ストロングポイント

毎週日曜 17:30~18:00放送

放送内容

第172回 車いすテニス 菅野浩二②

2019年6月16日 放送

車いすテニス「菅野 浩二」。
東京パラリンピックでメダル獲得を狙う、日本が誇る車いすテニスクアードクラスのエース。
37歳ながら世界ランキングは3位。
遅咲きのエース、菅野には誰にも負けない武器がある。

「ラリーに持ち込む予測とフェイント」

得意なラリーに持ち込むために張り巡らせる緻密な計算。
磨きあげてきたストロングポイントで挑むリオ金メダリストとの決戦。
2020東京へ。負けられない戦いがはじまった。

福岡県、飯塚市。
静かなこの町で年に一度、アジア最高峰のテニス大会が開かれる。
今年で34回目を迎えた、ジャパンオープン。
世界のトップ選手が集結、優勝争いに火花を散らす。
男子の世界ランク1位といえばケガからの完全復活を遂げた日本が誇るレジェンド・国枝慎吾選手。
そして、女子の世界ランク2位が日本のエース・上地結衣選手。
国枝選手と上地選手、2人がそれぞれ戦うのは下肢に障がいがあるクラス。
実は、東京パラリンピックでメダル獲得が期待されるクラスが、もう一つ。
上肢にも障がいのある選手が出場するクアードクラス。
握力の弱さなどをカバーするためラケットと手をテーピングで固定することが認められている。
一般的にクアードクラスは手で操作するチェアワークが難しいため、スピードが出にくく、ラリーが続かない傾向が。
そんな中、クアードクラスでラリーを武器に世界ランク3位に位置しているのが、菅野浩二選手。

車いすテニスの世界ランキングはポイント制。
少しでも上のランクを勝ち取る為にトップ選手のほとんどは少々のケガでも試合に出続ける。
37歳の菅野選手が世界で戦える理由。
それは、上肢に障がいがあるクアードクラスでは突出した「ラリーの力」。

菅野「足が速い訳でもないのでボールが飛んでくる前にある程度予測立てて走っておいて予測通りボールがその位置に飛んでくることによって構える準備だったりとかが出来るんでより次の球がしっかり打てるんでポイントをどんどん重ねていくことはできるかなとは思っています」

菅野選手のストロングポイント…「ラリーに持ち込む予測とフェイント」。

世界のトップ選手との戦いで、ストロングポイントがどう発揮されるのか?
準決勝の対戦相手は現在世界ランク1位のディラン・アルコット選手。
早いチェアワークとパワーストロークが得意なクアードクラスの最強王者。
リオパラリンピックの金メダリスト。
東京でのメダル獲得へ、試金石となる一戦。

菅野「まだ自分が一度も勝ててない選手。勝つっていうことは自信にもつながる。その先が東京パラリンピックだとしたらそういう事にもつながってくる。倒したいと思います」

第1セット、ゲームカウント1対1で迎えた第3ゲーム。
アルコット選手は積極的に前でプレー。菅野選手、返す事ができない。
これ以上引き離されたくない第4ゲーム。
絶妙なドロップショット。
得意のラリーに持ち込むも、左右に振られて…最後は前へ…
ゲームカウント5対1。追いつめられた第7ゲーム。
またも前に出てきたアルコット選手が圧倒。勢いに乗った王者が第1セットを先取する。
流れを変えたい第2セット。
第3ゲームは互角のままデュース。
菅野選手、素晴らしいショットが決まる。バックハンドのトップスピン。高く弾む球にさすがのアルコット選手も対応できず。
ここで菅野選手、勝負にチャンスと見るや、前でプレー。強い打球にアルコット選手の返球はアウト。この試合、はじめてリードを奪う。
菅野選手のアドバンテージで迎えた第4ゲーム。
チャンスボール与えてしまうも、焦らず返球を予測。相手選手が打つ前に、すかさずクロス側へ。さらに、画面から消えるほど深い位置から一気に斜め前へ。ドロップショットが来ると予測。
セットカウント1対1の、五分に戻した。
勝負は、最終第3セットへ。
バックハンドで返した後、相手が打つ前にストレート側に方向転換。予測通り返ってきたボールを仕留めた。
ここから菅野選手が逆襲。2ゲームを取り返す。
迎えた第5ゲーム。
見事なロブショット。
しかし王者も譲らず…菅野選手、得意のラリーに持ち込むも…まさかのミス。
このミスから一気に流れはアルコット選手に。
あと一歩及ばず。

菅野「世界一に勝つのはそんなに簡単ではない。もっと努力が必要だなと思いました」

とはいえ、過去4回の対戦で1セットも奪えなかった相手を苦しめたことは、確かな手応えに。

菅野「レベルがどんどん上がっているのは自分でも実感できているので東京までしっかり準備していきたいと思っています」

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