ストロングポイント

毎週日曜 17:30~18:00放送

放送内容

第164回 水泳 一ノ瀬メイ②

2019年4月21日 放送

水泳、一ノ瀬メイ。
去年10月に行われたアジアパラ競技大会では、日本勢最多となる8種目でメダルを獲得。
愛称は「水のプリンセス」。
日本パラスポーツ界の顔として数多くのメディアに出演、大きな話題を呼んできた。
そんな彼女には世界で勝つための『武器』がある。

「左右にぶれない力強い泳ぎ」

2020年に向け、もがきながら突き進む、22歳。
その挑戦を追った。

今年3月で近畿大学を卒業した一ノ瀬メイ選手。
4月からは大学職員として水泳に専念している。
近畿大学水上競技部。
これまで入江陵介選手や寺川綾さんなど数多くのメダリストを輩出してきた名門校。指導する山本貴司監督もその一人。アテネオリンピックの200メートルバタフライで銀メダルを獲得した実績の持ち主。

京都で生まれた一ノ瀬選手。
生まれた時から右腕が短い彼女は小学生の時、その障がいを理由にスイミングクラブの入部を断られた。
その後、家族でイギリスへ。
日本を離れて暮らした、一年間の経験が彼女に大きな影響を与えた。
決意を胸に史上最年少13歳でアジアパラ競技大会に出場。
見事、銀メダルを獲得した。
今では「水のプリンセス」の異名を誇る注目の存在に。

去年のアジアパラ競技大会では出場8種目全てでメダルを獲得。
大活躍を見せた一ノ瀬選手。

彼女のストロングポイントは『左右にぶれない力強い泳ぎ』。
水泳では基本の泳ぎとされる、クロール。
一ノ瀬選手は、両腕の長さが違うにも関わらず、まっすぐ泳いでいる。
両腕を同じように回すと、左右のタイム差が生じる。
その差がバランスを崩す原因に。
左右にぶれない技術力。ポイントは『左手は、後ろまでかかず出来る限りすぐに抜く』。左右にぶれない安定したフォーム、そのかげには両腕の長さの違いを克服する卓越した技術があった。

そんな自慢の武器を引っさげ、3年前、リオパラリンピックに挑んだ一ノ瀬選手。大きな期待を夢を胸に、臨んだ夢舞台。
しかし…日本勢最多となる8種目に出場するも…個人種目はすべて予選敗退。
「世界の壁」を痛感した一ノ瀬選手。
その後もなかなか結果を残せず、強化指定選手から外れる挫折も味わった。

そこで彼女が向かったのは水泳大国オーストラリア。
リオで金メダルに輝いた片足のスイマー、エリー・コール選手と親交がある一ノ瀬選手は彼女から多くのことを学んできた。
日本では経験できないトップパラスイマーたちとのトレーニング。
技術面だけでなく勝負に対する感性も磨かれた。

そして先月、世界選手権の代表選考を兼ねた2019パラ水泳春季記録会が静岡で行われた。
100メートルバタフライに出場した一ノ瀬選手。
世界選手権の派遣標準タイムは1分11秒55。
なんと、一ノ瀬選手の自己ベストを上回るタイム。ずいぶん高いハードルに思えるが…。実はこの設定、2020年東京パラリンピックの決勝進出を想定したもの。磨きをかけてきたストロングポイント。
そしてオーストラリア合宿の成果はどう発揮されたのか。
タイムは1分12秒03。
自己ベスト更新も世界選手権の派遣標準タイムには届かなかった。
海外合宿を経て、自信を持って臨んだレース。例えようのない悔しさがこみ上げていた。

この後、レース結果を自己分析。
ターンとゴール、タイムに大きな影響を及ぼすテクニック「タッチ」。
今大会では手を伸ばしてから壁にタッチするまで、時間がかかっていた。
実は一ノ瀬選手、この3年でバタフライの泳ぐスピード、泳速がぐんぐんアップ。その反面、タッチのタイミングが合わせづらくなっていた。

今回の記録会で明確になった改善ポイントを一つ一つ確認。
一段と逞しくなった「水のプリンセス」、来年の夢舞台へと突き進む。

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