ストロングポイント

毎週日曜 17:30~18:00放送

放送内容

第144回 パラバドミントン 山崎悠麻②

2018年12月2日 放送

パラバドミントン 山崎悠麻
競技を始めて5年、今年ついに世界ランキング・トップに上り詰めた。
愛する我が子に誓う勝利。
彼女には、誰にも負けない武器がある。

「相手を揺さぶるクリアショット」

それは、ここぞのタイミングで繰り出す相手コート奥へのショット。
ライバルたちをコート後方へ追い込み、得点へとつなげる彼女の生命線。世界ランキング1位として挑んだ2つの国際大会。
世界トップに待ち受けていた大きな壁。
2年後、東京での金メダル獲得へ、その飽くなき挑戦を追った。

家での山崎選手は2人の育児に追われるママ。 長男のゆきと君と二男のかなた君を毎朝、自宅から40分かけて保育園に送っている。 そして、彼女のもう一つの顔である…会社員。 1年前に転職し、東京の不動産関連の会社に勤務している。 仕事と育児、トップアスリートとしての慌ただしい日々を過ごしている。 山崎選手がバドミントンを始めたのは小学2年生の時。 その実力は全国大会に出場するほど。しかし高校1年生の冬。交通事故に遭い、車いす生活に。 パラバトミントンに出会ったのは25歳の時。偶然、友人と観に行った試合がきっかけで再びラケットを手にした。 山崎「最初はやっぱり打つのは打てたんです。やっぱり自分のもとに来るものについて打てるのは打てて、でも全然違うこういう端っこ。後ろだったり前だったりとかは全然届かなくて「なにくそ」って思ったんですよね。なんか悔しいのはすごく悔しく思って。多分出来なかったからのめりこんでいったって感じですね」

パラバドミントンに夢中になった山崎選手は僅か2年で日本選手権優勝。
今年出場した国際大会では、なんと5大会で優勝。見事、世界ランキング1位に上り詰めた。

パラバドミントンと言えば、東京パラリンピックから採用される新競技。
クラスは障がいの種類や程度によって6つに分かれている。車いすのクラスは2つ。腹筋の使える山崎選手はWH2のクラスで戦う。健常者と大きく異なるのはコートの広さ。車いすのシングルスで使用する幅は通常の半分。

山崎選手が世界のトップに上り詰めた理由。
それがストロングポイントの「相手を揺さぶるクリアショット」。
クリアショットとは相手コートの奥へシャトルを飛ばす最も基本的な打球のこと。クリアショットは弾道によって2種類に分けられている。
1つ目はハイクリア。
シャトルの滞空時間が長く、高い弾道を描くショット。これにより相手は後ろに下がらざるを得なくなる。
2つ目はドリブンクリア。
ハイクリアと比べ、弾道が低く、スピードがあるショット。対応には素早い反応が求められるため、相手のタイミングを崩すことが出来る。
2種類のクリアショットを瞬時に判断し、正確に打ち分けられる山崎選手。これこそが彼女の武器、生命線ともいうべき自慢のプレー。

東京、町田市で開催されたジャパンパラ バドミントン国際大会。
前回チャンピオンとして挑む山崎選手はシングルス連覇を狙う。予選を全勝で勝ち上がり、迎えた準決勝。
早速、クリアショットを起点に得点。
ハイクリアで相手をしっかり後ろに追い込み、甘く帰ってきたシャトルを前の空いたスペースへ落とした。
その後もクリアショットが冴えわたった山崎選手は1ゲームも落とすことなく完勝。決勝進出を果たす。
連覇まであと一勝、決勝の相手は同じく日本代表、世界ランキング5位の小倉理恵選手。
決勝でもクリアショットから得点。
彼女のプレーを支える大きな特徴である柔軟性によって広範囲のシャトルを拾い、クリアをしっかり打つことが出来ていた。
山崎選手は最後まで1セットも落とすことなく、大会連覇を達成。
さらに、女子ダブルス・混合ダブルスでも優勝し、自身初の三冠に輝いた。
しかし、この4日後に開幕したアジアパラ競技大会で大きな壁が待っていた。結果はまさかの準決勝敗退。相手は世界ランキング8位の中国の選手。
実は中国の選手は去年の世界選手権以降、国際大会への出場はゼロ。その為、世界ランキングでは強さが計り知れない。
今回のアジアパラ大会には世界選手権の金と銀、中国の2選手が出場。山崎選手は銅メダルに終わった。

山崎「やっぱ1つ上がりたかったなっていう思いはすごく悔しく思っているんですけど。やっぱりこの大会でしっかりと中国の選手と当たって戦えたっていうのは大きい成果かなって感じています」

価値ある敗戦を糧に山崎選手が向かったのはトレーニング施設。
実は彼女、新たなトレーニングを始めていた。

山崎「まあやっぱしラケットワークは子供のころからバドミントンやっていたって部分で上げていきやすいと言いますか。でもチェアワークっていうのは本当に車いすになってからスタートのまた1からスタートして今4年目5年目っていうような状態なので、慣れてないしなかなか周りと比べて速くならないなーとずっと思っていて」

さらなる進化に必要不可欠なチェアワークの強化に取り組んでいる山崎悠麻選手。すべては東京パラリンピックのために。真の世界一へ、戦いは続く。

  • ©NTV
  • ©NTV
  • ©NTV
  • ©NTV
  • ©NTV
  • ©NTV
  • ©NTV
  • ©NTV
  • ©NTV
  • ©NTV
BS日テレ