ストロングポイント

毎週日曜 17:30~18:00放送

放送内容

第146回 パラ馬術 高嶋活士

2018年12月16日 放送

パラ馬術 高嶋活士。
この競技で競うのは、いかに馬を『正確かつ美しく』操るか。
実は高嶋選手、競馬を舞台に戦っていた騎手。
しかし…レース中に起きた落馬事故。「未勝利」のまま無念の引退となった。強い思いで馬術の世界へ。
そんな彼には、勝利をつかみとるための「武器」がある。

『下半身を使った馬のコントロール』

下半身のわずかな動きで馬をダイナミックに操る。このストロングポイントで2020年東京でのメダル候補を目指している。
競馬時代には掴めなかった栄冠を勝ち取るために…
第2の競技人生を歩む26歳・高嶋選手の挑戦を追った。

こちらは埼玉県にあるトレーニング施設。
午前9時。高嶋選手の1日は愛馬「ケネディ」とのスキンシップから始まる。
ケネディの性格を聞いてみると。

高嶋「性格は素直でいい子、甘えん坊。いつも何かくれってやってて、いつも氷砂糖をあげるんですよ。かわいいですね」

パラ馬術の選手は馬のケアを基本的にすべて自分で行う。
右半身にマヒがあり、右手で上手く握ることのできない高嶋選手、利き腕ではない左手でなれない作業をこなす。
ルール変更でパラ馬術では相棒となる馬の途中変更が出来なくなった。つまり、馬がケガをすれば選手も出場権を失うということ。まさに人馬一体となって2020年を目指している。

ここで、パラ馬術のルールを説明。
パラ馬術の代表的な種目がインディビジュアルテスト。
およそ30項目の指定された運動を行う。
停止した状態からの歩き出しや、駆け足でのターンを見せて馬が正確に美しく運動できているかを競い合う。障がいの重さによりグレードが5段階に分かれており、高嶋選手はグレードⅣ(フォー)で戦っている。
試合に使用される馬場の広さは縦60m、横40m。採点する審判は3人、3方向から演技をみて項目ごとに採点、その平均値が選手の得点となる。
最初の項目は入場から停止、そしてリズム感のある歩き出し。
ジャッジの平均は5点。
パラ馬術では6点をとれれば高得点、7点以上なら相当いい演技という評価。

高嶋選手は2011年にJRA騎手としてデビュー。
しかし勝てない日々が続きます。
今年こそと意気込んで臨んだ、3年目のレース中のこと。
レース中に起きた落馬事故。
騎手を引退。右半身に麻痺が残る大ケガだった。
その時に出会ったのがパラ馬術。転向を決めた理由は…

高嶋「やっぱり馬で勝負してきたので。せっかく馬に乗れるんだったら、そういう世界で生きていきたい」

理由は勝負へのこだわり。
転向から1年。グレードⅣの大会で優勝し、一躍、注目の選手に。
その躍進のカギとなったのが高嶋選手のストロングポイント…
「下半身を使った馬のコントロール」。

馬が美しいとされる姿勢がある。首が背中よりも高い前方に位置し、脚を高く上げて動けているか。この姿勢を運動中でも維持できることが勝負の鍵となる。この基本姿勢を維持し続ける馬体の操作術こそが高嶋選手の最大の武器。ではこのストロングポイントはどう生み出されているのか。
馬の操作、ポイントは下半身の使い方。

高嶋「骨盤で馬の背中を押してあげると(馬が)下から上へつきあげる力を感じて足があがる」

骨盤で馬の背中を押すことで、馬に下から突き上げる力を感じさせ、足を高くあげさせる。そして、両足の力の強弱によって馬の左右へのブレを調整。下半身を使って美しい姿勢を保つ。

高嶋「馬は生き物で気分があるのでそれに合わせて指示を変えたり力の強弱をつけないといけない。馬とのコミュニケーションが大変です日によって違いますね。人間も機嫌が良かったり悪かったりしますし、まずは(馬の)性格を理解して動きのクセであったりこうしたらこうなると理解できると、より良い動きを出せる」

かつては競馬の舞台で「速さ」を競っていた高嶋選手。
パラ馬術へ本格的に転向して2年。その成長を確かめるための重要な大会が迫っていた。
馬術の練習はトレーナーと一緒に行う。客観的に馬の姿勢を見てもらうことで悪い癖を直す。大会に向け追い込む高嶋選手と愛馬のケネディ、練習により一層、熱が入る。
転向直後から高嶋選手を指導してきた照井トレーナー。
今回の大会での目標は…

照井「スコアとしては最低62〜63できれば65%以上はとってもらいたい」

これまでの高嶋選手の最高は総得点の63%。ストロングポイントを発揮し、目標クリアできるか?

パラ馬術日本大会。
高嶋選手が出場するのはインディビジュアルテスト。指定された運動、およそ30項目を採点、総得点の何パーセントをとれたかで勝敗が決する。さあ、ケネディと高嶋選手の演技。目標は総得点の65%以上。ちなみに世界最高峰の選手でも70%前後。
結果は…なんと総得点の66%を獲得。
目標を上回る過去最高得点で優勝を飾った。
さらに大きな勝利へ。
ストロングポイントを武器に高嶋選手と愛馬ケネディの挑戦は続く。

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