ストロングポイント

毎週日曜 17:30~18:00放送

放送内容

第150回 車いすテニス クアード 菅野浩二

2019年1月13日 放送

車いすテニス 菅野 浩二。
車いすテニスクアードクラス、日本のエース。去年、東京パラリンピックの金メダル候補に躍り出た。
現在の世界ランキングは4位。彼には誰にも負けない武器がある。

『ラリーに持ち込む予測とフェイント』

得意のラリーに持ち込むために張り巡らす緻密な計算。
世界の強豪に勝つために磨き上げた武器…
37歳、遅咲きのエースがたどり着いた独自のテニスに迫る。

日本の車いすテニスプレーヤーといえば男子では国枝慎吾選手、女子では上地結衣選手。去年、早くも東京パラリンピックへの出場を決めている。 2人が出場しているのは脊髄損傷や足の切断など下肢に障がいがある男子と女子クラス。加えて手にも障がいがあるのが、菅野選手が出場するクアードクラス。
クアードは四肢麻痺の選手がプレーするクラス。手や指に障がいがある選手のためにラケットと手をテーピングで固定することが認められている。
男子クラスの選手と強烈なラリーを続ける菅野選手。とても握力が弱いようには見えない。

菅野「最初にリハビリ始まった時は握力を測ってみようってなって全力でやったら3kgしかなくて。当時55kgあったんですよ。嘘でしょって思ってリハビリを必死にやってたのを覚えています」

15歳の時にオートバイで接触事故を起こした菅野選手。頚椎損傷で下半身だけでなく両腕にも障がいが残った。トレーニングにより握力は20キログラムまで回復したが、この数値は11歳の男の子の平均と同じ。

菅野「指の挟んだりする力が弱くてボールが当たった瞬間にブレる」

テーピングはしない菅野選手、秘密は握り方。
ラケットを指3本分ほど短く握る。さらに、握力の弱さをカバーするため磨いてきたのがテニスの上級者が実践する、あるテクニック。

菅野「打つときだけしっかり握るそれ以外は手を添えるだけ親指以外のところで持っているくらいですね」

多い時は1日3試合以上ある車いすテニス。疲れてきても相手のボールに負けないよう、インパクトだけに力を入れる事を徹底している。こうした様々な工夫が驚きのパワフルショットを支えていた。

車いすテニスの仲間が、ある特訓をしてくれるそう。
はじまったのは…なんと1対2のラリー練習。
菅野選手、一人で男子クラスの選手2人を相手にラリーを続けている。忘れてはいけないのが、彼だけ障がいが重いクアードクラスだということ。
手にも障がいがありスピードが遅いはずの菅野選手、なぜラリーを続ける事ができるのか?

菅野「前に出ていくよっていうフリして前に出ていかないとか騙し合いだと思っています」

車いすテニスは健常者のテニスと全く同じコート、同じネットで行われる。大きく異なるのは返球が2バウンドまで許されること。一般的に、障がいの重いクアードクラスの選手は移動スピードが遅いためラリーを避けてエースを狙う。
しかし、菅野選手のストロングポイントは、その真逆、「ラリーに持ち込む予測とフェイント」。

型破りな戦法はどのように生み出されているのか?

菅野「足が速い訳でもないのでボールが飛んできてから走っても追いつかないんですよね。なのでボールが飛んでくる前にある程度予測立てて走っておいて予測通りボールがその位置に飛んでくることによって構える準備だったりとかが出来るんでより次の球がしっかり打てるんでポイントをどんどん重ねていくことはできるかなとは思っています」

そんな菅野選手を支えるのが、妻の舞美さん。
実は舞美さんも元車いすテニスの選手。車いすテニスがきっかけで7年前に結婚した。
そんな二人には大きな夢がある。
今年7月、グランドスラムの一つウインブルドンではじめてクアードクラスが行なわれる。しかし、出場できるのは世界でたった4人。開催国枠があるため菅野選手はトップ3に入らなれければならない。
目指すはグランドスラム。菅野選手の新たな武器が明らかに。
バックハンドのトップスピン。
低い弾道のスライスボールに比べ、トップスピンは高く弾むため相手を下がらせることが出来る。
そして、その強化の一環で始めたのが、夜のトレーニング。
バックハンドのトップスピンを安定させるため、週に2度、体幹トレーニングを続けている。

自らに過酷な練習を課す菅野選手。大きな夢を現実に変えるため…

菅野「弱気になってくると本当にできなくなってくるんで「できるだろ!」みたいなグランドスラムで優勝するのが1つの大きな目標です」

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