ストロングポイント

毎週日曜 17:30~18:00放送

放送内容

第159回 ブラインドサッカーワールドグランプリ 直前特集

2019年3月17日 放送

視覚に頼らず、研ぎ澄まされた感覚でゴールを狙う、ブラインドサッカー。
その国際大会が今月、日本で開催される。
世界の強豪8カ国が頂点を目指して戦う「IBSAブラインドサッカーワールドグランプリ2019」。
東京パラリンピックまで、あと1年。
世界へ挑むブラインドサッカー日本代表のいまを追った。

視覚に障がいのある選手がプレーをするブラインドサッカー。
試合では、障がいの公平性を保つため、選手はアイマスクを着用する。
5人制でフィールドプレーヤーは4人。
ゴールキーパーだけ目の見える選手が務める。
コートの広さはフットサルと同じ。両サイドにはフェンスがあり、ボールが外に出ることはない。
そして、選手は特別な仕掛けがあるボールの音を頼りにプレー。
また、ボールを奪いに行くときは危険な衝突を避けるため「ボイ」と声を掛けなければ反則。
さらに、攻撃時に重要な役割を担うのが相手ゴール裏で指示を出すガイド。ゴールまでの距離や角度、シュートのタイミングを伝える。

ブラインドサッカーの日本代表を牽引する川村選手と黒田選手。
Wエースの"強さの秘密"を番組でも度々紹介してきた。
日本代表・キャプテン川村怜選手。
彼のストロングポイントは…「戦略的なドリブルシュート」。
相手との駆け引きを制し、巧みなシュートでゴールを量産。

そして…長年、日本代表を支える黒田智成選手。
彼のストロングポイントは…「空間認知力を生かした高速ドリブル」。
相手やボールの位置を瞬時に把握することで、スピードに乗ったドリブルが生まれる。
時には、サッカー元フランス代表のジダン選手を彷彿させるマルセイユルーレットや、ブラジル代表のエース・ネイマール選手が得意とする大技「シャペウ」なども使いこなす、まさに日本が誇るファンタジスタ。
そんな2人が、いよいよ直前に迫ったワールドグランプリについて、それぞれの想いを語ってくれた。

黒田「パラリンピックに向けて、チーム力を強化していく上で国際大会はとても重要なのでまずは強い海外のチームと戦えるっていう貴重なチャンスですので、1戦1戦、勝利を目指して頑張っていきたいなと思います」

川村「昨年の大会はチームとして、まだ成長段階にあって、結果よりも内容にこだわった部分はあったので結果は上に上がれずに、非常に残念でしたけど、その経験というのが、この1年間、今に至るまで非常に良い経験として次につながっていると思うので、さらに成長した姿をお見せできるんじゃないかなと思っていて、非常に楽しみにしています、今回」

去年3月に行われた、ワールドグランプリ第1回大会。
世界から強豪6カ国が参加し、日本代表にとっても、世界を相手に実力を測る絶好の機会だった。

同点以上でグループリーグ突破が決まる、第二戦。
相手は世界ランク6位のトルコ。
序盤から絶好調のエース、黒田選手を中心に攻撃を組み立てる。
その後も、得意のドリブルで何度も敵陣に攻め込み、試合は徐々に日本のペースへ。
そして、エースの得点に期待がかかるなか、ここで思わぬアクシデントが…。
相手選手と激しく激突した黒田選手。実は衝突時の空気圧で左耳の鼓膜を損傷。全治4週間の怪我で、無念の途中退場となった。
エースを欠き、一転して苦しい展開となった日本。
攻撃の負担がキャプテン、川村選手に集中。
個人技で何とか相手ゴールにせまるが、最後までトルコゴールをこじ開けられず0対2で試合終了。
エースの黒田選手を欠いたことで、チーム全体の課題も浮き彫りに…

監督「決定力をあげる。決定力があがったら昨日も勝っていましたし、どことやっても勝てると思うので、チャンスメイクは出来ているので」

決定力をあげる・・・そのために日本代表が選んだのは世界の強豪国との武者修行。

去年5月のベルギー遠征では、過去1度も勝利をあげていない世界ランク5位のイランと対戦し、初勝利。
しかし、その後の南米遠征で世界ランク1位のブラジル、2位のアルゼンチンと対戦。無失点での引き分けと、守備では健闘したが課題の得点は奪えず。海外遠征を終え、改めて"世界との差"を痛感した。

そこで、日本代表の選手たちが取り組んできたのが、フィジカルトレーニング。単に強い筋肉を作るのではなく、柔らかくて、強い身体を作るということ。試合中の激しいボディコンタクトでも、柔軟性のある筋肉で相手のプレッシャーを受け流しながらバランスを保つ。そんなしなやかな肉体を作り上げた。その成果が実を結んだのが去年11月に日本で行われたアルゼンチンとの親善試合。南米遠征の時には、完璧に抑え込まれていた日本の攻撃陣がこの試合で、進化した姿を見せる。

前半2分。
黒田選手が右サイドでボールを受けると相手のプレッシャーを受けながらもゴール前へ、そして、混戦で抜け出した川村選手がシュート。
アルゼンチンから史上初めて得点を挙げた、まさに歴史的ゴール。
相手の激しいディフェンスをもろともせず、しっかり態勢をキープしたまま見事なシュート。強化したボディバランスが、この重要な局面で成果を表した。
しかし…相手は世界ランク2位のアルゼンチン。後半、逆転ゴールを許すなどたて続けに失点。
試合は1対3で終了。

強豪国との実践で気づいた課題。
それを修正することで、日本代表の新たな可能性が見えてきた。
8月の南米遠征の時には5本だったシュート数も10本に倍増。
海外遠征の経験やフィジカルの強化が、チームとしての戦い方の幅も広げたと言う。

黒田「攻撃のバリエーションも増えてきましたので、そういう意味でチームの戦術の引き出しもどんどん広がっているので、そういう意味で昨年のワールドグランプリの時よりも、さらにチームとしては成長しているんじゃないかなと思います」

ワールドグランプリの1ヶ月前に行われた代表合宿。
そこでは、世界の強豪国との試合を想定した、ワールドグランプリ対策が繰り返し行われていた。
3月19日から始まるワールドグランプリ。

前回大会、怪我で離脱という悔しい思いをした、エース黒田選手は・・・

黒田「自分のポジションとしては、やっぱりゴールを決めるというのが大きな仕事なので毎試合1点以上取るということをいつも意識しているので、今大会でも毎試合1点以上取るということを自分の中では目標にして臨みたいなと思います」

そして川村選手はキャプテンとして、チームをまとめ、さらなる高みを目指す。

川村「世界の強豪を相手に戦う集団にするために、僕自身キャプテンとしてもチームを引っ張って行きたいなと思いますし、自分たちの力でしっかり勝ち切って、上に上がった景色を全員で経験したいなと思います」

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