ストロングポイント

毎週日曜 17:30~18:00放送

放送内容

第141回 柔道 北薗新光②

2018年11月11日 放送

視覚障害者柔道、北薗新光。
2012年のロンドン大会では、初めてのパラリンピックで7位。そして、2大会連続出場となったリオデジャネイロでは5位入賞。さらに、先月行われたアジアパラ競技大会で銅メダルを獲得。
そんな彼には、誰にも負けない武器がある―――

「変幻自在の連続技」

わずかな視力で、視野も狭い北薗選手。研ぎ澄まされた感覚を頼りに、相手の意表をつく技を、次々とかけ続けていく。この連続技を生み出す秘訣は、なんと左手にあった。
相手を倒すまであきらめない、27歳。
超攻撃的な柔道の極意に迫る。

北薗選手が、柔道を始めたのは5歳の時。
谷亮子選手の柔道を見て、自分もオリンピックで金メダルを取りたいと大きな夢を抱いた。
高校は兵庫の強豪育英高校に進学。柔道に打ち込んでいたが、この頃から徐々に視力が低下。大学進学時には、視力をほぼ失ったと言う。

北薗「意識することで真ん中だけはボヤッと。そこに人がいるということが分かります。声を聞かないと誰かということは分からないです」

2010年に視覚障害者柔道へ転向。
すると、すぐに頭角を現し…
ロンドンパラリンピックには100キロ級で出場し7位。4年後のリオでは、およそ30キロの減量をし、73キロ級で5位。
そして、去年10月に行なわれたワールドカップで銅メダルを獲得。
念願だった国際大会でのメダルを獲得し、2年後に迫る東京に向け、大きな自信をつけた。

視覚障害者柔道は全盲・弱視などでクラスを分けず、健常者と同様に体重別で試合を行う。異なるのは組み合った状態から試合を始めるところ。組手争いで優位に立つと、技を出しやすくなり試合の主導権を握ることができる。
両手が離れると…「待て!」がかかり、再び組み合い、試合再開。

2020年、東京でメダル獲得を目指す北薗選手の柔道…
それは、相手の動きや姿勢を瞬時に探知し、倒すまで攻め続ける超攻撃的な柔道。これこそが北薗選手のストロングポイント―――

「変幻自在の連続技」

視覚に障がいがある中、一体どのようにして技を繰り出しているのか…
恩師、榮監督に話を伺った。

榮「(高校時代は技を)かける前に相手に先にかけられる場面が多い受けの柔道。やっぱり組み手で苦労していた視覚障害者柔道は組んだ状態からスタートすることで技出しが早くなって技の数も増えた」

組んだ状態で始まるからこそ、進化したという北薗選手の超攻撃的な柔道。
彼のストロングポイント「変幻自在の連続技」には3つの極意があるそう。

「変幻自在の連続技」3つの極意、其の壱は「瞬時に対応できる反射神経」。

北薗「育英高校に自分が高1で入った時、周りが本当に強い選手ばっかりで、笑いとかなしで立っている時間より背中をこの辺に着けている時間の方が長いぐらいだと思うんで、その中でいろんな人に投げられたり、先輩に鍛えられたりして。相手がこういう動きをしたらこういうふうに投げられるだったり、これだったらこう投げられるって段々分かってくるんで、それで反射神経が身に付いたんだって僕は思ってます」

こうして鍛えられた反射神経、技との関係は?

北薗「技をかけた、避けられた。じゃあ、相手の体重がどこにかかっているのか、こっちにかかってるならこの技。こっちならこっちという風に考える前に体が勝手に動くことができるんですよね」

そして、極意、其の弐は「組手で負けない筋力」。
技をかけて倒すためだけでなく、相手の動き出しを抑制するためにもパワーは必要不可欠。そこで新しく取り入れたのが…

北薗「外国の選手でも力で勝つぐらいの筋力が欲しいなって思ったんで、専門的なパーソナルトレーニングに行ったらどうなるんかなと思って、行くようになった」

このトレーニングで、柔道にも変化が。

北薗「体がすごい安定してる感じもありますし、なんせ力が強くなっているんで相手の技を力で止めることが出来ますし、体さばきをしたら引く力が強くなってるので、パっと切れてそこからまた自分の柔道ができる。防御面に関しても本当に良くなったんじゃないかと思いますね」

そして「変幻自在の連続技」、最後の極意は「左手の探知能力」。
左手から伝わる情報で鉄壁の防御を見せる北薗選手。
左手の探知でかけられた技を把握し対応。さらに、防御のあと、すぐに攻撃に転じるのが北薗選手の超攻撃柔道。

左手で相手の技を探知し、競り負けない筋力。そして瞬時に対応する反射神経。これらが三位一体となって生まれるのが北薗選手の「変幻自在の連続技」。

そんな北薗選手、先月、インドネシアのジャカルタで行われた、アジアパラ競技大会に出場。3位決定戦で勝利し、見事 銅メダルを獲得した。

最後に北薗選手、今後の目標は?

北薗「11月の世界大会に出場し普段の自分の柔道を存分に発揮し金メダルを取ることです。2020、パラリンピックで金メダルを取ることを目標としています」

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