放送内容
第143回 上田晋也×ウィルチェアーラグビー日本代表 後編
2018年11月25日 放送
8月の世界選手権で悲願の世界一に輝いたウィルチェアーラグビー日本代表。
前回の放送…初めての「ラグ車」体験では見事!世界一のパスをキャッチするという奇跡を見せた上田さん。
今回は、ウィルチェアーラグビースペシャルの「後編」。
「守備」で世界一に貢献した倉橋選手をかわしてのトライに挑戦。
まずは、ウィルチェアーラグビー日本代表3選手に聞く本音インタビュー。
正確無比なロングパスで得点を演出する日本代表の司令塔、キャプテンの池透暢選手。持ち味である世界トップクラスのスピードを武器に得点を量産。世界選手権ではMVPに輝いた池崎大輔選手。そして、紅一点。日本代表史上初の女性プレーヤー、倉橋香衣選手が参加。
上田「ケビンコーチってどんなヘッドコーチなんですか、スパルタだったりするんですか?」
池「んーそんなことはないですね、圧倒的ボス感はありますね。もうドシーン、体もそうですけど、ドシーンとしてこう選手たちが意見言っても、ケビンの考えををしっかり伝えてくれるし、それを選手がきくと納得できるような答えが返ってくるし、コート外の部分でも圧倒的ボス感があって、素晴らしいコーチですね」
上田「なるほど。倉橋さんケビンヘッドコーチにはどんな感想というか印象をお持ちですか?」
倉橋「印象は、声がでかいっていう」
上田「だけ?そんな上っ面の付き合いしかないのまだ?そんなことないでしょいろいろコミュニケーションとってるでしょ」
倉橋「ケビンに教えてもらったことは、絶対できるようになろうって気持ちになります。いろいろ教えてもらって」
上田「なるほどね、いやあの先ほどね、ケビンヘッドコーチにいろいろインタビューさせていただいて、お三方を英単語一言で表すならっていうのでね、ちょっと書いていただいたんですよ」
3選手を、それぞれ1つの英単語で表現。ケビンヘッドコーチは何と答えたのでしょう?
まずは、池選手。
ケビン「彼は常に学び、上達しようとする最高の選手です。私の指示を皆に伝え、常にチームのことを考え協力してくれます。彼がやりたいことではないかもしれませんが、チームが成功するためには必要なことです。コート内でも外でも私を助けてくれるとても良いLEADERです」
池選手は「LEADER」続いては、池崎選手。
ケビン「池崎選手は"WORRIOR"もしくは"FIGHTER"です。どちらでもいいのですが、彼はとても勇敢なので私は"WORRIOR"を使います。彼はいつでも戦いに参加し、敵を追いかけ、倒したいと思っているタイプです。常にチームのために戦っていたいのです。良くも悪くもウィルチェアーラグビーで成功するには必要なことです。池崎選手は"WORRIOR"です」
池崎選手は「WARRIOR」、最後は倉橋選手。
ケビン「彼女は、とても指導しやすい選手です。チームが勝つためならどんなプレーでも出来る。チームの一員として認められたいのです。彼女は、初めて参加した合宿で私に言われたことを今でも覚えています。とても頭のいい選手なので、彼女を表す言葉は"SMART"です」
倉橋選手は「SMART」と表現したケビンヘッドコーチ。
前回、池選手のロングパスをみごと一発でキャッチすることに成功した上田さん。今回は池選手からのパスを受けてトライに挑戦。しかしゴール前には、倉橋選手。ディフェンスのスペシャリストをかわし、上田さんはトライを決めることができるのか?
