ストロングポイント

毎週日曜 17:30~18:00放送

放送内容

第133回 ボッチャ 江崎駿

2018年09月09日 放送

ボッチャ 江崎駿、17歳。
昨年、21歳以下の世界大会、アジアユースで金メダルを獲得。日本ボッチャ界に現れた期待の新星。あどけなさの残る表情で相手をジワリと追いつめていく。彼には誰にも負けない武器がある。

『臨機応変なボール戦略』

先月開催された世界選手権団体で銀メダルを獲得し、ますます注目度が増しているボッチャ日本代表。そんな日本ボッチャ界に現れた「未来のエース候補」が17歳の現役高校生・江崎駿選手。
昨年、21歳以下の世界大会・アジアユースを16歳の若さで制し、一躍、東京パラリンピックのメダル候補に名乗りを挙げた。
彼は筋ジストロフィーという筋肉に力が入りにくい難病を患っている。ボッチャとの出会いは学校の授業だった。
江崎「家の中にいる事が多かったんですけど、戦術を考えないと勝っていけないので面白いと思いました。」
江崎選手のために立ち上がったのが父・泰秀さん。息子のためにボッチャを一から勉強し、自ら監督としてクラブチームをつくった。

ここでボッチャのルールを紹介。
競技が行なわれるコートは縦12.5m、横6mの長方形。
ジャックボールと呼ばれる白い的球を投げてスタート。ジャックボールに持ち球をいかに近づけるかが勝負。先攻の赤、後攻の青がそれぞれ持ち球を一つずつ投げたら、ジャックボールから遠い方が常にボールを投げていく。
1エンドにつき持ち玉は一人6つ。合計12球、投げ終わった時点で得点を計算。個人戦ではこれを第4エンドまで繰り返し、合計点で競う。
ボッチャの大会は障がいの種類や程度によって4つのクラスに分けられている。江崎選手は個人戦とペアで出場できるBC4クラスに属する。

ボッチャでは大きさや重さ、柔らかさの規定をクリアすれば選手がボールの表面や中身の材質を自由にカスタマイズできる「マイボール制」を採用。
江崎選手は3種類のボールを投げ分けている。
実は、これトップ選手の常識。世界レベルの大会では1種類のボールでは相手に戦略が読まれてしまうそう。
では、3種類のボールをどのように使い分けるのか?
江崎「まずこのスエードはジャックボールにつける時に使います。寄せやすい、乗せやすいのがこのボールの特徴です。本革は相手のボールを弾きやすいので、ボールを押す時に使っています。合皮はこのボールの場合だと反発力があるので寄せにくいんですけど、もし寄せたら相手からははがしにくい。」

日本選手権3位の実績をもつ梅村選手との練習試合。
先攻・梅村選手の第1投。寄せきれなかったが、ジャックボールへのコースはふさいだ。対する江崎選手、どんな戦術に出るのか? 選んだのはボールをよく弾く「本革」。
ジャックボールの前にあった赤球を弾いて後ろへ。ボールの特性を活かした見事な攻撃。障害物がなくなったところでピタリと寄せる。
対する梅村選手、青球を弾こうとするが、わずかに逸れてコースアウト。
ジャックボールから遠い梅村選手が続けて3投目。2球使ってようやくジャックボールを動かした。
この状況、江崎選手で選ぶボールは?
寄せるのは難しいものの、一度寄せると動きくい「合皮」。
ジャックボールにピタリ。赤球に当てることで「合皮」の特性「横への反発」を抑えた頭脳的ショット。
一方、残り3球と追い込まれた梅村選手は自慢のパワーショット。動かしにくい合皮のボールを弾き、ジャックボールの後ろに赤球が。青の江崎選手が押せば相手に寄ってしまう難しい局面。
スエードか本革か…江崎選手の選択は、ボールをよく弾く「本革」。
ジャックボールを押して後ろの赤球に近づけてしまったかのように見えるが、実はこのショットにこそ、彼のストロングポイント『臨機応変なボール戦略』が隠されていた。
日本代表のヘッドコーチが明かすその戦略とは?
村上コーチ「終盤ですので自分の1番自信のあるボール。江崎選手だったらスエードのボールなんですけど、スエードのボールでまずジャックボールに近づけにいくのが普通だと思うんですが…本革のボールでボールを押し込んで寄せやすい状態にしてから投げる。」
そう、ミスに思えたショットは次への布石だった。
残ったのは寄せやすく、乗せやすい「スエード」。このボールで狙うのは?
ジャックボールの上に乗せるスーパーショット。一気に大逆転。
結局、実力者の梅村選手に1ポイントも与えず完全勝利。
江崎「今の大きな目標は東京のパラリンピックに出ることが一番大きい目標です。出るからにはメダルを狙いたい。それまでに、メダルを狙えるような選手になりたいなと思います。」

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