ストロングポイント

毎週日曜 17:30~18:00放送

放送内容

第44回 視覚障がい者マラソン 道下美里②

2016年12月17日 放送

リオパラリンピックで正式種目となった視覚障がい女子マラソン。39歳で初めて挑んだパラリンピックで銀メダルを獲得した道下選手。身長144センチ、小さな歩幅を生かしたピッチ走法で走り抜き、ゴール直後は「仲間のおかげ」と涙した。視力がほとんどない彼女にコースの状況やペースを教える'伴走者'。そんな仲間たちに支えられ、「チーム道下」として掴んだメダル・・・その知られざる物語に迫った。

障がい者マラソンは、伴走者と二人三脚の競技。「自分の力だけで獲れたメダルじゃない」―ともに走り、支えてくれた仲間がいたからこそ。そのチームの力を、慣れないブラジルの地で、あらためて実感したと言う。
伴走者の役割は、コースの状況を的確に判断し選手に伝えること。ランナーと伴走者をつなぐのは、直径およそ50センチの短いロープ、その名も「絆」。ほとんど目の見えない彼女は、どんなに走りたくても「伴走者」なくしては走れない。「絆」でつながった、一緒に走る仲間がいるからこそ、夢に向かうことができるのだ。

「チーム道下」を結成したのは2年前。練習をサポートしてくれる伴走者は、10人を数える。美容師、看護師など職業は様々だが、それぞれ、仕事の合間を縫って練習やレースなどを一緒に走る。
今回のリオで前半の伴走を務めたのは、青山由佳さん。市役所勤務の傍ら、フルマラソンにも出場するランナーだ。後半の伴走者は、堀内のりたかさん。これまで国際大会で2度、道下選手とともに走り、メダル獲得に貢献してきた頼れる存在だ。
前半では、道下選手のペースを見極めて力を温存させ、後半の伴走者に「絆」をつなぐ。伴走者は、レース展開も考えながらサポートするのだ。

リオデジャネイロでのレース当日、コパカバーナの美しい海岸線のコースを灼熱の太陽が照りつけ、気温は30度を超えた。リタイアする選手が続出する過酷なレース展開。20キロ手前、暑さでペースが落ちてきたスペインの選手を捉え、道下選手は3位に浮上する。その直後、伴走は後半の堀内さんへとスムーズに交代。しかし、前半目標のタイムに及ばず、いいペースを作れなかった悔しさから、伴走者の青山さんの目には涙が…。後半の伴走者・堀内さんは、ロープから道下選手の厳しい状況をひしひしと感じ取り、彼女の調子を少しでもあげるため、何度も必死に声をかける。
視覚障がい者マラソンのルール上、声がけは視覚に関わるガイドのみが許され、激励の類は行ってはならない。伴走者・堀内さんは、「このままじゃいかんぞ、行くぞ!」という思いを込め、声のトーン変えるなど工夫しながら熱心にガイドしたという。

過酷なコンディション下でも、道下選手は伴走者との絆を感じながら懸命に、しかし焦ることなく走り続け、30キロ手前でついに2位に浮上!追い抜くのは、あと一人…!金メダルへ向け、最後の力を振り絞ってペースを上げようとした矢先、異変が起きた。暑さによる影響で、ラスト2キロでふくらはぎに違和感が生じ、最後の踏ん張りがきかない―。しかし、仲間との絆を力に変え、粘り強いピッチ走法で最後まで諦めず走り抜き、見事に2位でゴール!3時間6分52秒の激走だった。

道下選手の初めてのパラリンピック挑戦は、銀。チーム全員で勝ち取ったメダルだ。帰国後の凱旋パレードでもその笑顔はまぶしく輝いていた。
ストイックな道下選手、「もっと進化できるはず」と、すでに練習漬けの日々を送っている。これからは、「何事にも動じない強さを養いたい」―目指すは、もちろん東京パラリンピック。そして、金メダル!

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