ストロングポイント

毎週日曜 17:30~18:00放送

放送内容

第153回 車いすフェンシングW杯 加納慎太郎・安直樹

2019年2月3日 放送

車いすフェンシング。
その戦いは…一瞬にして決着する。
フットワークは使わず、剣さばきの技術とスピードがモノをいう至近距離の攻防戦。
その世界一を決める大会が、去年12月、京都で開催された。
ロンドン・リオと2大会連続でパラリンピック出場を逃している日本。
2020年東京パラリンピック出場へ重要となるこの大会で、世界に挑む2人の日本人がいる…
現在、日本ランキング1位 加納慎太郎。
そして、日本選手権3連覇を果たした 安直樹。
日本が誇る2人のサムライ。
その“世界での現在地”とは!?
真価が問われる戦いが、いざ始まる!

去年12月。
京都市で日本初開催となる車いすフェンシングワールドカップが行われた。大会には、各国からおよそ200人もの選手が参加。
試合前の安選手。今大会の目標は?

安「最低でもベスト16ベスト8はいきたい」

14歳で受けた手術の影響から、左股関節に後遺症を負った安選手。曲がらない股関節をかばいながら、日常生活を送っている。
そこから始めたパラスポーツの“ある競技”で安選手は「レジェンド」と呼ばれる存在に。それが…車いすバスケットボール。持ち前のパワーと巧みな車いす操作でアテネパラリンピックでは、日本代表の主力として活躍。
そして4年前、車いすフェンシングに転向すると…
わずか9ヶ月で日本選手権優勝。さらに3連覇という快挙を成し遂げた。
何事にも貪欲に挑む姿は、まさに“探究心の塊”。現在は、体の柔軟性を高めるためトレーニングにヨガを取り入れている。
日々、試行錯誤を続ける安選手。
はたして、その成果は大会であらわれるのか?

そして、加納慎太郎選手。
16歳の時、交通事故により左足を切断した加納選手。
それをきっかけに車いすフェンシングと出会う。この競技を選んだ理由は、あるスポーツの経験から…

加納「小さい時から剣道をしていまして。父親の影響ですけど」

剣道の経験を生かし、フェンシングの世界へ。そこには、経験者だからこそ知り得る“ある共通点”が…

加納選手「相手の攻撃に対しての距離感であったりとか、剣がどこにあるのか、次にどこへ動くのかという読みというところは共通しているんじゃないかと思います」

剣道で培った「間合い」と「読み」を武器にメキメキと腕を上げていった加納選手。そして…ついには日本ランキングトップの称号を手にし、一躍日本を代表する選手へと成長を遂げた。

車いすフェンシングはフルーレ・エペ・サーブルと3つの種目があり、この日、2人は上半身が有効面の「サーブル」に出場。
予選は5・6人による総当たり戦で行われ、5点先取で勝利。成績上位者32人が決勝トーナメントへと進む。
ここで重要なのが、この大会で獲得できるポイント。予選を勝ち抜けば4点。そこから決勝トーナメントを勝ち進むごとに獲得ポイントが加算されていく。

年に数回行われるワールドカップ大会で獲得した累計ポイントの上位12人が、「ポイントでの」東京パラリンピック出場権を獲得できる。
ワールドカップ1試合を終えた時点で加納選手が9位、安選手が17位。この大会で、少しでも上位に入り、さらなるポイント獲得を狙う。

安選手の予選1試合目は「世界ランキング5位」のアルテム選手。いきなり強豪との対戦。
開始直後、安選手の攻撃にのけぞる相手。その動きを見た安選手は、すぐさま剣の軌道を変え、みごと相手の脇腹にヒット。
これこそが安選手のストロングポイント「緩急を生かしたスピードアタック」。しかし試合は、格上の相手をあと一歩まで追い詰めるも…勝負どころで惜しくも敗れてしまった。
それでも2戦目以降は、立て直した安選手。決勝トーナメント進出を決めた。

一方、加納選手の予選1試合目。相手はカナダの選手。
まずは加納選手のポイント。
さらに相手の攻撃をヒラリとかわし、逃げる相手を一撃。これこそが、加納選手最大の武器。「カラダの柔らかさを生かしたカウンター攻撃」。
そして、予選1試合目は圧勝。
さらに快進撃は続き、加納選手も予選を突破。

32人により行われる決勝トーナメントは、15点先取。
まずは安選手の初戦。
相手は今大会、優勝候補と目されるロシアのマキシム選手。国際大会で過去2年間、8度の金メダルに輝いた強敵。

序盤、マキシム選手が立て続けに得点。
安選手は3点のリードを許す苦しい状況。さらに、格上相手に圧倒され5ポイント差。その後…安選手が粘りを見せたが、決勝トーナメント1回戦で敗北。

安「なんだろうね~。でも、最後つかんで終われたからよかった。最初からあんな戦い方が出来るように、持っていき方とか考え方とか駆け引きなんかをもっとやらないとダメですね」

しかし、ニッポンにはまだこの男が。加納慎太郎選手。
相手はポーランドのラファウ選手。
去年のヨーロッパ選手権の銀メダリストであり、加納選手が苦手としている、長いリーチを持つ相手。

序盤からラファウ選手の攻撃は続き、3連続ポイントを許してしまう。
ここでリーチの差を克服する大きな一手が飛び出す。
加納選手のポイント。
相手の攻撃をあえて待ち…近づいたところで胸元へ素早い一撃。加納選手のストロングポイントであるカウンター攻撃がここで発揮された。
そして勝負は…ここから一進一退の攻防。
2点のリードを許し、試合は終盤。
格上相手に、最後まで粘ったが、奇しくも最後は安選手と同じ結末となってしまった…。

今回の試合を終えてのランキング。
加納選手は16位。安選手は22位と、依然、ポイントでの出場枠12人に入れていないという状況。

今大会を振り返り、2人は…

安「技術とかテクニカル、スピードの部分はもちろんですけど、やっぱり一番肝心となるフェンシングの駆け引きとか組み立ての、簡単に言うとフェンシングの知識が(足りていない)。戦いの感覚的なところですよね。もうちょっと本質的に課題というか、やっていかないと(世界との差は)埋まっていかないですよね」

加納「自分の足りない部分の、剣のやりとりというものの精度をしっかりと高めていきたいと思います。またギアをあげてしっかりと練習したいと思います」

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