佐藤「それではお願いします」
(上田さんがパスを受けてトライに挑戦)
上田「なんでこれ動かないの!?」
佐藤「なんでこれは動かないんですか?」
池崎「ディフェンス用車いすのバンパーでしっかりひっかけているタイヤにポジションをとっているので、それが彼女の仕事でああやって自分より障がいの軽い人、早い人でも止めることができる」
佐藤「上田さん、全然進んでないです」
上田「しつこいのよ、この人もうだめだ この人、体の8割が納豆菌でできていると思う。粘りが半端じゃない、無理無理、パスするしかない。この人に捕まったら、ターミネーター2の敵よりしつこい。凄いですね絶対に行かせないですね」
佐藤「上田さんの攻めはどうですか?」
上田「楽勝で止めてるんじゃない。こう動くな、この辺に来るなって分かるわけでしょ」
倉橋「そうですね」
上田「池選手や池崎選手でも倉橋選手のディフェンスにはまったら抜け出すのは難しいのではないですか? コツがあるんですか?」
池崎「自分たちもひっかけられると動かなくなるので、そうなった時に自分たちも負けたくないけど、相手も負けたくない。こうなったらどうやるか。こうやって外す」
上田「力技しかないんだ」
池「お互いの間合いがあるので相手の間合いに入らないことが大事」
上田「間合いに入っちゃったらダメなんだ」
池「近くに行くとひっかかるので、それをタイヤでかわしながら、ひっかけに来てもかけさせない」
上田「視聴者の皆さんにこういう所も今後は見てほしいですよね。こういう細かいテクニックでディフェンスしているのを倉橋選手の間合いに入ったら逃げられないんだなって。ディフェンスの人は悔しい時はないですか? 池さんがロングスローを投げた池崎さんがタックルやトライをした「凄いね池池コンビ!」ってなっているけど。『私があの人を止めてパスコースを作っていた』って言いたくなる時はないですか?」
倉橋「ありますね。一応、仕事しているんだよって」
上田「言いたくなるよね。そういう所にもこの番組はスポットを当てていこう。今回のスペシャルは倉橋選手がメイン。言いたいこともいっぱいあるだろうし。例えばラグビーでもフォワードの選手は縁の下の力持ち。目立つのはどうしてもバックスやパスをする人『なかなか光が当たらないな』という気持ちはありますよね」
倉橋「多少、はい」
佐藤「池選手、上田さんのプレーを見ていかがでしたか?」
池「さっきの間合いの話をした後は水を得た魚のようにプレーしていたので、かなりセンスもあるし、頭を使ってプレーできるのが素晴らしい」
上田「2020年東京に間に合うんじゃない?ちょっと頑張れば、とりあえず肉離れを治してディフェンスも面白いかもしれない。相手を止めてトライに行かせないとか。あの人はこっちに行かせない!なんていうのも今後は注目しよう。ボールのないところにも非常に重要な動きがある 我々も今後は注目してみていこう」
佐藤「池崎選手、今日は上田さんはパスとトライをしましたけどウィルチェアーラグビーに向いてますか?」
池崎「もう少し頑張れば2020年に間に合うんじゃないですか」
上田「この人はさっきから適当なことしか言わない」
池崎「そんなことないですよ」
佐藤「本気でおっしゃっているんですよね?」
池崎「言っていないです」
上田「いい加減な人だから。ただし「カメラを止めます」と言ったら『上田さん凄かったですよ、さっき』ってほめ始める。なんでカメラが回っているときに褒めないかね」
池崎「本当にこのちょっとした時間の中で 操作してオフェンスまでやれたというのは凄いことだと思う。タックルとかディフェンスの役割を肌で感じてくれたというのは僕らとしてはすごく嬉しいことでもあるし自分たちはよくカメラに抜かれる所にいる。こういったディフェンス用の車いすに乗っている人たちの役割があるからこそ1点を取れるという凄くチーム力が必要な競技」
上田「今はパラスポーツのイベントも多くなってきたから経験して欲しい。タックルを経験しなくても、パスを取るのがいかに大変かとか。ディフェンスするのは結構難しいんだな、逃げられるのは大変なんだなとか。ウィルチェアーラグビーの醍醐味がより分かってくる」
佐藤「また見方も変わりますからね」
