ストロングポイント

毎週日曜 17:30~18:00放送

放送内容

第127回 ウィルチェアーラグビー 池 透暢②

2018年07月29日 放送

ウィルチェアーラグビー・池透暢、38歳。
リオパラリンピックで史上初の銅メダルを獲得。2年後の東京パラリンピックで金メダルを狙う日本代表のキャプテン。
彼には、誰にも負けない武器がある。

『正確無比なロングパス』

味方の動きにピタリと合わせるロングパス。
自慢の武器で、これまで数多くの得点を生んできた。そんな池選手がさらなる「進化」のために始めた新たな取り組みとは・・・
全ては2020年、東京で頂点に立つために…
日本代表の大黒柱、池選手の挑戦を追った。

今年5月に開催されたジャパンパラウィルチェアーラグビー競技大会。
参加したのは、ヨーロッパの強豪国。世界ランキング5位のイギリス、6位のスウェーデン、7位のフランス。2020年の金メダルを目指す日本にとっては負けられない相手。
予選リーグを5勝1敗で通過した日本は決勝でイギリスと対戦。
得意のロングパスで何度も得点を演出する池選手。
時には味方のパスを受け、自ら走り込み得点を決める。
日本は池選手を起点とした攻撃で53ー46とイギリスを圧倒。
ヨーロッパの強豪を相手に見事、優勝を果たした。

19歳の時に交通事故で全身に大やけどを負った池選手。
左足は切断し、右足もほとんど曲げることができない。さらに、左手の握力も失った。
そんな池選手の特徴は、「高さ」のある車いす。日本代表の島川選手と比べてみると、その差はなんと17センチ。池選手は右足がほとんど曲がらないため、座る位置を低くすると車いすが長くなり小回りが利かなくなってしまう。そこで、座る位置を高くすることで車いすを短くして、小回りの利いたプレーが出来るようにしている。
しかし、座る位置を高くすることのデメリットも。
ひとこぎでタイヤを回せる長さを比較してみると、島川選手の半周に対し、池選手は4分の1周しかこげない。その差を埋めるためには、1回でより多くの力をタイヤに伝えられる筋力が必要になる。
車いすのハンデは筋力で補う池選手の姿は地元・高知県のトレーニングジムにあった。さらなるレベルアップには腕力だけではなく全身の筋肉をバランスよく鍛えることが大切。まずは、ロープを使った体幹のトレーニング。続いて、腕の筋肉を鍛錬。この動きはラグ車の操作に不可欠な腕力の強化になっているのだそう。
腕力の強化、そして、そのパワーを最大限に発揮できる体づくりが自慢のパスを生かす走力アップに繋がる。
池「各国が自分のパスを出すエリアに対して対応してきたというのがあるので、よりパスをさばけない状況が多くなってきたというのは事実ですね。パスを楽に通せる時代は終わってきたというか、各国が対策してきたので、次は自分が別の策を練らなければいけないという段階にはなっています」
トレーニングは自宅でも。
まずはストレッチ代わりの腕立て伏せ。ここからが本番。取り出したのは、中に重りが入ったウエイトベスト。重さは14キロ。14キロのベストを着けたまま腕立てスタート。台を使って高低差をつけることで、肩甲骨の可動域を広げ、より後ろからタイヤに触れるようにする狙いもあるそう。
池「自分はこぎしろが少ない分、それを後ろからこげるようにすることで少しでもこぎしろを取りに行く」
その効果はジャパンパラのプレーにしっかりと現れていた。
自陣でボールを貰った池選手はパスの受け手がマークされていると判断するや、ランを選択。そのまま一人で走りきって得点。さらに、走力の強化によって自慢のパスも進化。
全ては2020年東京で金メダルを取るために…見据える次なるステップは…
池「大きなチャレンジとしては来季のアメリカのリーグに挑戦しようというのは今決めつつあるところですね。ここからの2年を考えたときに、アメリカでもっとこうラグビーに対してや、自分自身に対して意識を高めて孤独な中でもその競技に取り組む、より洗練された状況を作りだしたいっていう気持ちもあって、東京直前の年にはおそらく無理だろうと。東京の後ってなるとちょっと遅すぎるだろうと。で、今年っていう、この1年が最大の効果があって今しかできないことって自分でその考えに至りました」
さらなる高みを目指すためのさらなるチャレンジ。
目前に迫った世界選手権も、東京に向けたステップのひとつ。
池「東京で金メダルを取るっていう今掲げる一番遠くの目標を達成するためには、ここの今の2年前の世界選手権で日本が金メダルを取る、一度トップに立つっていう経験をしているのとしていないのでは、東京を戦い抜く中で、大きなアドバンテージに繋がるのではないかという風に考えていて、そこで金メダルを取るっていう事に自分の中では大きな意味を持っています」

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