ストロングポイント

毎週日曜 17:30~18:00放送

放送内容

第130回 パラ陸上 走幅跳 高田千明③

2018年08月19日 放送

パラ陸上 高田千明。
リオパラリンピックでは、視覚障がい 走幅跳 全盲クラスで8位入賞。
去年の世界パラ陸上では日本記録を更新し銀メダルを獲得。
そんな彼女には誰にも負けない武器がある…

『スピードに乗ったジャンプ』

日本記録を目指す高田選手は東京都出身。先天性の病気で幼い頃から弱視だったが、徒競走ではいつも1番。
完全に視力を失ったのは19歳の頃。
それでも、大好きだった走ることへの情熱を失うことはなく、20歳から本格的に陸上を開始。記録はおもしろいように伸びていき…
ジャパンパラの100メートルで、当時の日本新記録を叩きだし優勝。
そして、2016年リオパラリンピックでは視覚障がい 走幅跳 全盲クラスで8位入賞。去年は自身の日本記録を更新し、世界パラ陸上で銀メダル。

7月、群馬で行われたパラ陸上国内最高峰の大会。そこに高田選手が大森コーチと共に会場入り。
高田選手が出場するのは、目の見えない「全盲」の選手たちで争うT11クラス。全盲クラスの走幅跳には手拍子と声で助走や跳躍のタイミングを知らせるガイド役のコーラーがいる。高田選手のコーラーであり、コーチを務めるのは大森盛一さん。アトランタオリンピック、1600メートルリレーのアンカーで5位入賞した元日本代表選手。高田選手を13年間にわたり指導、共に東京を目指している。
大森「全盲というクラスの中で全力疾走をできるかどうかって、凄い所なんだと思うんですよ。初めて会った時に彼女は全力疾走してたんで、そこは凄いなと思った所ではありました」

高田千明選手のストロングポイント「スピードに乗ったジャンプ」
そのスピードは国内で向かうところ敵なし。
去年の国内大会。
100メートルでも自身の日本記録を更新、圧倒的な強さを見せた。
速さの秘密は大森コーチの指導。足を体の前で回転させることで腰の位置がブレずにスムーズに加速。このスピードこそが高田選手 最大の武器。
さらに去年の2月から頼れるコーチが加わった。
女子走幅跳の日本記録保持者、元日本代表の井村久美子さん。
井村「助走は本当に彼女の長所を活かしきれているので、踏切、空中での沢山細かくあるんですけどそれさえクリアしていければ、50cm、もしくは1m近く伸びシロはあると思うので楽しみですね」
そこで井村コーチは、踏切のフォーム作りに着手。
高田「去年は、助走して踏み切った姿勢を真っ直ぐ綺麗にっていうところを集中的に練習してたんですけど、今年からは引きつけの足と腕の振りで着地の時にお尻が後ろについてしまわないようにっていうところを集中的に今、新しく練習しているところです」
井村コーチとも相談し、踏切動作から着地までのフォーム作りを一新した高田選手。
ところが…大会前、最後の練習。
この日、16本跳ぶ予定が…真っ直ぐ走れず、ジャンプまで行けたのは3本。
改めて直面した、真っ直ぐ走ることの難しさ。
高田「不安ですね…これはやっている限り一生言い続ける気はしますけど。自分が行こうとしている真っ直ぐと、体が行こうとしている真っ直ぐの食い違いが大分出ているので、あと数日あるのでその間に修正をしたいなと思います。」
7月8日、ジャパンパラ陸上競技大会。
全盲クラスの走幅跳は、健常者と同様6回の跳躍の中で一番良かった記録で競う。
高田選手が持つ日本記録は4メートル49。
いよいよ1回目の跳躍。果たして記録は?
直前の練習で苦戦していた助走が真っ直ぐに走れ、着地姿勢もイメージ通りでしたが、記録は4メートル36。
この1回目、助走距離はいつもと同じ。しかし、高田選手は跳躍エリアの手前ギリギリで踏み切っている。
そこで2回目の跳躍前に、助走距離を縮めた大森コーチ。
そして迎えた2回目の跳躍。
記録は4メートル33。
1回目と同様に助走は真っ直ぐに走れている。
その後も助走は完璧。新しい着地も上手くいっているのに記録が伸びない。
高田千明選手、ラスト6回目の跳躍。
記録は4メートル19。
最後まで満足のいく跳躍はできなかった。
スタンドから見ていた井村コーチが指摘したのは、助走から踏み切る瞬間の姿勢。踏み切り直前の姿勢に注目してみると、良いときは足と頭が真っ直ぐなのに対し、現在は上半身が突っ込んで踏み切り姿勢に入ってしまっている。
このわずかなズレが原因で高くジャンプできず、距離が伸びなかった。

課題を丹念にあぶり出すのも、2年後に迫った東京で確かな結果を残すため。
高田「走る方を大森さんにしっかり見てもらって、そのスピードを生かして久美さんが教えてくれている。幅跳の踏切から空中、リード足、腕の位置 噛み合えばメダル圏にいけるかなと思います。5M超えを目標にしたいなと思います」

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