上田「これに乗って操作をするだけでもいいから経験してみて欲しい。今日も非常にいろいろと勉強になりました。これ以上やっているとタックルが来そうなので帰ります」
続いては、世界一メンバーの本音トーク。
上田「普段はどんな方?池さんは」
倉橋「どんな、どんなや。優しい。おんなじや」
上田「あのー、優しいと言っとけば事は済むと思ってるでしょ倉橋さん。普段ご飯一緒に食べたりとかそういうことも結構多かったりするんですか?そんなでも?普段ご飯食べたりとかは」
池崎「合宿中は昼と夜は一緒ですね」
上田「そんな時にいろいろプライベートのお話とかはしないんですか?」
倉橋「あ、なんか釣りの話とかは」
上田「あ、釣りがお好きなんですか?」
池「そうですね僕釣りは大好きです。海も沼も川も行きます」
上田「それがなんだろう、自分のリラックス法というかストレス解消法」
池「そうですね、はい」
上田「池崎さんは?ストレス解消法」
池崎「そうですね、僕は寝ますね」
上田「例えば試合前ね、あんまり緊張しすぎてもあれでしょ?そういうときちょっとこう自分なりに抑えたりする方法とかあったりするんですか?」
池崎「僕は大体試合前音楽聞いて一人になってます」
上田「どんな音楽聞いてらっしゃるんですか?」
池崎「安室奈美恵さんとか。聞きながら誰の顔も見ないで僕はひたすらもう一人でいますね」
上田「それでこうガーっとあげていくんだ。コンセントレーションを。池さんは?試合前どんな過ごし方を?」
池「同部屋なので、試合当日は部屋で音楽かけて自分の戦闘モードに入っていくので」
池崎「それに付き合わされて。音楽もどこで叫ぶか分かるから、それと同時に叫ぶんですよ」
上田「いろいろ先輩に気を遣うのも大変ですね」
池「いえいえ、とんでもないです」
上田「倉橋さんは?試合前の自分の気持ちの高める方法とかは?」
倉橋「なにもしないです」
上田「なにもしない?自然に試合のいろいろシミュレーションしながら高まってくって感じですか」
倉橋「準備しておしゃべりしてコーヒー飲んで」
上田「ほんとになんか女の子の過ごし方だね。やっぱそれぞれみなさんの過ごし方あると思いますけど、最後にあの、2020の目標なんて言うのをお伺いしてよろしいですか、じゃあ倉橋さんから」
倉橋「今やってることとか、やらないとだめなことをしっかりやっていって、ちゃんと2020年でコートの中でちゃんと役割を果たせる選手になれるように、でチームの役に立って、みんなと一緒に喜びたいなって思います」
上田「なるほど、じゃあ池選手お願いします」
池「今世界一とったので、金以下は認めてもらえないと思うんですよ。でもやっぱり、ウィルチェアーラグビーっていう競技をまだまだ知らない方々もいらっしゃるので2020年までに、いろんな普及活動をして見てもらえるチャンスを作ってですね、会場満員の観客の中で金メダルを取って、日本中が喜んで、で私たち結構前半に競技が行われるので、チーム団体としても士気が上がるような、私たちの結果で、表していきたいなと」
上田「いいですよね、それで後の競技の選手たちもそれに、続いてくれるとね。じゃあ池崎さんお願いします、最後に」
池崎「同じです」
上田「ズルをするな!さぼるな!」
池崎「でも本当、まさに2020年チャンピオンになるっていう、それはやぱり自国開催っていうところで、やっぱり自分たちはこういう事をしてるんだよ、こういうスポーツをしてるんですよという生き方をやっぱり、伝えたいし見てもらいたいし、そこでみんなでやっぱり感動を味わいたいっていうのは正直あるので。でも結果を求めるだけじゃなく、今池が言ったようにウィルチェアーラグビーのファンだったりとか、もっともっと知ってもらったりとかっていうのもしなきゃいけない、だからこれで金を取れば、またこういう対話もしてくれるだろうし」
上田「いや別に取らなくてもやりますけども」
池崎「そうやってどんどん結果をもとに発信をしていきたい、どんどん盛り上げていきたい、そのために結果が欲しい、金が欲しいていうだけなんですけど」
上田「同じですって言った割には相当長くしゃべったよね」
池崎「あともう一つ」
上田「もうええわ!」