放送内容
第142回 上田晋也×ウィルチェアーラグビー日本代表 前編
2018年11月18日 放送
8月の世界選手権で悲願の初優勝。
世界の頂点に立ったウィルチェアーラグビー日本代表。
そこで、今回は上田晋也が世界一軍団を直撃。
2週連続のウィルチェアーラグビースペシャル。
今回、上田晋也と佐藤梨那アナウンサーが訪れたのは、2020年に向けたパラスポーツ強化のため今年6月にオープンした日本財団・パラアリーナ。館内は、車いすでも利用しやすいバリアフリー設計となっている、まさに、パラアスリートのためのトレーニング施設。
上田「今日はウィルチェアーラグビーをやるでしょ」
佐藤「はい、そうです」
上田「ウィルチェアーラグビーって、マーダースポーツっていう殺人球技じゃないか。ちょっとごめん、これは言い訳じゃなくて、俺、肉離れしているのよ」
佐藤「どうしたんですか?」
上田「ちょっと色々とな、ちょっと動きすぎというか。今本当に(左側)全体が肉離れしているというか、こっちを見られないぐらいなのよ、痛くて。ごめん、体験部分は君がやってくれ」
佐藤「私がやるんですか?分かりました」
上田「俺は今日、主に見る」
この日、パラアリーナで合宿を行っていたのは、8月の世界選手権で初優勝を成し遂げたウィルチェアーラグビー日本代表。
今回、上田さんを指導してくれるのがこちらの3選手。
正確無比なロングパスで得点を演出する日本代表の司令塔、キャプテンの池透暢選手。
持ち味である世界トップクラスのスピードを武器に得点を量産。世界選手権ではMVPに輝いた池崎大輔選手。
そして、紅一点。日本代表史上初の女性プレーヤー、倉橋香衣選手。
ウィルチェアーラグビーといえば、激しいぶつかり合い。まずは、そのタックルを池選手と池崎選手が実演。
佐藤「それではお二人、お願いします」
(池選手に池崎選手がタックル)
上田「おい!まじか! 大丈夫ですか? ドクター! 大丈夫?池崎さん?」
池崎「全然大丈夫です」
上田「池選手、大丈夫?」
池「救急車呼んでください」
上田「誰がそんなにガチでぶつかれって言ったの すごい!自分で立てる強烈だったな~。今ので何割ぐらいの力なんですか?」
池崎「5割とか4割ぐらいじゃないですか?」
上田「今ので4割5割ぐらい?路上の事故でも今レベルのは見たことがない。今日、肉離れしていて良かった。これを体験してたら全身肉離れになってる」
ウィルチェアーラグビーの激しさを体感した上田さん。続いて、世界一に導いた指揮官を直撃。
実はケビンヘッドコーチは元パラ陸上選手。2つのメダルを獲得したほどの選手だった。引退後、ウィルチェアーラグビーの指導者に転身。するとアメリカとカナダを率いて2大会でメダルを獲得。まさに名将。
上田「まずは世界選手権優勝おめでとうございます。日本の生活にはだいぶ慣れましたか、監督は」
ケビン「日本に来るたびに快く迎えてくれるので快適です。とても感謝しています」
上田「日本で行ってみたいところや、日本食で食べたいものはございます?」
ケビン「古い街並みが好きなので、京都には行ってみたいと思っています。また、バス釣りが趣味なので、琵琶湖にもぜひ行ってみたいです。ひそかな希望ですが。日本食はみんな大好きです。日本に来た頃、築地の近くに泊まっていたので新鮮なお寿司を食べました。すき焼きや焼肉も、とてもおいしかったです。私は食べることが大好きなので、日本食は本当にどれも最高です」
日本食にハマっているというケビンヘッドコーチが日本代表を率いるようになったのは去年の2月。
上田「日本のウィルチェアーラグビーを初めて見た時は、どんな印象を持ちましたか」
ケビン「日本代表は理想のプレーができるチームだと直感しました。このチームに関わることができて、本当に幸運です。スピード、当たりの強さ、全てを兼ね備えていると思います」
上田「ヘッドコーチはそこに例えばどういったことを付け加えよう、変化させようと思われたのか」
ケビン「日本と対戦した時に、日本には各クオーターのラスト2分間の戦い方と、軸となる攻め方が足りないと感じました。私が就任してからは、この2つを集中的にやってきました。その結果、世界選手権でアメリカやオーストラリアを破って金メダルを取ることができたんです。東京に向け大事なポイントです」
上田「監督の理想のチームが100パーセントとしたら、今何パーセントまで来ています?」
ケビン「80パーセントぐらいまではきていると思います。世界選手権の決勝戦では多くのミスが出ました。いいプレーもたくさんありましたが、ミスも多かったです。なので攻撃も守備も、もっと進化させたいんです」
2年後、東京パラリンピックの中心となるのが今回の世界選手権でも活躍した3選手。大会MVPの池崎選手。そしてキャプテンとして、また攻守の要としてチームをけん引した池選手。倉橋選手も、ディフェンスのキープレーヤーとして存在感を発揮した。
3人にとって世界選手権での優勝とは?
