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毎週日曜 17:30~18:00放送

放送内容

第155回 日本ボッチャ選手権 杉村英孝VS廣瀬隆喜

2019年2月17日 放送

知れば知るほど奥が深い競技…ボッチャ。
年に一度、その日本一を決める大会が「日本ボッチャ選手権」。
決勝へ駒を進めたのは、リオで共に戦った2人。
日本の司令塔、杉村英孝。
正確なコントロールショットでゲームを支配する前回大会王者。
世界ランキングは日本人最高の3位。
対するは、パワーショットが武器の廣瀬隆喜。
史上最多、7度の優勝を誇る日本のエースが必殺のロビングボールで8度目の優勝を狙う。

国内最強の座は…果たして?

競技が行なわれるコートは縦12.5m、横6mの長方形。ジャックボールと呼ばれる白いボールに6球ある持ち球をいかに近づけられるかを競う競技。「床の上のカーリング」とも呼ばれている。

20回目を迎えた、日本ボッチャ選手権大会。
日本一を目指し、勝ち上がってきたのは全クラス合わせて72名。厳しい戦いを繰り広げるなか、圧倒的な強さで決勝へ進んだのがこの2人。
共にリオパラリンピックで日本を初の銀メダルへと導いた中心選手。
日本のエース・廣瀬選手と、チームの司令塔・杉村選手。
長年、この日本ボッチャ選手権でしのぎを削ってきた2人。
前回の試合で惜しくも優勝を逃した廣瀬選手ですが、今回は“新たな武器”が…

廣瀬「コントロールとか、それをいちから見直して、ここ1年やってきたので。去年、杉村選手に決勝で負けているので。そこはやっぱり金(メダル)は譲りたくないので」

対する杉村選手も、この1年磨いてきた武器があった。

杉村「大事にしているのがヒットとアプローチ。そこのスキルをもっと上げて精度を上げていかなければ、世界を相手にやっていけないと思うので」

正確なコントロールを得意とする杉村選手は、パワーを要するヒットショットに力を入れていた。

運命の決勝戦。
まずは、先攻の杉村選手が、的となるジャックボールを投げる。
自陣近くにボールを置く。実はこれ、投球できるボックスが左右に分かれるため、相手から狙いにくい位置に置いて有利に進めようという戦略。
まずは杉村選手の一投目。
狙いはピタリと寄せて、しかも相手からジャックボールを直接狙えなくなるこの位置。相手のコースを防ぐ事には成功したが、寄せきれない。
続いて廣瀬選手。
狙いはコースを塞いでいる赤いボールを弾くこと。
狙い通り、綺麗に赤いボールをずらすことに成功した。これでジャックボールへの障害物が無くなった廣瀬選手、次の一球で寄せにいく。この一年磨いてきたコントロールで、見事ジャックボールにピタリと寄せた。

続いて杉村選手。
狙っていたのは…なんとジャックボールの方。青いボールの影から見えるわずかな部分を狙っていた。ジャックボールだけに当てる事で次に投げる廣瀬選手が赤いボールが邪魔で狙いづらくなるという戦略。

そして、廣瀬選手。
青いボールだけを弾き、ジャックボールへ近づける絶妙なショット。

続いては杉村選手。
ここで、この1年磨いてきたボールを押し出すヒットショット。手前の赤いボールを押してジャックボールへ寄せた。

今度は廣瀬選手。
赤いボールを横に弾き、障害物はなくなったが、弾いた赤がジャックボールのすぐ横へ。
続けて廣瀬選手。
ジャックボールの前が空いたこの状況。残り2球という事を考えると、ピタリと寄せて、相手にプレッシャーを与えたいところ。
なんとジャックボールを奥へ押しながら、自分のボールもピタリ。
赤いボールがジャックボールに付いている状況で手前に寄せるだけでは1対1にしかならないが、押すことで、廣瀬選手が有利になる状況を作り出した。

そして杉村選手も残り2球。
寄せるだけでなく、手前の赤いボールに軽く当てることで、わずかにコースを変え、廣瀬選手からジャックボールを完全にガードする位置へ。

一転、廣瀬選手に大きなプレッシャーをかける。
なんと手前の赤いボールに少し当てることでコースを変え、奥の青いボールを絶妙な角度で押した。

このままだと青の廣瀬選手が1ポイント。

残り1球。今度は杉村選手にプレッシャーがかかる。
ジャックボールをわずかに押したことで、ポイントは赤の杉村選手。青いボールの中で最も近いボールから円を描くと中にあるのは1つ。よって第1エンドは杉村選手が1ポイント。

続く第2エンドは廣瀬選手が2ポイントを獲得し逆転に成功。
第3エンドは王者・杉村選手が三手先を読む緻密な戦略で3ポイントを獲得。2対4で逆転に成功。

そして、勝負の最終エンド。
ここまでは二人の技と戦略が入り乱れる、まさに壮絶な戦い。

2点リードの杉村選手、第3投。ジャックボールと赤いボールの間にピタリ。
廣瀬選手にプレッシャーをかける。
これはナイスショット、ジャックボールだけに当てて奥へと弾く。杉村選手にとっては嫌な展開。
ポイントは奥に残った青いボール。
もし赤の杉村選手がジャックボールを押してしまうと、奥の青いボールに寄ってしまう。基本的に手前から奥にしかボールを弾けないボッチャでは、かなり不利な状況になってしまう。

杉村選手、このピンチをどう打破するのか?
どうやら裏を取られた青いボールが気になり、外に弾こうとしたよう。
続いては廣瀬選手。
狙いはジャックボールを押して裏の青いボールにつけること。
わずかにコースが外れ、逆に手前の赤いボールを寄せてしまった。

このままでは負けてしまう廣瀬選手。
この大一番でコントロールショットがピタリ。残り3球だった廣瀬選手は裏に付けるショットではなく、手前に寄せるショットに切り替えた。
そして残り2球。今度は杉村選手がピンチに。
さぁ、相手のボールが寄っている、この状況で杉村選手は一体どこを狙うのか?奥の青いボールをクッションにしてジャックボールの奥にピタリ。
完全に裏を取られてしまった廣瀬選手。

前回王者・杉村選手がみごと2連覇。
廣瀬選手、あと一歩及ばず…

廣瀬「切磋琢磨しながら、競い合いながらこれからをやっていきたいと思います」

杉村「彼がいるから、存在があるから自分も頑張ろう、強くなろうという気持ちにもなりますし、二人で日本を引っぱっていければいいかなと思います」

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