ストロングポイント

毎週日曜 17:30~18:00放送

放送内容

第135回 車いすバスケットボール世界選手権・日本代表密着SP

2018年09月30日 放送

東京パラリンピックで金メダル獲得を掲げる車いすバスケットボール日本代表。悲願達成へ、彼らには世界に誇る武器がある。
今年6月、日本で行われた国際大会。
素早く攻守を切り替え、常に全員がフルコートで戦う。日本独自のバスケで圧倒し、全勝優勝。
確かな結果と自信を手に挑むのは、四年に一度の世界一決定戦、世界選手権。2年後の表彰台へ、日本の現在地は?
今回、大事な試金石となる戦いに挑む日本代表に独占密着。

ドイツ北部の港町、ハンブルク。東西を結ぶ要所として栄えた、ヨーロッパ有数の港湾都市。
そのハンブルクの街を舞台に繰り広げられる、4年に1度の世界一決定戦。車いすバスケットボール世界選手権。
リオパラリンピック金メダリストのアメリカをはじめ、車いすバスケ界のマイケルジョーダンと称されるパトリック・アンダーソン擁するカナダなど、世界のトップオブトップが集結。スタンドには連日1500人以上の観衆が詰めかけ、大盛り上がり。
世界選手権、日本の最高成績は7位。
さらに2016年、リオパラリンピックでは9位。決して結果を出したとは言えない日本を世界のトップが警戒するのには理由があった。 今年6月、日本で行われた三菱電機ワールドチャレンジカップ。カナダやオーストラリアといった強豪を相手に日本が驚異のバスケットを展開。
高さのある相手に対し、フルコートで攻守の切り替えを行い、スピードを生かした攻撃につなげるトランジションバスケット。
日本の車いすバスケの歴史において、初となる全勝優勝。世界選手権へ、確かな自信をつかんだワールドチャレンジの優勝から2か月。 遂に迎えた、世界選手権の舞台。
今回の日本代表メンバーを見てみると、12人中8人が初の世界選手権。藤本選手、香西選手ら長年代表を支えてきたベテランに加え、最年少・鳥海選手や古澤選手ら、23歳以下の世界選手権で4位に入った若手が5人もメンバー入り。
今大会は全16チームが4つのグループに分かれてリーグ戦を戦い、その順位によって決勝トーナメントの組合せが決まる。1位突破なら、他の組の4位チームとの対戦。日本はグループC。国内リーグが盛んなイタリア、ヨーロッパ王者のトルコ、そしてリオパラリンピック5位のブラジルと同じ組に。

グループリーグ1位通過へ、勝って勢いに乗りたい大事な初戦・イタリア戦。
試合開始早々、日本が積み上げてきたトランジションバスケがさっそく威力を発揮。攻守の素早い切り替えから香西選手が得点。さらに、トランジションバスケで得点を重ねる。滑り出しは上々、かと思われたが、イタリアも反撃。リードを奪われてしまう。
第2ピリオド。9点差を追いかける展開でチーム最年少・鳥海連志選手がコートへ。見事なスチールから独走でゴール。これで流れは日本に。
第2ピリオドを終え、3点差まで詰め寄る。
そして、エンドが変わった第3ピリオド。
世界選手権初出場、岩井選手のゴールで遂に逆転。
そして、ブザーON。
積み上げてきたトランジションバスケと若手選手の活躍で日本が見事、初戦勝利を挙げた。

迎えたグループリーグ第2戦。相手はヨーロッパ王者のトルコ。リオパラリンピックで大敗を喫した因縁の相手。
日本が勝利すればグループリーグ1位通過が大きく近づく重要な一戦。
試合序盤は完全にトルコペース。トルコの高さを生かしたインサイド攻撃に苦しめられる。
さらに、前回大会のオールスター5、トルコのギュルブラクが圧巻のプレー。リードを許す苦しい展開に、及川ヘッドコーチはリオの後に代表入りした新戦力、秋田選手を中心とした攻撃で逆転を狙う。
作戦は的中。第3ピリオド。
秋田選手が連続得点。さらに、トランジションからキャプテン豊島選手が決め2点差。そして、22歳・古澤選手の3ポイントで流れは完全に日本へ。
しかし、これで終わらないのがヨーロッパ王者。
エース・ギュルブラクを中心にじわじわと点差を縮める。ついに3点差。再び、このイヤなムードを日本の若い力が断ち切る。21歳の川原選手が今大会初得点、トルコを突き放す。そして、ブザーON。
再び若い力が躍動した日本。2連勝で見事グループリーグ1位通過を決めた。

