ストロングポイント

毎週日曜 17:30~18:00放送

放送内容

第151回 ゴールボール 浦田理恵②

2019年1月20日 放送

ゴールボール、浦田理恵。
パラリンピック3大会連続出場を果たし、2012年ロンドン大会では
チームの守護神として日本史上初の金メダルへと導いた。
さらに、去年10月に行われたアジアパラ競技大会も制し、2020年東京へ弾みを付けた。
そんな彼女には誰にも負けない武器がある。

『試合を制するサーチ力』

音を頼りに戦うゴールボールでは選手やボールの動きを耳で感じ、頭に思い描く“サーチ力”が、勝負のカギを握る。そして今、日本の守護神はさらなる進化を遂げるべく、"新たな課題"に取り組んでいた。
そんな彼女の、挑戦し続ける日々を追った。

浦田選手が深刻な目の病に襲われたのは、小学校の教師を夢見て勉学に励んでいた、20歳の頃。
突如発症し、わずか3か月で左目は全く見えなくなり、右目はかすかな視野だけが残った状態になってしまったと言う。
その後、マッサージ師を目指し、通い始めた国立福岡視力障害センターでゴールボールと出会う。
すると…類まれなるサーチ力が瞬く間に開花。競技を始めてわずか1年で、日本代表に選出された。

浦田「相手から投げ出される時、本当に音に集中しているんですよね。どこから来るんだろう。どんなボールが来るんだろう。そういった研ぎ澄まされた音の世界っていうのが好きで、そこから出てきたボールを押さえ込んでいくっていうのが、すごく楽しいです」

ゴールボールに魅了され、日本の躍進を支える守護神は数々の大会でメダルを獲得。

ゴールボールは障がいの程度に関わらず、アイシェードで視界を完全に遮って競技を行う。
コートは、バレーボールと同じ広さで境界線を示すラインの下にはタコ糸が。
選手たちはこのタコ糸を触って、位置を確認する。
サッカーのようなゴールを置き、攻撃と守備を交互に行い得点数を競い合う。
そのボールには音が鳴る鈴が。大きさはバスケットボールと同じだが、その重さは…およそ2倍の1.25キロ。
ボールの音を頼りにボールの方向や速度、弾み方を予測しゴールを守る。
さらに攻撃では相手を惑わすため、手を叩いたり、足音を立ててポジションチェンジすることも戦術の一つ。
投げたボールは攻撃側エリアと中央ニュートラルエリアそれぞれにバウンドしなければ反則となる。

世界にその名を轟かせる、ゴールボール女子日本代表守護神 浦田理恵選手。
試合中、味方がボールを投げると…

浦田「3.5センター」

実はこれ、コートの幅9メートルを18分割し、左から50センチ刻みで表した距離。投げた位置を味方に伝えていた。
ボールの位置を正確に捉え、攻守にわたり試合に活かす。これこそが浦田選手のストロングポイント「試合を制するサーチ力」。
何も見えない状態で鈴が入ったボールの音に耳を澄ませる。この音を瞬時に把握し、ボールの位置を捉える能力。それが「サーチ力」。
目が見えなくても、日常生活で得た経験や耳から入る細かい情報で空間をイメージ。こうして、日々「サーチ能力」を鍛えているという浦田選手。

浦田「投げ出しの音だったり、投げたコースがどこに行ったのかっていうのをだいたい50㎝ごとどこでボールが鳴っているのかを見てる」

飽くなき向上心を抱く浦田選手。
実は彼女のサーチは、ボールの位置だけにとどまらない。

浦田「だいたい(味方が投げた)ボールが相手選手のどこの部位に 当たったかもサーチできる」

日本の守護神として絶大な信頼を得る一方、実は国際大会では、滅多にボールを投げない浦田選手。

浦田「センターは守っているので攻撃はしてないなって、周りからは思われるんですけど。私は全く投げないわけではなくて、投げれるチャンスがくる時が必ずあるので、そこでは必ず決めれるボールっていうのを自分で作っておいて、ここぞというところで、スローイングで点を取りたいと思ってます」

スローイングを磨く浦田選手。
守備だけでなく攻撃面でも自身のストロングポイント「サーチ力」は大事だと言う。

浦田「こっちから投げたボールをサーチできるってことは相手の選手の間、細い所をしっかり狙うことで得点にもつながりやすいので、サーチの力が高いっていうことは攻撃の戦術を組み立てられる」

そのサーチ力を攻撃に生かすべく、浦田選手は、練習が無い日はこちらのジムで力強いスローイングを目指し、トレーニングに励んでいる。
最近では、カラダに"ある変化"を感じ始めていると言う。

浦田「スローイングのフォーム自体、自分の中でイメージがなかったものが、少しずつ使う部分を意識づけさせてもらうことでそのイメージがついて来たので、かなり変わったと思います」

攻撃面でさらなる進化が求められる浦田選手。
2020年東京での金メダルへ向け、挑戦は続く。

浦田「母国開催もあるので、チームとして金メダルを獲得。そして、(失点を)0に抑える そのこだわりを持って、100%パーフェクトなディフェンス に近く努力を重ねていきたいと思います。そこで1点でも決められるチャンスがあれば、虎視眈々と狙って、1点をもぎ取りたいと思っています」

  • ©NTV
  • ©NTV
  • ©NTV
  • ©NTV
  • ©NTV
  • ©NTV
  • ©NTV
BS日テレ