上田「あれはかなり大きな自信になったんじゃないですか?」
池「そうですね、あの何度もこう、あと1点差で届かないっていう試合をやってきて、悔しさがずっと溜まってたので、もうやっとあの世界戦選手権で優勝できた時には、もうふわっとなんかこう自分が抜けそうな気持ちになりましたね」
上田「池崎さんどんな感じでした?優勝したときっていうのは」
池崎「自分たちが求めていたところ、目標としていたところに、やっぱりやっと上り詰めたっていう、でも同時にその先のこともやっぱりすぐ考えてしまっている自分がちょっと嫌になったっていう」
上田「倉橋さんはいかがでしょうか?自分としては満足のいくプレーできましたか?」
倉橋「んー、やるようには頑張りましたけど」
上田「うんうん、自分では100点満点で何点くらいの出来でしたか?」
倉橋「65」
上田「あ、65?残り35はどの辺に不満があったんですか?」
倉橋「もっとしなあかんこといっぱいあったはずなんで、もう必死すぎてがむしゃらすぎて、それだけしか考えてなかったんで。もっといろんなことできたなって」
上田「でも相当きつくないですか? 男性陣に混ざってこのハードな合宿っていうのは」
倉橋「でもそんな練習も、なんかできんことも悔しいことも全部楽しいうちの一つなんで。もっとうまくなりたいなって思ってやってます」
上田「どうですかその、ヘッドコーチがケビンヘッドコーチお代わりになって、一番その日本代表としてレベルアップした、伸びたところってどのへんなんですか?」
池「なんですかねー、まあ、ディフェンスですかね。日本のディフェンスを割るのが世界各国かなり難しいだろうなって、自分たち見ていて、ああいいディフェンスするな俺たちって思いますし、かなりディフェンスには自信もっていいチームになってきたなと思いますね」
上田「そういわれると倉橋さんも嬉しいですよね」
倉橋「嬉しいです」
上田「ね、ディフェンス面が一番よくなったって言われるとね。池崎さんはアメリカにも武者修行行かれましたけど、どの辺が一番こうスキルアップというかレベルアップなさいました?」
池崎「そうですね、あの、やっぱディフェンスもそうですし、細かく言えばもう無限に出てくる競技であるんですよ、ラグビーって。掘っても掘っても底がない、なので自分たちの知ってるラグビーよりもほんとに深く掘ってくれて、それをまた詳しく教えてくれてっていう。まあそういうところって、やっぱり大きくチームがディフェンスにしてもオフェンスにしても、またメンタルにしても 大きく変わったのかな、とは僕は思いますけど」
目の前でウィルチェアーラグビーの激しさを体感した上田さん、いよいよ実践。
佐藤「上田さんにはタックルは厳しいということでパスを受けていただこうと思うんですが。実際にこのラグ車に乗っていただきたいと思います」
上田「車いすテニスと車いすバスケットボールはやったことがある全然操作は違いますか?」
池崎「競技によって違います。ラグビーはフルコンタクトスポーツなので当たっても壊れないちょっと頑丈な作りにしなきゃいけない」
上田「小回りとかがききづらい?」
池崎「性能的には一緒 小回りも聞くしタイヤに角度もついている ちょっと重量が重い」
上田「ある程度の重さがないとすぐにひっくり返りますもんね」
池崎「すぐ壊れてしまったりするので 腰ベルト これがシートベルトみたいな感じで当たったときに体が前に飛び出ないように 僕は2本している」
池崎「バスケと違うのはウイングがついている 一番最初に当たる部分なので重みがある。これが自分の体を守ってくれているので当たっても安全」
上田「操作はある程度いける」
佐藤「その状態で次はパスを受けていただこうと思います」
パスを出すのは日本代表のキャプテンであり司令塔の池選手。
池崎「コツはしっかりボールの高さとスピードを見ながら落ちてくるだろうという所に走って行って、しっかりボールを見てキャッチする」
池崎選手からパスキャッチの極意を学んだ上田さん。車いすを漕ぎながらのキャッチにいよいよ挑戦。
佐藤「1本目、お願いします!」
(池選手のロングパスを上田さんがキャッチ)
上田「取った取った」
池「めちゃくちゃ上手かったです」
上田「よく俺のコース取りが分かりましたね。やっぱり池選手は大したものですよ」
池「上田さんも大したものですよ 僕の投げるコースが分かったので」
上田「次は何をやる?」
佐藤「ウィルチェアーのトライを体感してもらいたい」
次週は「上田晋也×ウィルチェアーラグビー日本代表 後編」!
上田晋也が日本代表・守備のスペシャリストを相手にトライに挑戦!?