ストロングポイント

毎週日曜 17:30~18:00放送

放送内容

第165回 車いすマラソン 西田宗城

2019年4月28日 放送

車いすマラソン・西田宗城。
去年のパリマラソンでは、日本人選手初の金メダル。
世界6大メジャー大会で日本人トップの成績をあげ、東京パラリンピック代表候補に、名乗りを上げた。
そんな彼には、誰にも負けない武器がある…

「ロングスパートを生む無尽蔵のスタミナ」

集団から抜け出すタイミングがレースの勝敗を大きく左右する、車いすマラソン。ロングスパートを何度も仕掛けられる、そのスタミナこそが彼のストロングポイント。3年前の選考レース、わずか3秒差でパラリンピックに届かなかった。今度こそ、夢の舞台“パラリンピック”へ。
さらなる高みへ…走り続ける35歳の戦いを追った。

車いすマラソンは、「レーサー」と呼ばれる競技用の車いすに乗って42.195キロを走る競技。
多くのパラリンピック種目とは違い、車いす使用者であれば、障がいのクラス分けはない。
一番の魅力はスピード感、最高時速は50キロを超えることも。

西田選手が生まれたのは、大阪府・和泉市。
小学4年生から大学まで野球一筋に打ち込んだ。
大学では「4番・キャッチャー」として活躍。しかし、大学3年の春…交通事故で下半身不随に。野球はおろか、立つことさえできなくなった。

西田「何か足一生動かないとかって言うより、今までやってた野球が出来ないって言うのがちょっと辛かったですかね」

辛い現実と向き合う、苦しい日々。
そのとき出会ったのが、車いすマラソンだった。

西田「まず、乗ってみて、その…スピード感ですよね。車いすでもこんなスピードで走れるんだっていう所から、そこを体験する事ができて。やってて楽しいっていうのが一番かもしれないですね。だからこそさらに最高峰のパラリンピックで勝負したいっていうのがそういうのにつながってるんじゃないかと思いますね」

そして…3年前。
リオパラリンピック出場をかけ、32歳で挑んだ選考レース。5位以内に入れば出場権が手に入る大一番。
結果は…6位。5位とはわずか3秒差。
この3秒の差を埋めるため、それまでの練習をイチから見直した。

西田「とにかくスプリントを中心に強化してきましたね。そうじゃないとスタミナは、活かせれないなっていう風には思いましたね」

弱点強化の効果はすぐさま結果としてあらわれた。
去年のパリマラソン。
世界を相手に、日本人初の金メダル。
さらに…世界6大メジャー大会でも日本人トップの成績をあげ、夢のパラリンピック出場へ、"勝てる走り"を身に付けた。

そんな西田選手のストロングポイントは…「ロングスパートを生む無尽蔵のスタミナ」。
西田選手にとって、理想の展開は豊富なスタミナを生かし、何度もロングスパートを仕掛けて、集団をふるい落していく展開。風の抵抗を避け、集団で走ることが多い、車いすマラソン。一度脱落すれば、再び追いつくのは至難の業。世界のトップに真っ向勝負をしかける西田選手にとってスタミナは日々の積み重ねによって築き上げた強固な武器。

大阪府堺市。
車いすマラソンの日本記録を持つ洞ノ上選手たちとの合同練習。
本番さながらの5キロのレースを解説してくれたのは2017年東京マラソンの優勝者の渡辺勝選手。

スタート直後、早速レースが動きます。
得意のロングスパートで、集団から一気に抜け出すと…

渡辺「もう3mから5mひらいているんで、このまま行けるところまで逃げるかもしれないです。西田選手の強みこういうところだと思うんですよね。前半からためらわずにこうやって仕掛けられるっていうのは、スタミナに自信があるから仕掛けられるっていう強みだと思います」

ストロングポイントであるロングスパートを生むスタミナを生かし、洞ノ上選手やハンドバイクの村田選手でさえ引き離していく。
結局、序盤のロングスパートから一度も後続に追いつかれること無く、レースは終了。

練習後、一緒に走った洞ノ上選手は…

洞ノ上「西田は強いですね。2回3回こうロングスパートを西田が続けれるっていう。やっぱりスタミナが、やっぱちょっと1枚も2枚も上手ですね」

トップ選手も認めるスタミナ。西田選手のストロングポイントを目の当たりにした午前練習が終了。

午後。
西田選手が向かったのは、大阪市にある障がい者スポーツセンター。
車いすをローラーの上に乗せ、前輪をロープでしっかりと固定。
始めたのは…インターバル走。3分を6セット、ひたすら漕ぎ続ける。
このトレーニングでも西田選手は実践でのロングスパートを意識して取り組んでいた。

東京パラリンピック出場をかけた、最初のレースがロンドンマラソン。4位以内で日本人トップになれば東京パラリンピックの代表として推薦される。

西田「自分ひとりでは今まで車いす生活になってからも車いすマラソンのやり方、走り方も自分ひとりではできなかった。だからこそ今まで支えてくれた人たちであったり応援してくれている人たちに対して感謝の気持ちを伝えるものとして東京パラでの表彰台メダル獲得というのは自分にとって高いモチベーションになっている」

目指すは…初のパラリンピック出場。
そして、夢の表彰台へ。

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