ストロングポイント

毎週日曜 17:30~18:00放送

放送内容

第168回 パラ卓球 竹内望

2019年5月19日 放送

パラ卓球 竹内望。
去年、国際大会では金メダルに輝き、国内では無敗を誇るパラ卓球界・期待の新星。
そんな彼女には世界で勝つための武器がある。

「前陣でのパワープレー」

どんな状況でも、積極果敢に攻め続ける攻撃スタイル。
さらに、スーパースローで分かった、驚きの事実。
ボールの回転を無にする驚異のフォアハンドとは?
2020年東京パラリンピックへ。
日々、挑戦し続ける25歳の新星。
その素顔と強さの秘密に迫った。

三人姉妹の末っ子として生まれた竹内選手。
出産時に首を圧迫したことで、首から右手の指先まで障がいが残ったそう。
握力を測ってみると…右手は左手のおよそ4分の1。そのため、左手でプレーしている。

パラ卓球は、障がいの程度によってクラスが分かれ、1~5が車いす、6~10が立位。竹内選手は立位の中でも障がいの程度が一番軽いクラス10に属し、国際大会では、常に上位の成績を収めている。
竹内選手の練習拠点となる社会人卓球チーム「花野井クラブ」。
全国大会にも出場する強豪でメンバーは男女あわせて17人。
平均年齢は52歳と、経験豊富な選手が多いなか、ひときわ若い25歳の竹内選手はチーム唯一のパラ選手としてプレーしている。

竹内選手が卓球と出会ったのは、小学生の頃。
卒業アルバムに書いた将来の夢は「プロの卓球選手」だった。

竹内「小学校5年生とかで自分の母校の鎌ケ谷中学校というところですね。土日に姉がバレー部に入って居たので、父親と見に行ってたんですよ。それで暇で隣で卓球部やってて、卓球部で見てもらえないかというのを父親がお願いしにいって、『そしたらじゃあ見ましょう』っていうきっかけで、そこで恩師と出会いました」

恩師と語るのが…中学校時代の卓球部顧問の菅井浩樹先生。
菅井先生との出会いが、その後の卓球人生を大きく変えた。

竹内「めちゃくちゃ怖かったです。体育館に入ってきた時点で自分らはブルブルしてましたし、すごいほんと逃げ出したいことすごいありましたし。けどやっぱそういうところを怒ってくれたのは菅井先生でしたし、逃げようとしている自分を逃げさせないようにしてくれた」

そして2015年。
国際クラス別パラ選手権で優勝、日本一に。
翌年には初の国際大会で表彰台に立ち、パラ卓球界・期待の新星として注目の存在となった。
国内では、いまだ無敗。

卓球には、大きく3つのプレースタイルがあり、台に近いポジションをとる前陣、そこから少し下がる中陣、そしてさらに下がる後陣。
後陣は相手ボールへの対応時間が長くなるが、その分、動く範囲が広くなる。
一方、竹内選手のスタイルでもある前陣は動く範囲は狭いですが、相手から近く、ボールへの対応時間が短いため高い瞬発力が求められる。

竹内選手のストロングポイント…「前陣でのパワープレー」。
一体、どんな秘密が隠されているのか?
相手が打ったボールが頂点に達する前に打ち返すという竹内選手のスマッシュ。通常、ボールは頂点に達した時が最も打ちやすいタイミング。移動範囲も中陣後陣と広く対応しやすい。
一方…前陣でボールが頂点に達する前に打ち返すことにより、中陣や後陣に比べ、相手がボールに対応できる時間が短くタイミングが取りにくくなる。
前へ出て、果敢に仕掛ける。こうした「前陣速攻」のスタイルこそが、竹内選手の強さの秘密だった。
さらに、竹パンチという名前の回転が止まるスマッシュが。
通常、ラケットに当たったボールは回転するが、竹パンチはラケットに当たった瞬間、ボールがほぼ無回転に。

竹内「ラケットはまっすぐなんですけど、イメージとしてはこう下に落とすんですよ。でもイメージとしてはそうすると、こう下回転が逆回転がかかるんですけど、それを少し前に押しながら下目に押してあげることによって、ボールの回転が止まってるっていう形なんですよ」

日々の練習を重ねることで、難易度の高い「竹パンチ」をものにした竹内選手。それが国際舞台で初めて発揮されたのは、去年10月、スロベニアで行われた世界選手権。
相手は格上、中国の選手。
この試合の得点の内訳を見ると半分以上の「56%」の得点につながったのが 前陣のフォアハンド。つまり、竹パンチでの得点だった。

来年に迫った東京パラリンピックへ向け、日々の練習に打ち込む、パラ卓球・竹内選手。その夢を後押ししてくれる存在が…
竹内選手のカラダづくりをサポートするトレーナーの丹波ひとみさん。
現在、重点的に行っているのが下半身の強化トレーニング。
下半身を鍛え上げることでストロングポイントである前陣でのパワープレー、そして必殺の竹パンチにもさらなる磨きがかかる。

そして先月半ば、千葉県の体育館で関東全域から卓球愛好家およそ300人が集まった大会があった。
年齢も様々、初心者から上級者とレベルを合わせた各グループで行う練習試合。その中で全国大会に出場する選手が集まるグループ、そこに竹内選手の姿があった。

実は竹内選手、去年10月の世界選手権以来、およそ半年間、公式戦から離れている。今年5月から行われる5つの国際大会は東京パラリンピック出場につながる重要な大会。そこへ向け、男女混合でしのぎを削るこの日の試合は大事な調整の場でもあり、腕を磨く絶好の機会。
そしてこの日の午後、対戦したのは竹内選手の中学生時代をよく知る菅野選手。強豪チームで活躍する大先輩。これまで一度も勝ったことがない。

序盤は格上相手に押され気味だったが竹パンチが決まり、格上相手に見事勝利。前陣でのパワープレー「竹パンチ」を実戦でものにした竹内選手。ストロングポイントにさらなる磨きをかけ、東京パラリンピックへ挑戦は続く。

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