ストロングポイント

毎週日曜 17:30~18:00放送

放送内容

第147回 アーチェリー 重定知佳

2018年12月23日 放送

アーチェリー、 重定知佳。
昨年、競技歴わずか2年にして全国大会で優勝。
今年10月のアジアパラ競技大会ではリオパラリンピック日本代表の上山友裕選手とペアを組み、ミックスでアジア大会初となる銀メダルを獲得した。
そんな彼女には、誰にも負けない武器がある。

「安定感を生む引き手」

70mもの距離から、正確に的の中心を射貫く。
ブレのない正確無比な引き手が彼女のストロングポイント。
目指すは2020東京でのメダル獲得。
飽くなき挑戦を続ける、重定選手の強さの秘密を追った。

福岡県・北九州市。
重定選手が普段から練習を行っている桃園アーチェリー場。
アーチェリー歴は3年だが、国内ランキングは現在1位。2020年、東京でのメダルを目指している。

重定選手は福岡県北九州育ち。中学2年生の時、両足が麻痺する難病が発覚。少しずつ歩行も困難になっていった。

重定「普通に街歩いてても、やっぱり普通には歩けてないので、足をちょっと引きずってたりとかすると、周りの人たちがあれって見るその目が怖いというか嫌で、出歩かなくなって家にこもることが多くなりました」

そんな彼女を変えたのは、就職後、2002年に出会った車いすテニスだった。
大きな夢を胸に、国内ランキングは6位まで上昇。
しかし、2013年、突然の引退。

重定「上地結衣ちゃんが小学生の頃から知っているんですけど、伸びてくるのが早くて高校生の頃とかに、あっという間に抜かれちゃって。もう私の時代終わったなって思って、目的が結局無くなっちゃったのでパラに行きたいという気持ちも無くなっちゃったので、ただなんかダラダラしてるのもあれなので一旦辞めようと思って」

一度は離れた競技生活、しかし…
2年後の2015年、アーチェリーを始めると運命的な出会いが。

重定「2016年の年にちょうどリオパラがあって、そこで7位取った上山さんが凄く私にとって衝撃的だったんです。車いす乗ってて凄いちゃんと射てている人を初めて見たので、ああいう人になりたいなと思って」

競技を始めて1年。30mの部で国内大会優勝。
翌年の2017年には全国大会の70mで優勝。そして、競技を始めてたった2年で国内ランキングトップに浮上。

パラアーチェリーは2種類の弓で競技が分かれている。
こちらは、障がい者の大会だけで行われるコンパウンド。両端に滑車が付いており、 軽く弓を引くことができる特別な道具が使われる。
そして重定選手が競技するリカーブはオリンピックのアーチェリーと道具やルールは同じ。健常者と障がい者が垣根なく真剣勝負できる競技。

国内ランキング1位の重定選手。
狙い通り的の中心を射るために、弓をひく「引き手」で安定感を生み出しているという。そう、これこそが重定選手のストロングポイント。

「安定感を生む引き手」

この武器はどのようにして生み出されたのか…。
重定選手はフォームの基礎を金メダリストから学んだそう。

重定「アーチェリーをやり始めて間もない頃に私の母校にシドニーオリンピックの団体金メダリストのキムコーチが来られた事があって一日指導していただいたんですけどその時に肘の入れ方とか肩の入れ方を教えて頂いて。それを会社が終わった後、ここへ来て夜遅くなるまで練習したりとか、ずっと練習してたらなんか出来るようになってて」

ここで、重定選手のストロングポイントである「引き手」の動きを検証。
リリースする瞬間の引き手に注目すると。
弓を構える動きは全く違うが、引き手はほぼ同じ位置に。
リリース時に伝わる頬への振動まで同じ。これこそが「安定感を生む引き手」

実はこの安定した引き手には過去の経験が生かされていた。
引き手の安定感を支えていたのは11年間打ち込んだ車いすテニス。
車いすテニスで培った腕力と背筋が、ストロングポイント「安定感を生む引き手」を支えていた。
そんな重定選手は今年10月、アジアパラ競技大会で上山選手とペアを組みミックスに出場。決勝戦では、リオオリンピックとパラリンピック両方に出場したザハラ・ネマティ選手擁するイランと対戦。
結果、イランとの決勝で敗れはしましたが銀メダルを獲得。
さらなる飛躍を遂げるため、彼女は今、新たな課題と向き合っている。

重定「強いポンドの弓を引こうと思って、今、33.5ポンドの弓を引いて筋トレ兼ねての練習をしている。ポンドが強い弓が引ければ(風に)流されることもなくなるでしょうし」

キッカケとなったのは、今年9月に行われた国内大会。優勝候補として出場したが強風の影響を受け決勝戦敗退。
ポンドを上げた力強い矢で風の影響を減らそうと努力を続けている。
2020年東京パラリンピックのアーチェリー会場は海風が吹く「夢の島公園」。対策は必須。
来たるべき大舞台へ、着々と準備は進行中。
見据える先には栄光のメダル。重定選手の戦いは続く。

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