ドイツ・ハンブルクで世界選手権を戦う日本代表。長期の遠征、食事はどうしているのか?
これは…バイキング形式のよう。何を食べるかは選手に任されていて、各自がバランスを考えながらチョイスするそう。
そんな選手たちの強い味方がコチラ。日本から持参した炊飯器と炊きたてご飯。なんと40キロのお米を日本から持ってきたそう。選手からも大好評のお米、食事開始からものの10分で一升炊きのお釜が空っぽに。

世界選手権初のグループリーグ1位突破を決め明るい雰囲気の日本チーム。
しかしそんな中、一人表情のさえない選手が。
長年チームを引っ張ってきた、最年長のエース・藤本怜央選手。
今大会、3試合で得点はわずかに15。決定率も34%と、6月の三菱電機ワールドチャレンジカップと比べ低調なプレーが続いていた。
そのわけとは、自分中心のバスケから、トランジションへの移行。若手の台頭など、環境の変化に戸惑っていた。
スペイン戦前日。
決戦へ向け、リラックスした雰囲気で最終調整するチーム。
そんな中、京谷コーチと自身のプレーについて意見をぶつけ合う藤本選手の姿が。どうすれば今のチームに貢献できるのか。プライドを捨て、思いのたけをぶつけた。

迎えたスペイン戦。
負けたら終わりの決勝トーナメント。相手はリオ銀メダルの難敵。
藤本選手はベンチスタート。
チームを引っ張るのはもう一人のエース、香西選手。
そして第1ピリオド終盤、藤本選手が遂にコートへ。
体制を崩しながらも決め、バスケットカウントを奪う。
しかし、スペインにリオ銀メダルの実力を見せつけられ、その差は19点に・・・。
苦しい時こそ自分の力で勝利へ。藤本選手が意地を見せる。一度は外すも、意地で押し込みゴール。
最終第4ピリオド、残り7分。
13点のビハインドを背負う日本が驚異の追い上げを見せる。
じわじわとその差を縮め、遂に2点差。藤本選手、チームを同点に導くスーパーショット。しかし、再びスペインが2点リード。試合は残り1分。土壇場でスペインが追加点。そのまま試合は終了。

スペインとの激闘から一夜。
日本は3日後に行われる順位決定戦に向け、新たなスタートを切っていた。
スペイン戦の宿題、この日、取り組んでいたのは、撃の時間を23秒に設定してパスを回し、残り10秒でシュートに持ち込む、ハーフコートオフェンスの練習。フルコートのトランジションバスケを武器に戦ってきた日本が、この練習に取り組む理由とは?
相手の守備が整う前に攻撃に転じてゴールを奪うトランジションバスケ。では、守備が整った相手はどう崩せばいいのか、それがスペイン戦での課題。
東京までの残り2年間でハーフコートでも崩せるオフェンス力を磨いていく。

迎えた順位決定戦当日。
順位決定戦の相手はヨーロッパ屈指の強豪・オランダ。
スペイン戦後に取り組み始めたハーフコートオフェンスの成果は出るのか。

試合序盤、まずはこれまで日本が磨き上げてきたトランジションバスケットから得点が生まれる。さらに、早い攻守の切り替えから攻撃。
しかし、相手も対応。ここからハーフコートのオフェンスで崩せるか。
シュート時間は残り10秒。
残り10秒から鮮やかな連携プレーで見事ゴール。課題のハーフコートオフェンスから得点を重ねる日本。
迎えた第4ピリオド、1点ビハインドで残り時間は1分。最年少・鳥海選手のゴールで逆転。残り18秒。
そして、試合終了。
日本の最終成績は9位。
それでもトランジションバスケ、ハーフコートオフェンス、若手の台頭と、数多くの収穫があった。

優勝したのはイギリス。
リオ金メダルのアメリカを圧倒し、見事、世界一に輝いた。
確かな手応えを感じつつ、さらなる成長を誓う車いすバスケットボール日本代表。その栄光の物語は、まだ始まったばかり。

  • ©NTV
  • ©NTV
  • ©NTV
  • ©NTV
  • ©NTV
  • ©NTV
BS日テレ