ストロングポイント

毎週日曜 17:30~18:00放送

放送内容

第158回 車いすフェンシングW杯 櫻井杏理

2019年3月10日 放送

車いすフェンシング 櫻井杏理。
互いの車椅子を固定した状態で剣を突き合う、車いすフェンシング。
相手との距離、わずか数メートル。
その空間で、究極の技術と駆け引きが火花を散らす。
東京パラリンピックをうらなう意味でも重要な国際大会が去年、京都で開催された。
ロンドン・リオとパラリンピックの出場を逃している日本。3大会ぶりの出場へ期待を一身に背負うのが、櫻井杏理。
日本でのワールドカップでメダルを狙う彼女に立ちはだかったのはフェンシング界の女王に君臨する、ベアトリーチェ・ヴィオ、通称ベベ。

日本女子エースの、真価が問われる戦いが始まる。

1988年、京都市に生まれた櫻井選手。
小さい頃から活発で、高校では陸上部で活躍。
しかし20歳のとき、陸上で患った椎間板ヘルニアの手術で、下半身不随の後遺症を負い、歩くことが困難に。
そして、手術から3年後に出会ったのが、車いすフェンシング。

櫻井「あまりにも未知の世界すぎて、最初は難しさの方が強いですし、ただ、健常の頃みたいに一つの競技に趣味とかではなくいち競技者として、向き合えるということに対しての喜びの方が大きくて、やるからにはやっぱり極めたいし、うまくなりたいし、強くなりたいという」

フェンシングを始めて3年、ハンガリーで行われたワールドカップ。
なんと、銀メダルを獲得。
日本女子として18年振りの快挙を成し遂げた。
最新の世界ランキングでも上位に名を連ねる櫻井選手。
彼女には世界の強豪と戦うための、武器がある。

「アームを仕留めるクーペ」。

まず相手の剣を弾き、そのまま素早く突く、攻撃と防御が一体となったワザ。
その狙いは相手が伸ばしてきた腕。
リーチの長い外国人選手と渡り合うため、小柄な彼女が磨いてきた大きな武器。特に優れているのは、剣をしならせるスナップ。
手首の強い力により、剣先を相手の腕に差すことを可能にしている。

去年12月、京都市。
日本初開催となる車いすフェンシングワールドカップが行われた。
世界のトップ選手、およそ200人が参加し、しのぎを削る。
車いすフェンシングはフルーレ・エペ・サーブルの3つの種目があり、この日、櫻井選手が出場するのは「エペ」。胴体、顔面、そして腕への攻撃が有効。
予選は6人による総当たり戦で行われ、5点先取で勝利。
成績上位の22人が決勝トーナメントへと進む。
櫻井選手は4勝1敗で予選突破。

決勝トーナメント。
その相手は、ロシアのミシュロヴァ選手。
櫻井選手を上回る世界ランク8位の、強敵。
先制点はミシュロヴァ選手。そして、連続失点。
序盤にこれ以上離されたくない櫻井選手。
この大事な場面でストロングポイントが。
相手が出てくるタイミングを見極め、剣を弾いてそのまま腕へ。
流れるような「アームへのクーペ」。
その後は、一進一退。
2ポイントリードで迎えた、櫻井選手のマッチポイント。
最後は、相手の攻撃をギリギリでかわし、カウンターを決めた。
これで最低限の目標と言っていたベスト8進出。

準々決勝の相手は、前回のワールドカップ優勝者、ロシアのボイコヴァ選手。
リーチで上回る相手に対し、櫻井選手はスピードと駆け引きで対抗したいところ。お互い、間合いを探る展開のなか、ボイコヴァ選手の長いリーチを生かした一撃に先制を許してしまう。
櫻井選手も駆け引きで対抗するが、隙のないボイコヴァ選手に突かせてもらえず。序盤でポイント差が開く、苦しい展開。
そして、ボイコヴァ選手のマッチポイント。最後も、相撃ちで勝負あり。
残念ながら準々決勝敗退。

しかし、櫻井選手の闘いは、これで終わらない。
次は、「エペ」と共に東京を目指している種目「フルーレ」。
フルーレは、胴体部分だけを突き合う、よりスピーディな戦い。

まずは、5人で争う予選グループ。
4戦4勝、予選を勝ち抜いた。
そして決勝トーナメント初戦は、15対4の圧勝。
続く、準々決勝。
15対13で勝利。ギリギリの戦いを制し、ベスト4へ進出。

そして、準決勝の相手がイタリアのベアトリーチェ・ヴィオ、通称ベベ。
リオパラリンピックの金メダリストで世界ランキング1位、フルーレの絶対女王です。彼女の武器と言えば、他の追随を許さない圧倒的なスピード。

ファーストポイントは、ヴィオ選手。
その後も相手のスピードに圧倒される櫻井選手。ヴィオ選手に3ポイント連取された。
しかし、櫻井選手も反撃を開始。ヴィオ選手のアタックを見極め、すぐさま攻める。
しかし、櫻井選手を上回るスピードで圧倒してくる絶対女王。
最後は反則によりポイントを失い、敗戦。

櫻井「正直東京は出場することは目標としていないので、頂点に立つには彼女(ベベ)を下さないと絶対に立てないものなので、やっぱり経験値の差というのがすごく痛感してる部分なので、まずはそこを徹底的に埋め合わせられるように練習しかないと思ってます」

  • ©NTV
  • ©NTV
  • ©NTV
  • ©NTV
  • ©NTV
  • ©NTV
BS日テレ