ストロングポイント

毎週日曜 17:30~18:00放送

放送内容

第126回 パラ卓球 岩渕幸洋③

2018年07月22日 放送

パラ卓球 岩渕幸洋。
世界大会で4度優勝。日本の若きエースはリオで初めてパラリンピックの舞台に立った。彼には、誰にも負けない武器がある。

『超攻撃的な前陣でのプレー』

卓球台にぶつかりそうなほど前へ。常に前陣で、スピーディに攻め続ける。そのストロングポイントで彼は今年、新たな戦いに挑んだ。
それは・・・パラ卓球界史上、初となる実業団の日本卓球リーグへの参戦。相手は、健常者のトップ選手。勝利をもぎとることはできるのか?
進化し続ける、23歳。壁を越え、さらなる高みへ。その挑戦に迫る――

岩渕選手には、両足とも足が内側に曲がる先天性の障がいがある。重いのは左足。幼いときから活発な性格で様々なスポーツに触れながら育った。学業にも励み、早稲田実業中等部へ。そこで卓球に出会う。するとすぐに頭角を現し、数々の大会で優勝。大学3年生で日本一の座につくと、翌年には初めてのパラリンピックへ。リオでは結果を残せなかったが、メダルへの想いを新たにした。
現在、所属するのは製薬会社・協和発酵キリンの卓球部。日本一に33回も輝く、実業団の名門。日本のトップ選手が揃うチームで奮闘するたった一人のパラアスリート。

障がいの種類や程度によって、10クラスに分かれているパラ卓球。1から5が車いす。6から10が立位。岩渕選手は立位の比較的障害の軽い、クラス9に属している。強さのヒミツは、とにかく前で戦うこと。
岩渕選手のストロングポイント…『超攻撃的な前陣でのプレー』
卓球にはプレーエリアがあり、卓球台近くの前陣、少し離れた中陣、さらに後ろの後陣と3つに分けられる。
岩渕選手はなぜ、前陣にこだわるのか。
岩渕「やっぱり男子の選手ですと台から下がって大きく動いて、台から距離を取ったラリーになってくるんですけども、やっぱりそこ(後陣)のポジションになると、僕は一番ハンデが出るところなので。障がい、弱点を強みに変えるという、前陣でのプレーを意識するようになってきました」
しかし、前陣でのプレーは相手との距離が近く、ボールへの素早い対応が求められる。
岩渕「もちろん反応するスピードだったり、ボールが返ってくる時間は早くなってくるんですけども、自分の時間も少なくなりますけど、相手の時間も奪うことができるので。あんまり長いラリーになったら、自分は不利なので、なるべく短く決めるということでサーブも工夫してサーブ3球目で優位に立てるように」
大切なのは先手必勝。3球目で優位に立つ攻撃パターン。
1球目。岩渕選手のサーブ。2球目は相手がリターン。そして3球目で決める。
サーブで崩し、わずか3球で仕留める究極の技。これこそが、3球目攻撃。この超攻撃的な前陣でのプレーで去年12位だった世界ランキングは9位にランクアップ。
さらに、超攻撃的な前陣でのプレーで重要なのが『巻き込みサーブ』。
同じフォームで回転の違う、二種類の巻き込みサーブを使っている。
まずは、対戦相手の懐にボールが伸びてくるサーブ。
次は、違う回転をかけたサーブ。同じフォームで打ったボールが今度はブレーキをかけながら右に曲がる。実はショットの瞬間、ラケットの角度を微妙に変え、ボールの回転を変化させていた。
実際、試合で使うとサーブの変化は予測不可能。球筋を読めない相手選手はタイミングを外し、強いリターンを返すことができず、岩渕選手のチャンスボールを作ってしまう。
そんな岩渕選手が今年の5月、新たな扉を開いた。
それは、実業団の日本一を決める団体戦、日本卓球リーグへの参戦。
健常者のトップ選手が集まるこのリーグにパラ卓球の選手が出場するのは、日本史上初。
岩渕「(健常者は)身体が使えてボールに力が来るので、少しでも甘くなったらやられてしまうのが健常者との卓球の一番むずかしいところです、ハイ」
岩渕選手は団体戦の第一試合に出場。対戦相手は、去年の全日本大学選手権、ダブルス優勝の宮本選手。かなりの強敵。
まずはサーブを決め、1点。3球目攻撃で畳みかける。パラ卓球とは違う健常者のボールの威力に押されるがサーブで相手を崩す3球目攻撃で応戦し、1ゲーム先取。続く第2ゲームも必殺のサーブで相手を崩し、なんと2ゲームを連取。しかし、その後の2ゲームを大差で落とし、ゲームカウントは2対2。
そして迎えた最終、第5ゲーム。相手にマッチポイントを奪われてしまった、岩渕選手。残念ながらあと1点が決められず、敗退。
ほかの試合でも健常者に勝つことは叶いませんでしたが、2020年への手ごたえを感じた、岩渕選手。
岩渕「少し競った内容の試合もあって、本当にいい経験をさせてもらったなと思います。これを必ず成長につなげていきたいと思います」
健常者とハイレベルな戦いを続ける岩渕選手。
さらなる進化で東京でのパラリンピックで金メダルを目指す。

  • ©NTV
  • ©NTV
  • ©NTV
  • ©NTV
  • ©NTV
  • ©NTV
  • ©NTV
  • ©NTV
  • ©NTV
  • ©NTV
BS日テレ