、最後は自慢のスプリント力で振り切る。その戦略通りのレース展開で、リオ王者をも下す快挙を見せたのだ。

渡辺選手は、かつて打ち込んだ野球、ピッチャー経験のおかげで可動域が広くしなやかな肩甲骨を持つ。肩を大きく動かすことができれば、タイヤにより大きな力が伝わり、スプリント力につながる。そして、練習では長い距離を走るロードではなく、トップスピードで50メートルをひたすら走りこむようなトラック練習にこだわる。こうして磨いた「スピード」とタイヤに大きな力を伝えられる「肩甲骨の柔らかさ」が、渡辺選手のストロングポイント「敵を振り切るスプリント力」を生んだのだ。

現在、「ツーアーム・ドライブ」というチームに所属し、福岡を拠点に練習を行っている渡辺選手。時には合同合宿にも参加し、偉大な先輩たちに混じって特訓を重ねている。他の選手は、ストイックでありながらポジティブな渡辺選手の姿勢に刺激を受け、さらなる成長に期待を寄せている。
リオでの悔しさをバネに2020年の東京パラリンピックへ… 最高の舞台で世界一を目指す!

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