ストロングポイント

毎週日曜 17:30~18:00放送

放送内容

第157回 パラ卓球 古川佳奈美

2019年3月3日 放送

パラ卓球 知的障がいクラス、古川佳奈美。
世界を舞台に活躍する彼女には誰にも負けない武器がある。

「的を絞らせない攻撃卓球」

相手の意表を突く多彩な攻撃。
そのカギとなるのが世界でも珍しい5種類のしゃがみこみサーブ。
去年10月の世界選手権ではリオパラリンピックの金メダリストとの激戦を制し銅メダル。世界選手権「知的クラス」のシングルスでは、日本史上初のメダル獲得を果たし、一躍、東京のメダル候補へと躍り出た。世界トップに肩を並べた日本期待のニューヒロイン。
家族やコーチの支えを力に変え、日々成長を遂げている21歳の素顔に迫った。

古川選手が誕生したのは1997年。
幼少期はその症状に気付かなかったという。
知的障がいと診断されたのは9歳の時。
彼女の症状について連盟の医師は…

医師「軽度知的障害と自閉症スペクトラム障害。この2つの合併と診断されています。生活や学習面の遅れがあって同年代の子たちに比べて対応がゆっくりしている」

卓球を始めたのは中学生の時。
すると、古川選手にある変化が…

母親「中学の頃は1セットくらいしか持たなかった。集中力がない。(試合中)ぼーとしてたり、3年生くらいで2〜3セット集中力がついてきて、勝つ楽しさを知ったからじゃないか。卓球始めて自信がついた積極性もついたし、今は楽しそうにしてるのが一番いいですね」

「勝つのが楽しい 前より成績を残すのが楽しい」

古川選手は、東京パラリンピック開催決定を機に3年前からここ、博多卓球クラブへ。週に5日から6日、平日は2時間、休日は5時間。練習に励んでいる。

信頼するコーチとの二人三脚。
古川選手は国際大会でも成績を収めるように。
中でも思い入れがあるのは、去年10月の世界選手権。
勝てば銅メダル以上が決まる大事な試合で対戦したのが「世界ランク2位」のコスミナ選手。
2016年のリオパラリンピックで、金メダルを獲得した世界を代表するウクライナの強敵。
相手の武器はパワードライブ。
一方、古川選手はサーブで得点。
ゲームカウント2対2でむかえた最終ゲームを制し、勝利。
準決勝で敗れたものの、古川選手は見事銅メダル。
「知的クラス」のシングスでは、日本史上初の世界選手権、メダル獲得の快挙を成し遂げた。
そして、実はコスミナ選手との試合に彼女のストロングポイントが。
それが…「的を絞らせない攻撃卓球」。
そのカギを握るサーブとは?
卓球ではフォアサーブや、その逆の面で打つバックサーブなど、様々な打ち方があるが、古川選手が使うのはしゃがみこみサーブ。
健常者卓球では一般的だが、知的障がいクラスで繰り出せるのは世界でもごくわずか。
同じフォームで様々な回転をかけるため、相手は対応が難しく、古川選手のチャンスボールになりやすい。
古川選手のしゃがみ込みサーブは全部で5種類。
まずは横下回転。
ボールの下をこすり、本人から見て左に曲がる。
その反対に曲がる打ち方も。これで2種類。
次は横上回転。
ボールの上をこすり、本人から見て左に曲がる。
その反対に曲がる打ち方を加え、ここまでで4種類。
最後は、無回転の「ナックル」。
ボールを後ろから押し出すように打つ。
ナックルの狙いは相手が下回転の対応をすると、ボールが浮き、
上回転の対応をすると、ボールが沈みネットにかかることも。

しゃがみこみサーブを始めてから、下半身の力不足を感じたという古川選手。
1年前からジムで筋力トレーニングを行っている。

東京パラリンピックへの期待が高まった世界選手権での銅メダル。
リオ金メダリストとの一戦。
ある局面が古川選手をさらに進化させた。
8対10、古川選手のマッチポイント。
強烈なドライブで失点。ここで彼女は気付いた。
相手の体側への返球パターンが読まれていると察知。
古川選手は返球パターンを相手の体側からフォア側へと変更。
その結果、不意をつかれた相手は対応できず。
このシーンについて同行した代表監督は…

監督「これはすごい!知的障害者卓球はパターンを変えられない。だいたい大事な時に出すパターンも決っている。大事なときにパターンを変えられる強さ」

古川「人生で一番頭使った試合が終わったあとに思って。めっちゃ頭疲れて、ハーって感じ」

来年に迫った東京パラリンピック。
変幻自在のサーブを武器に古川選手はさらなる飛躍を誓う。

古川「2019年は東京パラの切符を絶対手に入れて、メダルをとるのを目標にしたい。東京パラ出たら応援して下さい」

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