ストロングポイント

毎週日曜 17:30~18:00放送

放送内容

第56回 シッティングバレーボール 西家道代②

2017年03月11日 放送

女子日本代表主将・西家選手、49歳。年齢を感じさせない世界レベルのパワフルなレシーブの秘密を検証する。そして、日頃から活動する男女混合チーム「SOUL」が、初優勝を目標に挑んだ日本シッティングバレー選手権に密着!男性にも負けないプレーを連発する西家選手、チーム一丸となった熱い戦いを追った。

コートが小さくネットが低いシッティングバレーは、ボールの滞空時間が短いため、普通のバレーよりスピーディーでスリリング。そして、国内大会に限っては、健常者と障がい者が一緒に参加できる珍しい競技で、競技人口の7割が健常者だという。実際、西家選手が所属するクラブチーム「SOUL」のメンバーも大半が健常者だ。

シッティングバレー女子日本代表主将・西家選手。数センチの攻防が勝負を分ける試合における彼女の武器は、男子選手を上回るほどの広い守備範囲と正確なレシーブ力。5年間一日も欠かさず続けてきたストレッチで、360度どこでも拾える柔軟性を誇る。
一般的な選手は、軸足のヒザを軽く曲げるか、床に寝かせて構えるが、西家選手は、軸足を自分の体に引き寄せて足裏を床に着けたまま独特の構えをする。こうすることで、足裏全体で踏み切ることができ、体の柔軟性を活かしてより遠くのボールが拾えるのだ。
そしてこの独自の構えと強い踏み切りとを支えるのが、特注のシューズ。高橋尚子さんやイチロー選手、錦織圭選手など、トップアスリートたちのシューズを作ってきた、言わば「シューズ作りの神様」三村仁司さんに、西家選手が何度も頼みこんで誕生したシューズだ。いかに素早く動けるかが勝負を決めるシッティングバレーのため、靴の側面で蹴ったり、体を引き寄せたり、あらゆる動きに俊敏に対応できるよう、靴底のゴムを側面に貼り合わせ、試作を繰り返し、頑丈で滑らないシューズが完成した。今では全日本女子チームのほとんどがこのシューズを使っているという。
抜群の柔軟性と、研究を重ねて生まれた構え、そしてそのプレーを支える最高の道具が西家選手の日本一広い守備範囲を生んでいたのだ。

今年で20回目を迎える、シッティングバレーの日本選手権。全国から出場した強豪27チームにまじり、西家選手が所属するクラブチーム「SOUL」も。もちろん目指すは頂点だ。
以前は健常者としてバレーボールをプレーしていた西家選手。その時の9人制クラブチームが「Soul」の前身。
西家選手は、14年前、バレーの試合中に左ひざ靭帯断裂の怪我を負った。手術を繰り返し、懸命のリハビリに励むも、チームに復帰できる状態には戻れず5年半の月日が過ぎる。ひとりふさぎこみ、バレーを諦めかけた時に運命的に出会ったのがシッティングバレーだった。「またバレーが出来るかもしれない!」そんな想いで、西家選手はたった一人で体育館の片隅でシッティングバレーの練習をはじめる。その姿が仲間たちの心を動かした。「西家選手が9人制のバレーに戻れないなら、私たちが座ってバレーをすればいい…」何と、チームごとシッティングバレーに転向したのだ。
やるからには日本一!大切な仲間たちと喜びを分かち合いたい。チーム一丸となり練習を重ねてきた「SOUL」。日本選手権では、西家選手の柔軟性をいかしたスーパーレシーブが随所で光るも決勝で惜敗。しかし、準優勝は過去最高の堂々たる成績だ。

「日本で一番になるって事を目標にしてきたので、本当に優勝したら泣いてしまうと思います」
今回、号泣はお預けとなったが、家族同然に支えてくれたチームメイトとともに挑戦はまだまだ続く。そして、自分がシッティングバレーを一生懸命頑張ることが恩返しだと西家選手は言う。
最高の恩返しは2020年東京で。その日まで磨き続けるストロングポイント。夢の舞台で今度こそ、歓喜の涙を!

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